■自ら率先垂範して自ら作ったルールに基づいて、公共事業を実施する責務を負った公務員が、あろうことか、有害な大同スラグの不当投棄が明らかになり、状況を把握していたにもかかわらず、有害なスラグをそのまま放置し、更にその上に舗装工事を施して、サンパイの不法投棄現場を隠ぺいするという、公務員としての矜持を自ら放棄するような法令違反を行いました。当会は、この舗装工事の入札直前に群馬県農村整備課と吾妻吾農業事務所に有害スラグの撤去を優先するように要請しましたが、群馬県はそれを無視して東吾妻町萩生地区のスラグ敷砂利農道を舗装してしまい、ました。そのため当会では住民監査請求を経て、住民訴訟に踏み切りました。本日はその3回目の口頭弁論が前橋地裁で開かれました。その様子を報告します。
↑1月15日朝の前橋地方裁判所の正面。↑
いつものように当日朝、地裁のロビーに貼ってある開廷表をチェックしました。
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第21号法廷開廷表
平成28年1月15日金曜日
開始/終了/予定:13:10/13:20/第1回弁論
○事件番号/事件名:平成27年(行ウ)第19号
当事者/代理人:原告 株式会社まりも/-
:被告 群馬県/関夕三郎
担当:民事第2部合議係
裁判長 原道子
裁判官 佐藤薫
裁判官 根岸聡知
書記官 近藤直樹
○事件番号/事件名:平成27年(行ウ)第7号
当事者/代理人:原告 小川賢外/-
:被告 群馬県知事大澤正明/関夕三郎(※県の指定代理人:笹本秀一・福島計之・播磨幸三・吉田輝彦)
担当:民事第2部合議係
裁判長 原道子
裁判官 佐藤薫
裁判官 根岸聡知
書記官 近藤直樹
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このように、別件の行政訴訟と合わせて開廷されたため、当会も午後1時に第21号法廷に入り傍聴していました。最初の行政訴訟では、原告の訴訟代理人の弁護士が10分ほど遅刻して、午後1時31分まで続きました。そのため、当会の裁判が開始されたのは午後1時32分過ぎでした。
■第3回口頭弁論は、裁判長の「本日第3回目の口頭弁論期日を開きます」という言葉で始められました。
最初に裁判長は、「書証の関係で、原告準備書面(3)で1か所誤記が有るのではないか」として、原告準備書面(3)の1枚目の下から8行目に記載の文章を指摘しました。「地域公共次号調整費というのは、『次号』は『事業』ということでいいですか?」と指摘されたため、当会では、「『事業』が正しいです」と誤記であることを認めました。
裁判長は被告に対しても「わかりましたよね、単に字が誤記だということ」と確認を求めました。被告の訴訟代理人の関夕三郎弁護士は「はい」と確認しました。
裁判長は原告被告双方への確認を終えると、「原告準備書面(3)の今申し上げた箇所については、次号を事業と訂正し、それから準備書面(4)、(5)はいずれも陳述でよろしいですね?」と原告に言葉を投げかけました。原告は「はい、陳述します」と答えました。
裁判長は次に被告側に向かって「被告の第2準備書面、これを陳述してよろしいですね?」と同様に確認を求めると、被告の訴訟代理人は「はい、陳述します」と答えました。
続いて書証に関しても裁判長は「原告の書証提出について、甲26から42まですべて、写し、コピーと言うことでよろしいですね?」と原告に確認してきたので、原告は「ええ、そうです。写しです」と答えました。
裁判長は被告にたいしても、「乙1号証から5号証まで、これも全て写しでということでよろしいですか?」と言うと、被告訴訟代理人は「はい」と答えました。
次に裁判長は被告に対して、次のような訴訟指揮をしました。
「裁判所の方から被告に対して、求釈明になると思いますが、お話しがあります」
突然の訴訟指揮に被告はもとより当会も耳をそばだてました。
裁判長はその様子を目にしたのか、原告に向かって、「もし、聞いていて原告がその通りだと思ったら、その通りだとおっしゃっていただき、ちょっと違うなというのであれば、違うと言ってもらいたい」と言葉を掛けました。思わず当会は「はい」と答えました。
続いて裁判長が発した言葉は次のような趣旨でした。
「この事件の中で、もっとも実質的な争点は、本件舗装契約が適法か違法か、舗装契約をしたことが適法なのか違法なのか、ということだと思います」
「それは、原告の訴状によると、地方自治法2条14号に違反する、ということをおっしゃっているように思います」
これを聞いた当会は、第2回口頭弁論で、裁判長から「地方自治法2条14号の主張はあいまいなので具体的にどのような法令に違反するのか、きちんと説明するように」と訴訟指揮を受けており、今回の原告準備書面(3)~(5)で被告群馬県の犯した法令違反について列挙していたため、まだ不十分なのかと思い、裁判長に対して「ええ、それに関連して、まあいろいろあるんでけれども・・・」と思わずコメントしました。
すると裁判長は「訴状自体が間違っていますか?」とピシャリと言い放ったので、当会は「いいえ、間違ってないです」と答えました。
裁判長は当会のコメントの意図を直ちに理解した様子で、次のような説明をしてくれました。
「基本的に地方自治法2条14項に違反するかしないか、ということ。それでこれは地方財政法4条にも同趣旨の条文があったりするが、おそらく被告は、原告のこの主張が具体的な条項の指摘には当たらないという理解なのだと思う」
「つまり被告の7月3日付の答弁書の5ページ目の最後のフレーズの『法令違背の摘示がない。本件舗装工事の当不当を論ずるものに過ぎない』と書かれているのは、おそらく地方自治法2条14項、それから地方財政法の4条も同趣旨なのだが、それは具体的な法令違背の摘示ではないという理解だと思われる」
「では、本当にそうなのか、と言うことで検討すると、これを根拠に契約が無効になる、という考え方が、これを摘示すれば摘示として足りるという書籍等もあるので、そこの点について、被告に主張してもらう必要がある」
「即ち地方自治法2条14号に違反するというふうに原告が言っていることが、具体的な摘示に当たるということを前提とした反論をしてもらう必要があると思う」
被告側は神妙な表情で裁判長の言葉を聞いている様子が見て取れました。裁判長はさらに次の説明を続けました。
「とくに平成20年以降の最高裁判決には、それだけ具体的な摘示等の条項に当たることを前提にしていたり、その場合にどういうふうに判断するとよいのか、という本件とは全く違う事件についての事例判断が出ていたりしている」
「なので、そうした事例判断も検討の上、法令違背の摘示がない、というスタンスではなく、摘示はあるが、その場合はこういうふうに考えるという、ということになっていかないと双方の主張がかみ合わない、ということになりますので検討すること」
被告側はますます真剣な面持ちとなりました。一方、裁判長の発言の真意をまだ十分に測りかねていた当会はやや怪訝な面持ちだったためか、それを察知した様子の裁判長から次の発言がありました。
