東海、関東地方は相当の大雨だったようだ。それに比べ幸いこの辺りは、昨日に続き夜間は激しい雨音がしていたものの、朝方になって日が射してきた。気温もいつになく高く、朝の早いうちから上昇し、25度に迫ろうとしている。恐らく、今年の最高気温だと思われ、標高1700㍍の牧場にいても半袖のシャツで済んでいる。
そんなだから、道路沿いの太いコナシの木を2本伐って、簡単に後処理を済ませたら汗もかき、それだけで疲労困憊してしまった。
昨日は牛の頭数確認を夕方にすることにして、気になっていた山室の谷へ道路の状況を見にいってきた。材木運搬車が頻繁に通るのだろう、そのお蔭でオオダオ(芝平峠)から下の未舗装路も慣らされて、心配するほどのことはなかった。
ただし、枯れ木橋を過ぎてしばらく下っていった例の崩落場所だけは、道路にも多量の水が流れ出ていた。仕方なく、いつ頭上に岩が落ちてくるかヒヤヒヤしながら、流れを邪魔していた岩や石を側溝から引き上げ、水が道路に流れ出ないようにだけはしてきた。
その後牧場に帰ってから、雨と深い霧で牛の群を発見するのに手間取り、小入笠の中腹でようやく4頭を確認できた。ところがその上にいた1頭、とんでもないことに電牧の外で悠然として草を食んでいるではないか。慌てた。
牛を戻すのは簡単ではなく、そのためには電気を切らなければならない。しかしそれをすれば、追い戻したり牧柵を直したりしている間に、他の牛たちも真似をして柵外へ出ないとも限らず、やむなくその脱柵牛は無視して、和牛を中心の群れの無事を確認する方を優先することにした。
最終的には全頭の確認が無事でき、さらに牛を戻し、電牧も直して帰りかけたら牛共、急に気でも触れたように一団になって走り出した。いわゆる、集団暴走(STAMPEDE)の小さいので、雨に祟れて牛たちもあんなことでもしなければ気が晴れなかったのかも知れない。
膝を折ってその様子を眺めていたら、また全頭が近寄ってきて、そのまま山を下るのを見送ってくれた。牛たちもここにここにきてもうすぐ1ヶ月になる。今の環境ばかりか、人にも少しは慣れたようだ。
STAMPEDERSとは懐かしい言葉。アラスカのドーソンで金が発見され、その報に全米からたくさんの人が一攫千金を求めて押し寄せた。その人たちを牛の集団暴走になぞらえてこの言葉が使われたと、遠い昔、氷雨の降るスキャングウエイの街角で案内を読んで知った。
本日はこの辺で、明日は沈黙します。