Photo by Ume氏
上に来る道中、とりとめのない妄念や雑念が中断されて、「ああ、きょうもまたここを走っているな」とか、「ああ、今はこの森の中か」と、まるで夢から覚めたように現在位置を確認する。何かがきっかけとなることもあれば、そうでないこともある。
今朝は1匹の野猿だった。雨に濡れた子猿が車の前を走り、藪の中に駆け込んでいった。いつもなら、他にも群がいるはずだが、単身そのまま山室川へ下ったようで、追随する仲間はいなかった。
よく群れの中には生まれて間もない子供を連れた猿がいて、どうやってそういうことを覚えるのか知らないが、車の音に怯えた子猿が巧みに母猿の背中に飛び乗り、そのまま親子で姿をくらますことがある。まるで、子猿の重みを感じさせないような母猿の敏捷な動きではあるが、それなりの負担には当然なっているだろうと思う。
3,4日前に、COVID-19のワクチン接種の第2回目の予約受付の通知が届いた。第1回目に予約ができた人たちはすでに1回目の接種を済ませたと聞いているのに、まだその手続きすら詳しいことは分かっていない。
こんな騒動は早く終わって欲しいとは思いつつも、先を争ってまでもそれを急ぐ気持ちにはなれず、自らの危機対応の鈍さが昨夜は夢の中にまで出た。それは、予約した日時を勘違いして、7月も終わるというのにまだ接種ができず、途方にくれているという情けない自分だった。実は接種の予約は明日なのだが、今度はちゃんとするつもりでいる。
それにしても、都会の人々の動きをテレビで垣間見る都度に、この感染状況に変に慣れてしまったなという気がしてしまう。
まだ、なかなか山の暮らしに入れないでいる。里でのあれこれの用事が絶えないからだが、それと、山道を走る通勤を必ずしも嫌っているわけではないからだ。いや、むしろ好んでさえいる。しばらく山室川の清流や、馴染みの通勤路から目にする森や林を見ないでいると、日常の暮らしの中から何かが抜けて、塩気の薄い時鮭でも食べているような気がしてくるのだ。
それでも、きょうは当座の米やそれを焚く土鍋を持ち上げた。水加減や、使い方をすっかり忘れてしまったが、そんなことも失敗して思い出すだろう。
雨は止んでいるが梅雨空のまま、と呟いた途端に、トタン屋根を激しく打つ雨。雨宿りする場所などないのに、牛たちが動き出した。
本日はこの辺で。