「つまり、原告の主張が足りないということで、原告の主張があるのだが、主張が足りないわけではないと思いますよと。ただもっと深めてほしいというお願いをしたというわけですよ」
前回の第2回口頭弁論での裁判長の発言とかなりニュアンスが異なるので、原告の当会は思わず戸惑ってしまいました。その様子をみた裁判長はすかさず、「はい、何か?」と原告に訊ねてきたので、当会は、「はい、裁判長のおっしゃる通りだと思います」と答えました。
続けて「今、裁判長のおっしゃる通りだと思います。要するに、これを掘り下げずに安直に行ってしまうと、また、再発防止にもならないし、二重基準だということで、行政不信がますます深まりますのでね。やはりきちんと説明責任を行政側として果たしてもらわないと、納税者たる住民は迷惑を被る、ということで、今の裁判長のご意見は非常にそのとおりだと思いました」と答えました。
裁判長は「ですから、被告にお願いするんですね」と言ったので、当会としても「はい、異議なし。お願いします」と裁判長に原告としての意見を伝えました。
裁判長は、最後に次回の弁論期日について話し出しました。
「では被告に主張していただき、それでまた、それに対して原告が再度かみ合って主張いただくことになろうかと思う。それで、被告はどのくらいの期間内に準備書面を出してもらえますか?」
すると被告は「書面提出までに2カ月程度いただきたいが・・・」と答えました。裁判長は、先ほどの別の事件でも群馬県側の訴訟代理人だった関夕三郎弁護士が同じように次回弁論期日について今年度末に差し掛かるタイミングに関して、裁判長が説明していたことを思い出して、
「それについて、先ほどもそうおっしゃられたが、そうなると次回期日を3月11日締め切りが(裁判所の年度末、年度初めの人事異動等で事件の審理が一時的にストップすることから)4月14日になってしまうということで、3月11日の前に出せないかということになる」
旨、被告の訴訟代理人に言い渡しました。被告側は「ちょっと時間の余裕が・・・」と、この事件の重要なポイントになりそうな次回の被告第3準備書面の作成の時間をかける必要性を念頭に、口ごもりました。裁判長はその様子を見て、
「そうすると、次回弁論期日を4月15日ということにして、例えば、被告が3月15日までに提出した場合に、原告は、それに対しておそらく反論したいという話になると思う。その場合、1か月くりか、それとも2カ月くらいかかるのか?」
と、今度は原告の都合を確認してきました。当会は、被告の第3準備書面の内容がどのようなものになるかを測りかねて、「うーん、どうするかなあ」と熟考せざるを得ませんでした。
裁判長は「希望でいいです。被告もほうも希望なので」と促してくれました。当会としては3月も日本にいない可能性があるため、「4月15日だと(きついので)、もう少し伸ばしたいですよね」と言いました。裁判長は、
「2ケ月?被告にはまず3月15日を守ってほしい。そして、それから2カ月となると、(原告としては)5月15日より後にしてほしいというのか?」
と聞いてきました。当会は、5月も日本に居ない可能性があること、また、現在県警が捜査中のこの問題にかかわる司法判断をあまり先送りしたくないことから、被告の群馬県のペースに合わせる必要もないと考えました。そこで1か月程度で被告の次回準備書面に反論することを決め、「4月末までにやりたい」と答えました。
裁判長は「4月末の金曜日だが、裁判緒は休みに入っている。4月22日だったら可能だが、あるいは5月13日になる」と言いました。原告は「そうか、連休に入ってしまうんだ」と言うと、裁判長は「4月22日の1週間前に反論を出してもらえればよい」と答えました。
そのため、当会は「では4月22日でお願いします」と裁判長に言いました。
裁判長はこうしたやりとりを踏まえて次のような趣旨で次回弁論期日に関する訴訟指揮をしました。
「そうすると被告が3月15日までに準備書面を提出し、原告は4月15日までに反論の準備書面を出してもらい、裁判所で読ませていただき、4月22日に次回弁論期日とする。つまり、予め被告から主張が出され、原告から反論の主張が出されて、それぞれ準備書面を陳述し、裁判所はその2つの準備書面を読ませていただく」
「そして4月22日に次回口頭言論期日を開くが、10時半、1時10分、1時半のうち、時間はどれがよいか?」
という提案がありました。当会は「いつでもよいです」とすぐに答えました。一方、事件をたくさん抱えている被告の訴訟代理人の弁護士が、手帳の予定表をめくっているのを見て、裁判長は「10時半は早いですか?」と声を掛けました。
被告の弁護士もようやく「はい結構です」と答えたので、裁判長は、「では次回の弁論期日は4月22日の10時30分です」と宣言しました。
当会は、先日の被告からの準備書面がいつも日付から遅れることから、次の発言をしました。
「被告にお願したい。3月15日限りということであると、やはり3月15日に準備書面をいただかないと困る。郵送で1、2日してから普通郵便でのらりくらりして送ってもらうと、3日程度、ロスを被る。タイム・イズ・マネーなので、期限が来たら即、準備書面を送ってもらいたい」
すると裁判長も「裁判所にも、3月15日の16時には届くように、よろしいですか」と被告に申し渡しました。そして、「本日の期日はこれでよろしいでしょうか?」と指揮し、原告、被告双方が「はい」と答えると、「では終了します」と言い放ち、2名の陪席裁判官を引き連れて、法廷を立ち去っていきました。
以上のような内容で、東吾妻町萩生地区の大同スラグ不法投棄事件の住民訴訟の第3回口頭弁論のやり取りが交わされました。
■第3回口頭弁論に立ち会っていた当会の関係者の間では、前回口頭弁論に比べて打って変わった裁判長の対応に、今後の裁判の行方を重ねて、期待する声と、一方で予断は禁物という声が聞かれました。
3月15日に被告から出される被告第3準備書面の内容を待って、当会として対応をしていきたいと思います。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※原告準備書面(3)
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○2015年12月25日:大同スラグ訴訟…クリスマスに提出されたオンブズマンの準備書面(3)と来年1月15日の第3回口頭弁論↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1837.html
※原告準備書面(4)
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事件番号 平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原告 小 川 賢 外1名
被告 群馬県知事 大澤正明
平成28年1月4日
