
やはり昨夜は上に泊まった。心配していた雨や雷は案じていたほどでもなく、ビール1本と日本酒1合ほどを"嗜めば"、睡魔と無為に抗えず、雨音を聞きながら8時には寝てしまった。夜中12時過ぎに目覚めて、ウイスキーの薄い水割りを2杯ばかり飲み、再度眠りに落ちるまでの1時間半ほどをまったく何もせずに起きていた。
誰かが言った「地球の回る音」までは聞えなかったが、心臓の音さえ聞こえてくるような完全な無音が、これほど喧しいとは知らなかった。本当にそれは、間断のない主張のように聞こえ、その中を時間がゆっくりと過ぎていった。
7時半、いつもならこの時間にはすでに家を出ている。それまでには風呂にも入るし、朝飯と弁当の用意も終えていなければならず、慣れてはいるとは言え結構忙しい。それが上に泊まれば翌朝は鳥の声を聞きながら1杯のコーヒーに時間をかけ、身体がゆっくりと始動するのを待つだけの余裕がある。
曇り空に綻びができて青空が見え出し、もうすでに空のかなり高い位置から日の光りが差し始めた。ウグイス、郭公、虫の声がして、今の方がむしろ山の朝の落ち着いた静寂を感じている。
いつ降り出すかとヒヤヒヤしながら、きょうは午前と午後の2回小入笠の頭に登った。一応予定した電牧の立ち上げを終えて、先程下に降りたところでこらえきれなかったか、ついに雨が降り始めた。まだ細かい調整があるし、何時鹿に線を切られるか分からない不安は残るが、それでも通電することにした。生憎電圧計が不調で、いつもなら何箇所かで電圧を計るがそれができない不満が残った。
雨はそれほど激しく降るようでもないから、牛たちはあまり気にせず寝る前に備えて熱心に草を食べている。放牧地に出せば、この時間は水を飲みに一団となって遠くからやって来るころだが、今は囲いの中にいて水はいつでも好きな時に飲めるようになっているから、ひたすら腹を膨らませることに熱心のようだ。
SCWで雲の動きを見る限り、雨は夜半まで残るが明日は午前中は天気が良いと思う。そして午後になってまた崩れるようだ。今夜も山を下りず、酒と美味い物を食べてここで眠る。本日はこの辺で。