■先週発売の週刊金曜日に大同スラグ問題に関するジャーナリストの取材記事が掲載されました。この中で、大同スラグを県警に告発した群馬県廃棄物・リサイクル課の松井次長が、取材に対して発した次のコメントが印象に残ります。
「昨年9月、群馬県警が廃棄物処理法違反の疑いで大同特殊鋼に家宅捜索に入った。結局、不法投棄は間われず、同社などの委託基準違反(無許可業者への産廃処理の委託)にとどまる見込みだ。廃棄物処理法の「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」(16条)の適用を検討したが、「1300円で販売・施工されていたから『みだりに』と言えない」(群馬県廃棄物・リサイクル課 松井次長)」
■人間が生活をするうえで、不要となったものがゴミとして出てきます。そのゴミを捨てることは、ごく自然な行為です。しかし、無責任に自分勝手にゴミを捨ててしまえば生活環境は汚れ、不衛生になってしまうでしょう(廃棄物処理法1条)。
そこで廃棄物処理法は、ゴミ捨ての基本ルールを法定するとともに、「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」(16条)と定め、ゴミを捨てる行為を規制しています。
ところで、「みだりに」とはいったいどんな意味なのでしょうか?
ネットを駆使してあちこち検索しながら調べて回りましたが、どうやら「みだりに」は、法律用語ではなく、日常用語ということらしいです。その意味としては、・・・正当な理由も無いまま、勝手にそうすることを表す・・・という記述が多く見られます。法律によっては「正当な理由がなく」という記述もあるようです。
それでは産業廃物処理法において「みだりに産業廃棄物を捨てる」行為とは、具体的にどのようなことを指すのでしょうか? ネット調査で以下の情報が検索できました。少し引用してみましょう。
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新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1139、2011/8/5 12:23
http://www.shinginza.com/db/01139.html
・・・最高裁平成18年2月20日判決は,業者が産業廃棄物を所有地内に野積みした行為が同法16条違反として起訴された事案で,「・・・本件各行為は,それが被告会社の保有する工場敷地内で行われていたとしても,生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図るという法の趣旨に照らし,社会的に許容されると見る余地はない。したがって,本件各行為は,同条が禁止する「みだりに」廃棄物を捨てる行為として同条違反の罪に当たることは明らかであり・・・」と判示し,社会的に許容される捨て方であるかどうかが「みだりに」の判断のポイントであることを示しています。
また,判断に当たって検討すべき具体的内容については,福島地裁会津支部平成16年2月2日判決が,「これらに該当するかどうかは,行為の態様,当該物の性質,量,管理の状況,周囲の環境,行為者の内心の意図等の行為の客観,主観面を総合し,生活環境の保全及び公衆衛生の向上という廃棄物処理法の趣旨と社会通念に照らして,個別具体的に決せられる。」と述べています。
これらの判例の考え方に照らせば,ゴミを捨てた行為が「みだりに」に該当するかどうかは,単に地域のゴミ処理のルールを守ったかどうかだけで決まるのではなく,そのゴミの性質や捨て方,捨てた人の認識などのさまざまな事情を総合して判断されるものといえます。ただ,地域のゴミ処理のルールは,ゴミの性質や地域のゴミ処理能力等を勘案して定められるものですから,ゴミ処理のルールに従っていたかどうかは,実際には大きな判断要素となると思われます。
**********
この引用文の注目すべきポイントは「社会的に許容される捨て方であるかどうかが『みだりに』の判断のポイントであることを示しています」となっているところです。このルールに従っていたかどうかの判断要素として群馬県は5つのポイントを挙げ説明しています。
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【大同特殊鋼(株)渋川工場から排出された鉄鋼スラグに関する廃棄物処理法に基づく調査結果について】
http://www.gunma-sanpai.jp/gp26/003.htm