前橋地方裁判所民事2部合議係 御中
原告準備書面(4)
原告 小 川 賢 ㊞
原告 鈴 木 庸 ㊞
平成27年12月25日付の原告準備書面(3)のうち、次の箇所を変更、もしくは証拠を追加する。
1.6ページの上から21行目
第3(1)ア ②<原告の反論>
正規の再生砕石(CS-40)の場合は、このように材料試験(成分、物性)について・・・
これを次の通り修正する。
正規の再生砕石(RC-40)の場合は、このように材料試験(成分、物性)について・・・
2.8ページの上から7行目
第3(1)イ ③<原告の反論>
正規の再生砕石(CS-40)では、このように厳格に取り扱っているのに、・・・
これを次の通り修正する。
正規の再生砕石(RC-40)では、このように厳格に取り扱っているのに、・・・
3.10ページの最下行以下11ページの上から2行目にかけて
第3(1)ウ ⑥<原告の反論>
さらに被告は「下層路盤工として用いられる骨材が施工後しばらくの間は敷砂利と同様の外形を呈している」と主張するが、下層路盤工なら締固め度95%になるよう転圧し開放するはずである。したがって、転圧を伴わない「敷砂利工」の外観を呈するはずがない。施工に従事するプロの目から見れば、似て非なる工種である(甲29)。
これに関連して、「下層路盤工なら締固め度95%になるよう転圧し開放するはずである」ことを定めた証拠を、甲37として追加提出する。
4.11ページの上から3行目以下5行目にかけて
第3(1)ウ ⑥<原告の反論>
加えてステージコンストラクション(段階的工法)というなら、同じ材料で下層路盤工を完成させなければならない(甲35)。なぜなら同じメーカーの材料を使用しなければ締固め度の管理をすることはできないからである。異なる材料で下層路盤工の施工を管理できるなら、被告は原稿にその根拠を示してほしい。
これに関連して、「同じ材料で下層路盤工を完成させなければならない」ことを定めた証拠を、甲38として追加提出する。
以 上
※証拠説明書の甲号証リスト(甲37~38)
号証:標目/原本・写しの別/作成年月日/作成者/立証趣旨
●甲37:b37xewrxgnv_.pdf
群馬県建設工事必携(平成23年度版)(抜粋)/写し/平成23年4月1日/被告/下層路盤工なら締固め度95%になるよう転圧し交通開放するはずであることを示す証拠。
●甲38:b38qnhkglq.pdf
支道27号の砕石の厚みの様子がわかる現場写真/写し/平成28年1月4日/原告/同じ材料で下層路盤工を完成させなければならないことを示す証拠。
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※原告準備書面(5)
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事件番号 平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原告 小 川 賢 外1名
被告 群馬県知事 大澤正明
平成28年1月13日
前橋地方裁判所民事2部合議係 御中
原告準備書面(5)
原告 小 川 賢 ㊞
原告 鈴 木 庸 ㊞
1.平成27年12月25日付の原告準備書面(3)のうち、次の箇所に関する原告の反論に関連する証拠を追加する。
●11ページ目の上から7~9行目にかけて
第3(1)ウ ⑥<原告の反論>
被告が、ステージコンストラクション(段階的工法)を主張するのなら、一年間は交通開放をしなければならない。交通開放で締め固まった分補足材を足すが、補足材は1年で1cmの補充と決まっている。一年未満の交通開放はありえない。」と反論したが、これを次の通り変更する。
この段階的工法という側面から見ても、舗装前の道路の状況は、被告の主張する「下層路盤工」の呈を示していない。誰が見ても「敷砂利工」であると考えられる。
これに関連して、「土地改良事業計画設計基準 設計 農道(農林水産省構造改善局 平成元年4月制定)」「第4章 設計」「4.3 路床」「4.ステージコンストラクション」を証拠として追加提出する(甲39)。
上記文献を見ると「交通上やむを得ない場合を除き、一度に表層まで完成させず、まず下層路盤まで施工し、その後状況を判断して段階的に完成させていく方法がある。」とされている。そして、この場合に採用される(1)(2)の二つの方法が例示されているが、どちらの方法も少なくとも下層路盤までは仕上げている。この点において、被告が「下層路盤を二段階に施工する」と説明するのとは全く対照的である。
甲39の「図-4.3.2」の説明には「第二段階として1~3年間後に破損した部分があれば修理した後、表層を施工する。」とあり、その場合の予算としては、「1年1cmしか補足材の厚さは設計されないのが通例」だと聞いている。
さらに、この説明文にもあるように、「破損した部分があれば修理」をするところから、補足材の使用は限定的であることが容易に理解できる。
被告が例えば、支道27号で、11cmも補足材を足したということは、敷砂利だったのを隠蔽するための苦し紛れの言い逃れであり、言い換えれば「事実を捻じ曲げて納税者に説明した」ことに等しく、いわゆる「捏造」である。
研究等の場合における捏造行為は、研究倫理に違反する行為であって、一般的には、法律に抵触しないので、犯罪として扱われない。しかし、重大な捏造行為は、詐欺罪などの犯罪に該当することが多い。
一般的には公務員の頭脳は優秀だというのが衆人の主観だが、頭脳が優秀だからと言って、その言動が客観的に正直(ウソをつかない)とは限らない。
被告が「支道27号で11cmも補足材を足した」と説明することは、あきらかに「敷砂利工事」だったことを隠蔽するためであり、下層路盤工が1層仕上げて計画されているであろう本件舗装工事について、「下層路盤自体を段階的に施工する」とする被告の主張には無理がある。交通上、やむを得ない場合でも、1層仕上げでは締固め度を求めるなどの管理ができないため、下層路盤工を段階的にすることはできないのである。本件農道工事は、敷砂利工であったことは明白である。それを下層路盤工だと捏造することは、公務員の倫理としていかがなものか。
被告がこの期に及んで、これ以上「捏造」したことを主張し続けているところを目の当たりにすると、もはや“重大な捏造行為”と言わざるを得ない。
2.同じく、次の箇所に関して、原告は陳述を追加する。
●2~3ページ目
第1 「本件舗装契約は、いかなる理由で、いかなる法令に反し違法となるのかにつき明らかにされたい」について
第2 「原告らの上記内容につき詳細に主張されたい」について
被告が行った本件舗装工事について、被告も認めているように、平成26年6月の入札後、施工前に原告らは「有害スラグが含まれている建設資材が現場に既に敷砂利として存在しており、それを原因者に撤去させるまで本件舗装工事をしないでほしい」と被告に申し入れ、有害物質の存在を指摘していた。たが、被告は、原告の指摘を無視して、本件舗装工事を強行した。
