入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’21年「夏」(38)

2021年07月15日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 権兵衛山は薄い霧の中に浮かぶように見えている。午前5時半、これから日が昇って晴れるのか、それともこのまま梅雨空が続くのか、雲の動きを見るとどうやら好天は期待できそうもない。きょうは下から農協の職員4名が農業実習に来ることになっているが、さてどうなることやら。

 キャンプ場の便所、洗い場の掃除をしようと外に出たら、小屋の裏の方でガサゴソと音がして、それからしばらくしたら鹿の鋭い警戒音がした。人気のないことをいいことにこのごろは、どうもあの辺りまで来てのさばっているようだ。
 また鹿の話が続くが昨日も、小入笠の頭までの縦線の電圧が4000ボルトしかなく、登っていったら中断で電柵が2箇所が切れていた。明らかに鹿の仕業で、そのうちの1箇所は以前にもやられた場所だった。牛は草がなくならない限り、牧柵を切ってまで外に出るようなことはしない。それに今ぐらいの頭数なら、仮に脱柵しても遠くへ行ってしまうこともない。
 そういうことからすると、一体何のために毎日苦労して脆弱な2本のアルミ線を保守し、高電圧を維持していかなければならないか分からなくなる。このごろでは鹿も牛のように、立派な牧場の住人のように振る舞っていて、まさにお手上げ状態。

 先程、少し青空も見えていたが、また雲に覆われてしまった。小屋からではよく分からないと、飯の炊ける前に貴婦人の丘まで空の様子を見に行ってみると、北の方はかなり青空が広がっていた。この分だと、実習の後に希望すればだが、牛のいる小入笠の頭か、第1牧区の「吉永の丘」にでも案内できるかも知れない。
 そしたら、畏れながらこの国には万世一系のやんごとなきお方が御座(おわ)すように、JA上伊那にはこのように広大な牧場があって、それは農業団体としての誇りであり、象徴でもあり、守ってい行かなければならないのだと言ってやりたいが、彼ら、彼女らには分かるだろうか。いや、大それた話になってしまった。

 今朝の味噌汁は豆腐とミョウガと決めていたら、豆腐は日が経ち過ぎていた。やむなく油揚げとワカメ、それにミョウガとした。古来稀なる年齢を過ぎた男の山の暮らし、少し侘しく、少し気楽で。本日はこの辺で。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする