Photo by Ume氏
まき場の朝、昨夜は上に泊まった。きょうも申し分のないいい天気で、日が昇るにつれて鳥の声が賑やかさを増す。郭公、ホトトギス、その他の鳥は鳴き声を聞くだけにして声の主は諦める。それにしても、木霊のようによく響く。そろそろ里とはオサラバして、山の暮らしに移る時が来たようだ。
単独のTさんは大分前、5時ごろに出発した。きょうはテイ沢からヒルデエラ(大阿原)、そして古道石堂越えを堂平(どうだいら)まで行き、いったんここへ戻り、それから芝平に下る予定だという。60歳を過ぎているということだが健脚で、昨日は法華道を登り、半対(はんずい)峠まで行き、帰りは小黒川の川床を歩き、そこも延喜式に登場する石堂越えの一部ということで、10世紀の昔年を偲んだようだ。
常連のO谷さんご一行も、夜は気温が下がったので野外での宴を小屋に変えて、いつもながら豪華絢爛な料理を楽しみ、味わい、静かに更けていく山の第一夜を皆さん満喫できたようだった。
第1牧区へ行く作業道の脇にあるコナシの開花が始まった。邪魔だから切ってしまおうと何度も思ったが、そうしないで良かった。今に、きょうのUme氏の空撮写真の見える帯状のコナシが、白い花の帯に変わり、そしてそのころには、いよいよ牛が上がってくる。早かった。
1ヶ月半前はまだ雪が残っていた。山はようやく冬の眠りから覚めようとしていたころだった。それが、もう6月、山は笑い、緑滴る季節が来て、この独り言もきょうから題名を「夏」にした。
本日はこの辺で。