2 調査結果
(7)
ふっ素の土壌環境基準等が設定されて以降、大同特殊鋼(株)渋川工場から製鋼過程の副産物として排出された鉄鋼スラグは、土壌と接する方法で使用した場合、ふっ素による土壌汚染の可能性があり、また、平成14年4月から平成26年1月までの間、関係者の間で逆有償取引等が行われていたことなどから、当該スラグは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案し、廃棄物と認定される。
**********
■群馬県はゴミ処理のルールに従っていたかどうか、について
その物の性状、
排出の状況、
通常の取扱い形態、
取引価値の有無
及び占有者の意思等
という環境省の指導を総合的に勘案したようです。そして、その結果得た結論として、危険スラグは「廃棄物と認定される」としました。
もちろん、群馬県は廃棄物と認定するにあたりゴミ処理ルールを総合的に勘案しているので、「何人も,みだりに廃棄物を捨ててはならない。」(廃棄物処理法16条)に違反して捨てられた廃棄物であると判断した、と言えます。つまり、廃棄物と認定するにあたり「みだりに」捨てられているかどうかも検討されているのです。
この5つのポイントのうち決め手になったのが「その物の性状」「取引価値の有無」だと思われます。「その物の性状」とは危険スラグにフッ素などの有害物質が含まれていることを指します、また「取引価値の有無」とは危険スラグの取引に、逆有償取引で一度は金を支払い有償を装うが後で多額にキックバックされていたことを指します。
天然石がトン当たり3000円しているのに1300円で販売できたのはこの逆有償取引で多額なマージンを得ていたからです。このことをもって「みだりに廃棄物を捨てた」にあたらないとする考えは、不法投棄者を擁護しているように感じられ、おかしいと言わざるを得ません。
当会の考察では、危険スラグ問題は、大同特殊鋼・大同エコメット及び佐藤建設工業などの極悪軍団の委託基準違反(無許可業者への産廃処理の委託)にとどまらず、不法投棄を問う廃棄物処理法違反の問題であると認識しており、これまで通り警鐘を鳴らし続けてまいります。
■この観点から、改めて、前橋渋川バイパス起点の危険スラグ不法投棄の様子を見てみましょう。次のブログ記事を参照ください。
○2014年11月25日:大同有毒スラグ問題を斬る!…上武道路の田口町南信号・前橋渋川バイパス起点のヤリタイ放題の現状↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1471.html
↑前橋渋川バイパス起点の2014年の様子です。↑
↑何人も盛り土のなかに危険スラグを捨ててはならないと思うのです、「みだりに」あたらないなんて正当な理由があれば危険スラグを投棄してもよい、などと考える輩が役所にいるなんて許せない。↑
↑国土交通省は危険スラグが不法投棄されている状況であるのに無視し、新たな盛り土で蓋をしてしまったらしい。↑
↑不当投棄された危険スラグは産業廃棄物と認定されたので撤去していただきたい。大同特殊鋼は自身から排出した廃棄物を適正に処理しなければなりません、したがって廃棄物と認定されたからには自ら進んで佐藤建設工業に撤去させ適正に処理していただきたい。廃棄物処理法を遵守せよ!↑
【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】
「昨年9月、群馬県警が廃棄物処理法違反の疑いで大同特殊鋼に家宅捜索に入った。結局、不法投棄は間われず、同社などの委託基準違反(無許可業者への産廃処理の委託)にとどまる見込みだ。廃棄物処理法の「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」(16条)の適用を検討したが、「1300円で販売・施工されていたから『みだりに』と言えない」(群馬県廃棄物・リサイクル課 松井次長)」
■人間が生活をするうえで、不要となったものがゴミとして出てきます。そのゴミを捨てることは、ごく自然な行為です。しかし、無責任に自分勝手にゴミを捨ててしまえば生活環境は汚れ、不衛生になってしまうでしょう(廃棄物処理法1条)。
そこで廃棄物処理法は、ゴミ捨ての基本ルールを法定するとともに、「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」(16条)と定め、ゴミを捨てる行為を規制しています。
ところで、「みだりに」とはいったいどんな意味なのでしょうか?