原告の指摘は、スラグの有害性の観点から、既に平成26年6月以前に被告の環境森林部が、群馬東吾妻町箱島等にあった訴外・大同エコメット及び佐藤建設工業が管理する当該建設資材置場に「産業廃棄物」であることを示す看板を掲げさせていたことから、正当な指摘と考えられる。
この原告の指摘により、被告の農政部農村整備課及び吾妻農業事務所は、本件舗装工事に先立ち、下層路盤(本来は敷砂利だが、あえてこう表現する)に有害物であるスラグが存在することを知りながら、当該有害物を除去することなく、本件舗装工事を施工した。
有害物を除去せずに行った被告の行為は、被告の農政部共通の工事標準を定めた「群馬県建設工事必携」の「第3篇 土木工事共通編」「第2章 一般施工」「第6節 一般舗装工」「3-2-6-1 一般事項」「4.受注者は、路盤の施工に先立って、路床面または下層路盤面の浮石、その他の有害物を除去しなければならない」(甲40)に違反している。
同じく有害物の関連で、「群馬県建設工事必携」の「10.再生資源の利用に関する実施要領」「建設副産物から精算した再生材の使用に関する仕様書」「別記2 再生砂(RC-10)の品質、規格、環境基準」「3 環境基準」「3-1」(甲41)には、「透水性を有し、浸透した水が土壌又は公共用水域へ拡散するおそれのある箇所に、工作物の埋戻し材料等として使用する際には、六価クロムについて、平成3年8月23日付け環境庁告示第46号に規定される測定方法に基づき、あらかじめ土壌の汚染に係る県境基準に適合することを確認することとし、積算にあたっては必要な費用を計上すること。なお、資料には製品を直接使用し、各工事で1購入先当たり1検体の試験を行うものとする」(下線部は原告が追加)と定めている。
このように、公共工事から排出される建設副産物を、許可を得て再生したいわば正規の再生砕石でも、「透水性を有し浸透した水が土壌又は公共用水域へ拡散するおそれのある箇所に、工作物の埋め戻し材料として使用する際には」重金属検査をして環境に注意を払うよう、定めているのである。
今回、被告の耕作放棄地に対する補助金を原資として南波建設が施工した本件農道工事は、食の安全が最優先されるべき田園地帯にある田畑の中の農道工事である。
上記のとおり、正規の再生砕石であっても、農業地帯の圃場整備のような、とりわけ生活環境や営農環境に多大なリスクを受けやすい工事においては、厳格な注意を払うように定められているにもかかわらず、実際に環境基準を大幅に超える有毒物質を多量にブレンドした天然砕石のかかえる問題点について、なぜ被告は直視しようとしないのか。
事実、東吾妻町萩生地区の支道27号で、本件舗装工事が開始される前に、原告らの主催する市民団体の会員が、日本共産党渋川市議団の調査に同行した時、支道27号の敷砂利をサンプリングし、分析調査した結果を見れば、敷砂利には環境基準を大幅に超える有毒物質が含まれていることは一目瞭然である(甲42)。
この試験報告書が示す通り、分析結果は含有試験で4000mg/kgまでのところが実際には5000mg/kg、溶出試験では0.8mg/Lまでのところが実際には4.7mg/Lとなっており、どちらも環境基準値を大幅に超過している。ちなみに、この分析結果は、スラグの粒だけを拾い出して検査したものではなく、スコップで採取したものをそのままの分析した結果だということである。まさに、有害スラグ100%状態だったという実態であることがわかる。
最後にもうひとつ。本件舗装工事に際して、群馬県建設工事必携に定めたとおり、被告は下層路盤面の有害物を取り除かなければならないことは先ほども述べたところである。ところが被告は、本件舗装工事をする前に有害物(有害スラグ)を取り除かないまま施工したのである。このことは、被告は、群馬県職員や請負者が遵守すべき建設工事基準等を定めた群馬県建設工事必携(通称「赤本」と称する)に自ら違反していることを示している。
よって被告の行為は、地方公務員法第32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)で定める「職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」に違反するので、地方自治法第243条の2(職員の賠償責任)に定めた「会計管理者若しくは会計管理者の事務を補助する職員、資金前渡を受けた職員、占有動産を保管している職員又は物品を使用している職員が故意又は重大な過失(現金については、故意又は過失)により、その保管に係る現金、有価証券、物品(基金に属する動産を含む。)若しくは占有動産又はその使用に係る物品を亡失し、又は損傷したときは、これによつて生じた損害を賠償しなければならない。次に掲げる行為をする権限を有する職員又はその権限に属する事務を直接補助する職員で普通地方公共団体の規則で指定したものが故意又は重大な過失により法令の規定に違反して当該行為をしたこと又は怠つたことにより普通地方公共団体に損害を与えたときも、また同様とする。 一 支出負担行為 二 第二百三十二条の四第一項の命令又は同条第二項の確認 三 支出又は支払 四 第二百三十四条の二第一項の監督又は検査」(下線部は原告が追加)により、損害を賠償しなければならない。
以 上
※証拠説明書の甲号証リスト(甲39~42)
号証:標目/原本・写しの別/作成年月日/作成者/立証趣旨
●甲39:b39xewrxgnvw_.pdf
土地改良事業計画設計基準 設計 農道、第4章 設計/写し/平成元年4月/農林水産省構造改善局/ステージコンストラクションの施工例に関連して、一般的に農道舗装の設計において採用される方法について詳述している。下層路盤工なら、路床・路盤状況が複雑な場合や軟弱地盤などの特殊な条件を勘案し、下層路盤工なら路面整形を行い交通開放するはずであることを示す証拠。
●甲40:b40qnhkglq.pdf
群馬県建設工事必携、第3編土木工事共通編、第2章一般施工、第6節一般舗装工、3-2-6-1-一般事項(平成23年度版)/写し/平成23年4月/被告/被告が下層路盤工と主張する場合、路盤の施工に先立って路床面又は下層路盤面の有害物を除去しなければならないが、被告は有害スラグの存在を知りながら有害物を除去せず、農政部共通の群馬県建設工事必携に違反して本件舗装工事を施工したことを示す証拠。
●甲41:b41pvs.pdf
群馬県建設工事必携、10. 再生資源の利用に関する実施要領(平成23年度版)/写し/平成23年4月/被告/食の安全が最優先されるべき田園地帯の圃場の中の農道工事において、被告が六価クロムを含む鉄鋼スラグを混合した天然砕石の有害性に着目せず本件舗装工事を施工したことを示す証拠。
●甲42:b42tbf.pdf
