林や森との付き合いは長い。都会に暮らしていた時もそうだった。そのくせ木の種類も、そこで目にする花の名前も、遠くから聞こえてくる鳥の生態のこともよく知らずに来てしまった。今から思えば広い東京の極々限られた狭い世界を転々として過ごしただけだったように、歩いた森や、攀じたり登ったりした山にしても、高が知れている。知識にしてもそうだ。
それにしても、牛のことや牧場のことももう少しすれば、同じような気持ちで思い返すのだろうか。
一昨日、やはり里に下って一夜を過ごし、また上での暮らしに戻った。連休中はここにも訪れる人がいたし、昨日は農業実習で東部支所の職員がやってきた。その上、彼らが帰るのに同行し、壊れた冷蔵庫を支所まで持っていって来た。明日は撮影の下見があるし、月末からはここへの宿泊予約が入っている。
そうした中、きょうだけは格別な予定もなく、牛守の仕事だけで済まそうとしていた。ところが、昨日実習の後で職員をテイ沢に案内したら橋の痛みがさらひどくなっているのに気付き、そのことが今もずっと気になっている。
特に下から2番目はよく見たら1本の丸太が折れかけているような状態で、渡らないように注意書きを出すつもりでいる。また、5番目の橋には簡単な手摺りを付けてあるが、これもやり直した方が良いだろう。この二か所の橋はどちらも5㍍の丸太を使っていて(他の橋は4㍍を使用している)、そのせいでも余計に痛みが早かったようだ。
一応、新しい丸太の入手については当てがあるが、もちろん、木材が用意できても、それで終わるわけではない。8月になれば、あの渓を訪れる人も多かろうと思うのだが、以来ずっとはっきりとした結論の出ない思案を重ねている。今年は予定の立て方が悪かった。
本職でさえこんなもんで、車が通れれば側溝のことなどお構いなし。それを見にいった行政の関係者も、それで良しとしたようだ。雨が降ればまた山道は川になる。
本日はこの辺で。