ネットを駆使してあちこち検索しながら調べて回りましたが、どうやら「みだりに」は、法律用語ではなく、日常用語ということらしいです。その意味としては、・・・正当な理由も無いまま、勝手にそうすることを表す・・・という記述が多く見られます。法律によっては「正当な理由がなく」という記述もあるようです。
それでは産業廃物処理法において「みだりに産業廃棄物を捨てる」行為とは、具体的にどのようなことを指すのでしょうか? ネット調査で以下の情報が検索できました。少し引用してみましょう。
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新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1139、2011/8/5 12:23
http://www.shinginza.com/db/01139.html
・・・最高裁平成18年2月20日判決は,業者が産業廃棄物を所有地内に野積みした行為が同法16条違反として起訴された事案で,「・・・本件各行為は,それが被告会社の保有する工場敷地内で行われていたとしても,生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図るという法の趣旨に照らし,社会的に許容されると見る余地はない。したがって,本件各行為は,同条が禁止する「みだりに」廃棄物を捨てる行為として同条違反の罪に当たることは明らかであり・・・」と判示し,社会的に許容される捨て方であるかどうかが「みだりに」の判断のポイントであることを示しています。
また,判断に当たって検討すべき具体的内容については,福島地裁会津支部平成16年2月2日判決が,「これらに該当するかどうかは,行為の態様,当該物の性質,量,管理の状況,周囲の環境,行為者の内心の意図等の行為の客観,主観面を総合し,生活環境の保全及び公衆衛生の向上という廃棄物処理法の趣旨と社会通念に照らして,個別具体的に決せられる。」と述べています。
これらの判例の考え方に照らせば,ゴミを捨てた行為が「みだりに」に該当するかどうかは,単に地域のゴミ処理のルールを守ったかどうかだけで決まるのではなく,そのゴミの性質や捨て方,捨てた人の認識などのさまざまな事情を総合して判断されるものといえます。ただ,地域のゴミ処理のルールは,ゴミの性質や地域のゴミ処理能力等を勘案して定められるものですから,ゴミ処理のルールに従っていたかどうかは,実際には大きな判断要素となると思われます。
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この引用文の注目すべきポイントは「社会的に許容される捨て方であるかどうかが『みだりに』の判断のポイントであることを示しています」となっているところです。このルールに従っていたかどうかの判断要素として群馬県は5つのポイントを挙げ説明しています。
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【大同特殊鋼(株)渋川工場から排出された鉄鋼スラグに関する廃棄物処理法に基づく調査結果について】
http://www.gunma-sanpai.jp/gp26/003.htm
2 調査結果
(7)
ふっ素の土壌環境基準等が設定されて以降、大同特殊鋼(株)渋川工場から製鋼過程の副産物として排出された鉄鋼スラグは、土壌と接する方法で使用した場合、ふっ素による土壌汚染の可能性があり、また、平成14年4月から平成26年1月までの間、関係者の間で逆有償取引等が行われていたことなどから、当該スラグは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案し、廃棄物と認定される。
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■群馬県はゴミ処理のルールに従っていたかどうか、について
その物の性状、
排出の状況、
通常の取扱い形態、
取引価値の有無
及び占有者の意思等
という環境省の指導を総合的に勘案したようです。そして、その結果得た結論として、危険スラグは「廃棄物と認定される」としました。
もちろん、群馬県は廃棄物と認定するにあたりゴミ処理ルールを総合的に勘案しているので、「何人も,みだりに廃棄物を捨ててはならない。」(廃棄物処理法16条)に違反して捨てられた廃棄物であると判断した、と言えます。つまり、廃棄物と認定するにあたり「みだりに」捨てられているかどうかも検討されているのです。
この5つのポイントのうち決め手になったのが「その物の性状」「取引価値の有無」だと思われます。「その物の性状」とは危険スラグにフッ素などの有害物質が含まれていることを指します、また「取引価値の有無」とは危険スラグの取引に、逆有償取引で一度は金を支払い有償を装うが後で多額にキックバックされていたことを指します。
天然石がトン当たり3000円しているのに1300円で販売できたのはこの逆有償取引で多額なマージンを得ていたからです。このことをもって「みだりに廃棄物を捨てた」にあたらないとする考えは、不法投棄者を擁護しているように感じられ、おかしいと言わざるを得ません。
当会の考察では、危険スラグ問題は、大同特殊鋼・大同エコメット及び佐藤建設工業などの極悪軍団の委託基準違反(無許可業者への産廃処理の委託)にとどまらず、不法投棄を問う廃棄物処理法違反の問題であると認識しており、これまで通り警鐘を鳴らし続けてまいります。
■この観点から、改めて、前橋渋川バイパス起点の危険スラグ不法投棄の様子を見てみましょう。次のブログ記事を参照ください。
○2014年11月25日:大同有毒スラグ問題を斬る!…上武道路の田口町南信号・前橋渋川バイパス起点のヤリタイ放題の現状↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1471.html
↑前橋渋川バイパス起点の2014年の様子です。↑
↑何人も盛り土のなかに危険スラグを捨ててはならないと思うのです、「みだりに」あたらないなんて正当な理由があれば危険スラグを投棄してもよい、などと考える輩が役所にいるなんて許せない。↑
↑国土交通省は危険スラグが不法投棄されている状況であるのに無視し、新たな盛り土で蓋をしてしまったらしい。↑
↑不当投棄された危険スラグは産業廃棄物と認定されたので撤去していただきたい。大同特殊鋼は自身から排出した廃棄物を適正に処理しなければなりません、したがって廃棄物と認定されたからには自ら進んで佐藤建設工業に撤去させ適正に処理していただきたい。廃棄物処理法を遵守せよ!↑
【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】