試験報告書群馬県建設工事必携、10. 再生資源の利用に関する実施要領(平成23年度版)/写し/平成26年5月19日/株式会社 片山化学工業研究所大阪分析センター/本件舗装工事施工前に、支道27号の敷砂利として使われていた鉄鋼スラグを混合した砕石を現場で採取し試験機関で分析した結果、含有試験及び溶出試験ともに環境基準値を超えるフッ素が検出されたことを示す証拠。本件舗装前に有害物が存在していたことがわかる。
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↑1月15日朝の前橋地方裁判所の正面。↑
いつものように当日朝、地裁のロビーに貼ってある開廷表をチェックしました。
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第21号法廷開廷表
平成28年1月15日金曜日
開始/終了/予定:13:10/13:20/第1回弁論
○事件番号/事件名:平成27年(行ウ)第19号
当事者/代理人:原告 株式会社まりも/-
:被告 群馬県/関夕三郎
担当:民事第2部合議係
裁判長 原道子
裁判官 佐藤薫
裁判官 根岸聡知
書記官 近藤直樹
○事件番号/事件名:平成27年(行ウ)第7号
当事者/代理人:原告 小川賢外/-
:被告 群馬県知事大澤正明/関夕三郎(※県の指定代理人:笹本秀一・福島計之・播磨幸三・吉田輝彦)
担当:民事第2部合議係
裁判長 原道子
裁判官 佐藤薫
裁判官 根岸聡知
書記官 近藤直樹
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このように、別件の行政訴訟と合わせて開廷されたため、当会も午後1時に第21号法廷に入り傍聴していました。最初の行政訴訟では、原告の訴訟代理人の弁護士が10分ほど遅刻して、午後1時31分まで続きました。そのため、当会の裁判が開始されたのは午後1時32分過ぎでした。
■第3回口頭弁論は、裁判長の「本日第3回目の口頭弁論期日を開きます」という言葉で始められました。
最初に裁判長は、「書証の関係で、原告準備書面(3)で1か所誤記が有るのではないか」として、原告準備書面(3)の1枚目の下から8行目に記載の文章を指摘しました。「地域公共次号調整費というのは、『次号』は『事業』ということでいいですか?」と指摘されたため、当会では、「『事業』が正しいです」と誤記であることを認めました。
裁判長は被告に対しても「わかりましたよね、単に字が誤記だということ」と確認を求めました。被告の訴訟代理人の関夕三郎弁護士は「はい」と確認しました。
裁判長は原告被告双方への確認を終えると、「原告準備書面(3)の今申し上げた箇所については、次号を事業と訂正し、それから準備書面(4)、(5)はいずれも陳述でよろしいですね?」と原告に言葉を投げかけました。原告は「はい、陳述します」と答えました。
裁判長は次に被告側に向かって「被告の第2準備書面、これを陳述してよろしいですね?」と同様に確認を求めると、被告の訴訟代理人は「はい、陳述します」と答えました。
続いて書証に関しても裁判長は「原告の書証提出について、甲26から42まですべて、写し、コピーと言うことでよろしいですね?」と原告に確認してきたので、原告は「ええ、そうです。写しです」と答えました。
裁判長は被告にたいしても、「乙1号証から5号証まで、これも全て写しでということでよろしいですか?」と言うと、被告訴訟代理人は「はい」と答えました。
次に裁判長は被告に対して、次のような訴訟指揮をしました。
「裁判所の方から被告に対して、求釈明になると思いますが、お話しがあります」
突然の訴訟指揮に被告はもとより当会も耳をそばだてました。
裁判長はその様子を目にしたのか、原告に向かって、「もし、聞いていて原告がその通りだと思ったら、その通りだとおっしゃっていただき、ちょっと違うなというのであれば、違うと言ってもらいたい」と言葉を掛けました。思わず当会は「はい」と答えました。
続いて裁判長が発した言葉は次のような趣旨でした。
「この事件の中で、もっとも実質的な争点は、本件舗装契約が適法か違法か、舗装契約をしたことが適法なのか違法なのか、ということだと思います」
「それは、原告の訴状によると、地方自治法2条14号に違反する、ということをおっしゃっているように思います」
これを聞いた当会は、第2回口頭弁論で、裁判長から「地方自治法2条14号の主張はあいまいなので具体的にどのような法令に違反するのか、きちんと説明するように」と訴訟指揮を受けており、今回の原告準備書面(3)~(5)で被告群馬県の犯した法令違反について列挙していたため、まだ不十分なのかと思い、裁判長に対して「ええ、それに関連して、まあいろいろあるんでけれども・・・」と思わずコメントしました。
すると裁判長は「訴状自体が間違っていますか?」とピシャリと言い放ったので、当会は「いいえ、間違ってないです」と答えました。
裁判長は当会のコメントの意図を直ちに理解した様子で、次のような説明をしてくれました。
「基本的に地方自治法2条14項に違反するかしないか、ということ。それでこれは地方財政法4条にも同趣旨の条文があったりするが、おそらく被告は、原告のこの主張が具体的な条項の指摘には当たらないという理解なのだと思う」
「つまり被告の7月3日付の答弁書の5ページ目の最後のフレーズの『法令違背の摘示がない。本件舗装工事の当不当を論ずるものに過ぎない』と書かれているのは、おそらく地方自治法2条14項、それから地方財政法の4条も同趣旨なのだが、それは具体的な法令違背の摘示ではないという理解だと思われる」
「では、本当にそうなのか、と言うことで検討すると、これを根拠に契約が無効になる、という考え方が、これを摘示すれば摘示として足りるという書籍等もあるので、そこの点について、被告に主張してもらう必要がある」
「即ち地方自治法2条14号に違反するというふうに原告が言っていることが、具体的な摘示に当たるということを前提とした反論をしてもらう必要があると思う」
被告側は神妙な表情で裁判長の言葉を聞いている様子が見て取れました。裁判長はさらに次の説明を続けました。
「とくに平成20年以降の最高裁判決には、それだけ具体的な摘示等の条項に当たることを前提にしていたり、その場合にどういうふうに判断するとよいのか、という本件とは全く違う事件についての事例判断が出ていたりしている」
「なので、そうした事例判断も検討の上、法令違背の摘示がない、というスタンスではなく、摘示はあるが、その場合はこういうふうに考えるという、ということになっていかないと双方の主張がかみ合わない、ということになりますので検討すること」
被告側はますます真剣な面持ちとなりました。一方、裁判長の発言の真意をまだ十分に測りかねていた当会はやや怪訝な面持ちだったためか、それを察知した様子の裁判長から次の発言がありました。
「つまり、原告の主張が足りないということで、原告の主張があるのだが、主張が足りないわけではないと思いますよと。ただもっと深めてほしいというお願いをしたというわけですよ」
