いい天気になった。守屋山の向こうに、アルプスの白い山並みがくっきりと見えている。昼近くになって気温は19度、このままだと20度まで上がるかも分からない。土曜日とあって、林道を行く人の姿が目に付く。あの人たちは皆テイ沢を下ってきたのだろう。
今、露天風呂に新しい水を張っている。漏水は完全に止まりはしなくとも、とにかく一度湯を沸かし、今年初めての入浴を何がなんでも強行しなければ気が収まらない。
約1ヶ月半、露天風呂の水漏れ対策にはかなりの手間をかけ、水を張ってはおが屑や米糠を投入し、水の入れ替えだけでも10回くらいやっただろう。そして、効果は期待できないと知りつつもシリコンを注入し、一昨日で1週間待った。その上でまた水を張り、米糠を水に溶かし、怪しい場所に流し込んでおいた。
今朝見た時には、水位は2センチくらいしか下がっていなかった。これなら合格と言っても良いのだが、問題はこの後で、一度糠で汚れた水を入れ替えなければならず、その後、新しい水に換えた時にどうなるか、決して楽観はできない。水を落とす際に、隙間に詰まって漏れを防いでいた糠が一緒に流れ出てしまう可能性があるからだ。
で、新しい水を入れ替えたら漏れは止まったかというと、やはり止まってはいなかった。いなかったが、風呂に入っている間に水位が極端に下がってしまうようなことはないと判断し、それで、風呂釜のスイッチを入れた。
久しぶりに聞く灯油の燃える音。それを快く聞きつつも、最終段階は薪で沸かしたかったが、そこまでは過ぎた願いと思い止まった。薪で沸かすと、湯がとろけるような柔らかさに変わるのだ。
風呂が沸くまでの間には種平小屋夫妻が久しぶりに訪ねてくれたり、他にも見学者などが来てその対応などしていたから気が紛れた。水が冷たく、浴槽も4、5人は入れる大きさだから、湧くまでに1時間以上かかるのは仕方ない。
いやー、参りました。水のせいだと思うけれど、多くの人の評価通り本当に暖まるあの湯は。まさに「延命 星見の湯」の名に恥ずかしくない。今回は灯油で沸かしただけだが、それにしては刺すようなきつさはなく、湯は柔らかで心地よく、すっかり満足した。漏水も今の程度なら許容の範囲と言ってもいいだろう。
あの風呂に浸かり、天の川銀河の流れや、あまたの星の煌きを眺め、無窮の遠(おち)に思いを巡らせる、そういう贅沢な時を、どうやら今年もまた堪能できそうだ。安堵。
本日はこの辺で、明日は沈黙します。