
久しぶりに真夜中に起きて、長いこと棚の上に置きっ放しにしていた古いウイスキーを飲んでいる。1杯目はお湯割りにして、2杯目は生のままにした。アルコールは感覚を鋭くさせるのか、山の中の夜の静寂を耳に痛いほど感じている。いつの間にかここでの暮らしが6日続き、そろそろと思うも、まだ下に帰る予定が立たない。
昨日は午前9時の段階で気温が25度まで上がっていた。下界の伊那では最高気温36.1度を記録したとかで、これは長野県内でも最も高かったようだ。気象予報では「低い土地の浸水、土砂災害」への注意喚起が熱中症対策に変わり、「こまめに水分補給を」とことあるごとに聞かされる。COVID-19、オリンピック・パラリンピック、炎暑と、夏の到来をあまり歓迎できない人が多いのではないか。
時々、今年は山小屋、キャンプ場の営業をしているのかという問い合わせが来る。殆どが馴染みの人たちだが、そうでない人もいる。それに対しては「細々と」と応え、予約に余裕があれば受け付け、昨年のように断ることはしない。昨夏は営業を開始したのは8月からだった。
昨日の夕方、下見に来た中年の男の人は「ここは全然宣伝してないですね」と言って、不思議そうな顔をした。「全然」してないわけではないが、確かにそう思えるかも知れない。それに応える代わりに、静かな牧場の夕暮れの味わい深さを伝えたら頷いてくれていた。
気になっていたテイ沢の壊れた丸太橋に使う、結束用の板を昨日富士見で買ってきた。あそこには、あんな丸太橋などない方がいいかも知れないとも思い修理を怠ってきたが、すでに4本の丸太を運び込んであるし、近日中に誰でも渡れるようにしようと思っている。
今年は登山口からここまで来る牧場内の林道に被さる、コナシやモミの枝打ちにかなりの時間を取られ、牧場の外にまで手が回らなかった。その間、大雨が降っても、橋が流れなかったのは有難かった。
以前は「ナシの木」、現在は「貴婦人の丘」と呼んでいるあそこは、20年以上も前にテレビの番組に使われ、いまだに未知の人からその場所への立ち入りを希望する旨の問い合わせが来る。気持は分からないどころか充分に察せられるが、原則お断りしている。何かのついででもあれば別だが、個人のこうした要望にいちいち応じる時間も、人もいないのが実情で、是非ご理解いただきたい。
本日はこの辺で。