前回の第2回口頭弁論での裁判長の発言とかなりニュアンスが異なるので、原告の当会は思わず戸惑ってしまいました。その様子をみた裁判長はすかさず、「はい、何か?」と原告に訊ねてきたので、当会は、「はい、裁判長のおっしゃる通りだと思います」と答えました。
続けて「今、裁判長のおっしゃる通りだと思います。要するに、これを掘り下げずに安直に行ってしまうと、また、再発防止にもならないし、二重基準だということで、行政不信がますます深まりますのでね。やはりきちんと説明責任を行政側として果たしてもらわないと、納税者たる住民は迷惑を被る、ということで、今の裁判長のご意見は非常にそのとおりだと思いました」と答えました。
裁判長は「ですから、被告にお願いするんですね」と言ったので、当会としても「はい、異議なし。お願いします」と裁判長に原告としての意見を伝えました。
裁判長は、最後に次回の弁論期日について話し出しました。
「では被告に主張していただき、それでまた、それに対して原告が再度かみ合って主張いただくことになろうかと思う。それで、被告はどのくらいの期間内に準備書面を出してもらえますか?」
すると被告は「書面提出までに2カ月程度いただきたいが・・・」と答えました。裁判長は、先ほどの別の事件でも群馬県側の訴訟代理人だった関夕三郎弁護士が同じように次回弁論期日について今年度末に差し掛かるタイミングに関して、裁判長が説明していたことを思い出して、
「それについて、先ほどもそうおっしゃられたが、そうなると次回期日を3月11日締め切りが(裁判所の年度末、年度初めの人事異動等で事件の審理が一時的にストップすることから)4月14日になってしまうということで、3月11日の前に出せないかということになる」
旨、被告の訴訟代理人に言い渡しました。被告側は「ちょっと時間の余裕が・・・」と、この事件の重要なポイントになりそうな次回の被告第3準備書面の作成の時間をかける必要性を念頭に、口ごもりました。裁判長はその様子を見て、
「そうすると、次回弁論期日を4月15日ということにして、例えば、被告が3月15日までに提出した場合に、原告は、それに対しておそらく反論したいという話になると思う。その場合、1か月くりか、それとも2カ月くらいかかるのか?」
と、今度は原告の都合を確認してきました。当会は、被告の第3準備書面の内容がどのようなものになるかを測りかねて、「うーん、どうするかなあ」と熟考せざるを得ませんでした。
裁判長は「希望でいいです。被告もほうも希望なので」と促してくれました。当会としては3月も日本にいない可能性があるため、「4月15日だと(きついので)、もう少し伸ばしたいですよね」と言いました。裁判長は、
「2ケ月?被告にはまず3月15日を守ってほしい。そして、それから2カ月となると、(原告としては)5月15日より後にしてほしいというのか?」
と聞いてきました。当会は、5月も日本に居ない可能性があること、また、現在県警が捜査中のこの問題にかかわる司法判断をあまり先送りしたくないことから、被告の群馬県のペースに合わせる必要もないと考えました。そこで1か月程度で被告の次回準備書面に反論することを決め、「4月末までにやりたい」と答えました。
裁判長は「4月末の金曜日だが、裁判緒は休みに入っている。4月22日だったら可能だが、あるいは5月13日になる」と言いました。原告は「そうか、連休に入ってしまうんだ」と言うと、裁判長は「4月22日の1週間前に反論を出してもらえればよい」と答えました。
そのため、当会は「では4月22日でお願いします」と裁判長に言いました。
裁判長はこうしたやりとりを踏まえて次のような趣旨で次回弁論期日に関する訴訟指揮をしました。
「そうすると被告が3月15日までに準備書面を提出し、原告は4月15日までに反論の準備書面を出してもらい、裁判所で読ませていただき、4月22日に次回弁論期日とする。つまり、予め被告から主張が出され、原告から反論の主張が出されて、それぞれ準備書面を陳述し、裁判所はその2つの準備書面を読ませていただく」
「そして4月22日に次回口頭言論期日を開くが、10時半、1時10分、1時半のうち、時間はどれがよいか?」
という提案がありました。当会は「いつでもよいです」とすぐに答えました。一方、事件をたくさん抱えている被告の訴訟代理人の弁護士が、手帳の予定表をめくっているのを見て、裁判長は「10時半は早いですか?」と声を掛けました。
被告の弁護士もようやく「はい結構です」と答えたので、裁判長は、「では次回の弁論期日は4月22日の10時30分です」と宣言しました。
当会は、先日の被告からの準備書面がいつも日付から遅れることから、次の発言をしました。
「被告にお願したい。3月15日限りということであると、やはり3月15日に準備書面をいただかないと困る。郵送で1、2日してから普通郵便でのらりくらりして送ってもらうと、3日程度、ロスを被る。タイム・イズ・マネーなので、期限が来たら即、準備書面を送ってもらいたい」
すると裁判長も「裁判所にも、3月15日の16時には届くように、よろしいですか」と被告に申し渡しました。そして、「本日の期日はこれでよろしいでしょうか?」と指揮し、原告、被告双方が「はい」と答えると、「では終了します」と言い放ち、2名の陪席裁判官を引き連れて、法廷を立ち去っていきました。
以上のような内容で、東吾妻町萩生地区の大同スラグ不法投棄事件の住民訴訟の第3回口頭弁論のやり取りが交わされました。
■第3回口頭弁論に立ち会っていた当会の関係者の間では、前回口頭弁論に比べて打って変わった裁判長の対応に、今後の裁判の行方を重ねて、期待する声と、一方で予断は禁物という声が聞かれました。
3月15日に被告から出される被告第3準備書面の内容を待って、当会として対応をしていきたいと思います。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※原告準備書面(3)
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○2015年12月25日:大同スラグ訴訟…クリスマスに提出されたオンブズマンの準備書面(3)と来年1月15日の第3回口頭弁論↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1837.html
※原告準備書面(4)
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事件番号 平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原告 小 川 賢 外1名
被告 群馬県知事 大澤正明
平成28年1月4日
前橋地方裁判所民事2部合議係 御中
原告準備書面(4)
原告 小 川 賢 ㊞
原告 鈴 木 庸 ㊞
平成27年12月25日付の原告準備書面(3)のうち、次の箇所を変更、もしくは証拠を追加する。
1.6ページの上から21行目
第3(1)ア ②<原告の反論>
正規の再生砕石(CS-40)の場合は、このように材料試験(成分、物性)について・・・
これを次の通り修正する。
正規の再生砕石(RC-40)の場合は、このように材料試験(成分、物性)について・・・
2.8ページの上から7行目
第3(1)イ ③<原告の反論>
正規の再生砕石(CS-40)では、このように厳格に取り扱っているのに、・・・
これを次の通り修正する。
正規の再生砕石(RC-40)では、このように厳格に取り扱っているのに、・・・
3.10ページの最下行以下11ページの上から2行目にかけて
第3(1)ウ ⑥<原告の反論>
さらに被告は「下層路盤工として用いられる骨材が施工後しばらくの間は敷砂利と同様の外形を呈している」と主張するが、下層路盤工なら締固め度95%になるよう転圧し開放するはずである。したがって、転圧を伴わない「敷砂利工」の外観を呈するはずがない。施工に従事するプロの目から見れば、似て非なる工種である(甲29)。
これに関連して、「下層路盤工なら締固め度95%になるよう転圧し開放するはずである」ことを定めた証拠を、甲37として追加提出する。
4.11ページの上から3行目以下5行目にかけて
第3(1)ウ ⑥<原告の反論>
加えてステージコンストラクション(段階的工法)というなら、同じ材料で下層路盤工を完成させなければならない(甲35)。なぜなら同じメーカーの材料を使用しなければ締固め度の管理をすることはできないからである。異なる材料で下層路盤工の施工を管理できるなら、被告は原稿にその根拠を示してほしい。
これに関連して、「同じ材料で下層路盤工を完成させなければならない」ことを定めた証拠を、甲38として追加提出する。
以 上
※証拠説明書の甲号証リスト(甲37~38)
号証:標目/原本・写しの別/作成年月日/作成者/立証趣旨
●甲37:b37xewrxgnv_.pdf
群馬県建設工事必携(平成23年度版)(抜粋)/写し/平成23年4月1日/被告/下層路盤工なら締固め度95%になるよう転圧し交通開放するはずであることを示す証拠。
●甲38:b38qnhkglq.pdf
支道27号の砕石の厚みの様子がわかる現場写真/写し/平成28年1月4日/原告/同じ材料で下層路盤工を完成させなければならないことを示す証拠。
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※原告準備書面(5)
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事件番号 平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原告 小 川 賢 外1名
被告 群馬県知事 大澤正明
平成28年1月13日
前橋地方裁判所民事2部合議係 御中
原告準備書面(5)
原告 小 川 賢 ㊞
原告 鈴 木 庸 ㊞
1.平成27年12月25日付の原告準備書面(3)のうち、次の箇所に関する原告の反論に関連する証拠を追加する。
●11ページ目の上から7~9行目にかけて
第3(1)ウ ⑥<原告の反論>
被告が、ステージコンストラクション(段階的工法)を主張するのなら、一年間は交通開放をしなければならない。交通開放で締め固まった分補足材を足すが、補足材は1年で1cmの補充と決まっている。一年未満の交通開放はありえない。」と反論したが、これを次の通り変更する。
この段階的工法という側面から見ても、舗装前の道路の状況は、被告の主張する「下層路盤工」の呈を示していない。誰が見ても「敷砂利工」であると考えられる。
これに関連して、「土地改良事業計画設計基準 設計 農道(農林水産省構造改善局 平成元年4月制定)」「第4章 設計」「4.3 路床」「4.ステージコンストラクション」を証拠として追加提出する(甲39)。
上記文献を見ると「交通上やむを得ない場合を除き、一度に表層まで完成させず、まず下層路盤まで施工し、その後状況を判断して段階的に完成させていく方法がある。」とされている。そして、この場合に採用される(1)(2)の二つの方法が例示されているが、どちらの方法も少なくとも下層路盤までは仕上げている。この点において、被告が「下層路盤を二段階に施工する」と説明するのとは全く対照的である。
甲39の「図-4.3.2」の説明には「第二段階として1~3年間後に破損した部分があれば修理した後、表層を施工する。」とあり、その場合の予算としては、「1年1cmしか補足材の厚さは設計されないのが通例」だと聞いている。
さらに、この説明文にもあるように、「破損した部分があれば修理」をするところから、補足材の使用は限定的であることが容易に理解できる。
被告が例えば、支道27号で、11cmも補足材を足したということは、敷砂利だったのを隠蔽するための苦し紛れの言い逃れであり、言い換えれば「事実を捻じ曲げて納税者に説明した」ことに等しく、いわゆる「捏造」である。
研究等の場合における捏造行為は、研究倫理に違反する行為であって、一般的には、法律に抵触しないので、犯罪として扱われない。しかし、重大な捏造行為は、詐欺罪などの犯罪に該当することが多い。
一般的には公務員の頭脳は優秀だというのが衆人の主観だが、頭脳が優秀だからと言って、その言動が客観的に正直(ウソをつかない)とは限らない。
被告が「支道27号で11cmも補足材を足した」と説明することは、あきらかに「敷砂利工事」だったことを隠蔽するためであり、下層路盤工が1層仕上げて計画されているであろう本件舗装工事について、「下層路盤自体を段階的に施工する」とする被告の主張には無理がある。交通上、やむを得ない場合でも、1層仕上げでは締固め度を求めるなどの管理ができないため、下層路盤工を段階的にすることはできないのである。本件農道工事は、敷砂利工であったことは明白である。それを下層路盤工だと捏造することは、公務員の倫理としていかがなものか。
被告がこの期に及んで、これ以上「捏造」したことを主張し続けているところを目の当たりにすると、もはや“重大な捏造行為”と言わざるを得ない。
2.同じく、次の箇所に関して、原告は陳述を追加する。
●2~3ページ目
第1 「本件舗装契約は、いかなる理由で、いかなる法令に反し違法となるのかにつき明らかにされたい」について
第2 「原告らの上記内容につき詳細に主張されたい」について
被告が行った本件舗装工事について、被告も認めているように、平成26年6月の入札後、施工前に原告らは「有害スラグが含まれている建設資材が現場に既に敷砂利として存在しており、それを原因者に撤去させるまで本件舗装工事をしないでほしい」と被告に申し入れ、有害物質の存在を指摘していた。たが、被告は、原告の指摘を無視して、本件舗装工事を強行した。
原告の指摘は、スラグの有害性の観点から、既に平成26年6月以前に被告の環境森林部が、群馬東吾妻町箱島等にあった訴外・大同エコメット及び佐藤建設工業が管理する当該建設資材置場に「産業廃棄物」であることを示す看板を掲げさせていたことから、正当な指摘と考えられる。
この原告の指摘により、被告の農政部農村整備課及び吾妻農業事務所は、本件舗装工事に先立ち、下層路盤(本来は敷砂利だが、あえてこう表現する)に有害物であるスラグが存在することを知りながら、当該有害物を除去することなく、本件舗装工事を施工した。
有害物を除去せずに行った被告の行為は、被告の農政部共通の工事標準を定めた「群馬県建設工事必携」の「第3篇 土木工事共通編」「第2章 一般施工」「第6節 一般舗装工」「3-2-6-1 一般事項」「4.受注者は、路盤の施工に先立って、路床面または下層路盤面の浮石、その他の有害物を除去しなければならない」(甲40)に違反している。
同じく有害物の関連で、「群馬県建設工事必携」の「10.再生資源の利用に関する実施要領」「建設副産物から精算した再生材の使用に関する仕様書」「別記2 再生砂(RC-10)の品質、規格、環境基準」「3 環境基準」「3-1」(甲41)には、「透水性を有し、浸透した水が土壌又は公共用水域へ拡散するおそれのある箇所に、工作物の埋戻し材料等として使用する際には、六価クロムについて、平成3年8月23日付け環境庁告示第46号に規定される測定方法に基づき、あらかじめ土壌の汚染に係る県境基準に適合することを確認することとし、積算にあたっては必要な費用を計上すること。なお、資料には製品を直接使用し、各工事で1購入先当たり1検体の試験を行うものとする」(下線部は原告が追加)と定めている。
このように、公共工事から排出される建設副産物を、許可を得て再生したいわば正規の再生砕石でも、「透水性を有し浸透した水が土壌又は公共用水域へ拡散するおそれのある箇所に、工作物の埋め戻し材料として使用する際には」重金属検査をして環境に注意を払うよう、定めているのである。
今回、被告の耕作放棄地に対する補助金を原資として南波建設が施工した本件農道工事は、食の安全が最優先されるべき田園地帯にある田畑の中の農道工事である。
上記のとおり、正規の再生砕石であっても、農業地帯の圃場整備のような、とりわけ生活環境や営農環境に多大なリスクを受けやすい工事においては、厳格な注意を払うように定められているにもかかわらず、実際に環境基準を大幅に超える有毒物質を多量にブレンドした天然砕石のかかえる問題点について、なぜ被告は直視しようとしないのか。
事実、東吾妻町萩生地区の支道27号で、本件舗装工事が開始される前に、原告らの主催する市民団体の会員が、日本共産党渋川市議団の調査に同行した時、支道27号の敷砂利をサンプリングし、分析調査した結果を見れば、敷砂利には環境基準を大幅に超える有毒物質が含まれていることは一目瞭然である(甲42)。
この試験報告書が示す通り、分析結果は含有試験で4000mg/kgまでのところが実際には5000mg/kg、溶出試験では0.8mg/Lまでのところが実際には4.7mg/Lとなっており、どちらも環境基準値を大幅に超過している。ちなみに、この分析結果は、スラグの粒だけを拾い出して検査したものではなく、スコップで採取したものをそのままの分析した結果だということである。まさに、有害スラグ100%状態だったという実態であることがわかる。
最後にもうひとつ。本件舗装工事に際して、群馬県建設工事必携に定めたとおり、被告は下層路盤面の有害物を取り除かなければならないことは先ほども述べたところである。ところが被告は、本件舗装工事をする前に有害物(有害スラグ)を取り除かないまま施工したのである。このことは、被告は、群馬県職員や請負者が遵守すべき建設工事基準等を定めた群馬県建設工事必携(通称「赤本」と称する)に自ら違反していることを示している。
よって被告の行為は、地方公務員法第32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)で定める「職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」に違反するので、地方自治法第243条の2(職員の賠償責任)に定めた「会計管理者若しくは会計管理者の事務を補助する職員、資金前渡を受けた職員、占有動産を保管している職員又は物品を使用している職員が故意又は重大な過失(現金については、故意又は過失)により、その保管に係る現金、有価証券、物品(基金に属する動産を含む。)若しくは占有動産又はその使用に係る物品を亡失し、又は損傷したときは、これによつて生じた損害を賠償しなければならない。次に掲げる行為をする権限を有する職員又はその権限に属する事務を直接補助する職員で普通地方公共団体の規則で指定したものが故意又は重大な過失により法令の規定に違反して当該行為をしたこと又は怠つたことにより普通地方公共団体に損害を与えたときも、また同様とする。 一 支出負担行為 二 第二百三十二条の四第一項の命令又は同条第二項の確認 三 支出又は支払 四 第二百三十四条の二第一項の監督又は検査」(下線部は原告が追加)により、損害を賠償しなければならない。
以 上
※証拠説明書の甲号証リスト(甲39~42)
号証:標目/原本・写しの別/作成年月日/作成者/立証趣旨
●甲39:b39xewrxgnvw_.pdf
土地改良事業計画設計基準 設計 農道、第4章 設計/写し/平成元年4月/農林水産省構造改善局/ステージコンストラクションの施工例に関連して、一般的に農道舗装の設計において採用される方法について詳述している。下層路盤工なら、路床・路盤状況が複雑な場合や軟弱地盤などの特殊な条件を勘案し、下層路盤工なら路面整形を行い交通開放するはずであることを示す証拠。
●甲40:b40qnhkglq.pdf
群馬県建設工事必携、第3編土木工事共通編、第2章一般施工、第6節一般舗装工、3-2-6-1-一般事項(平成23年度版)/写し/平成23年4月/被告/被告が下層路盤工と主張する場合、路盤の施工に先立って路床面又は下層路盤面の有害物を除去しなければならないが、被告は有害スラグの存在を知りながら有害物を除去せず、農政部共通の群馬県建設工事必携に違反して本件舗装工事を施工したことを示す証拠。
●甲41:b41pvs.pdf
群馬県建設工事必携、10. 再生資源の利用に関する実施要領(平成23年度版)/写し/平成23年4月/被告/食の安全が最優先されるべき田園地帯の圃場の中の農道工事において、被告が六価クロムを含む鉄鋼スラグを混合した天然砕石の有害性に着目せず本件舗装工事を施工したことを示す証拠。
●甲42:b42tbf.pdf
試験報告書群馬県建設工事必携、10. 再生資源の利用に関する実施要領(平成23年度版)/写し/平成26年5月19日/株式会社 片山化学工業研究所大阪分析センター/本件舗装工事施工前に、支道27号の敷砂利として使われていた鉄鋼スラグを混合した砕石を現場で採取し試験機関で分析した結果、含有試験及び溶出試験ともに環境基準値を超えるフッ素が検出されたことを示す証拠。本件舗装前に有害物が存在していたことがわかる。
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