市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

八ッ場ダム問題解明の鍵を握る斉藤烈事件の刑事保管記録閲覧を巡る東京地検の対応

2009-10-18 13:50:00 | 八ッ場ダム問題
■八ッ場ダム問題の実態解明の大きな鍵のひとつと思われる、八ッ場ダム工事事務所で用地第一課長をやっていた斉藤烈(たけし)による収賄事件の刑事保管記録の閲覧期限が、10月25日に迫ってきたため、当会は、今年6月26日に八ッ場ダム訴訟の群馬県の事務局である市民オンブズマン群馬の事務局長名で、斉藤烈時間の刑事保管記録の閲覧を申請していました。

 ところが、閲覧期限が迫っても、東京地検から回答がないため、10月7日付けで督促状を提出していたところ、10月12日に電話連絡がありました。

 東京地検によると、正式な様式で、改めて閲覧申請を行うように指示があり、正式な様式はもよりの地方検察庁に赴いて取り寄せするように教示がありました。

 そこで、10月13日に東京地検記録担当を直接訪れて、閲覧申請の方法について詳しくヒヤリングをしたところ、次のような条件が付けられることが判明したのです。

■東京地検の記録担当の事務官によれば、申請様式は指定の「保管記録閲覧請求書」にならって、記載する必要があるというのです。

**********
【様式第3号(第8条関係)】
保 管 記 録 閲 覧 請 求 書
              平成  年  月   日
東京地方検察庁
 保管検察官      殿
      請求者 住 所
          職 業
          氏 名         印
                 (年齢   歳)
          電話番号
下記により保管記録を閲覧したく請求します。
被告事件:○○○○○○事件
裁判を受けた者の氏名:○○○○
罪 名:○○○罪
第一審:平成   年   月   日        裁判所
控訴審:平成   年   月   日      高等裁判所
上告審:平成   年   月   日  最 高 裁 判 所
確定年月日:平成   年   月   日
閲覧請求記録:
1 被告事件についての訴訟の記録(2を除く。)
 (                          )
2 被告事件についての裁判書
3 その他
 (                          )
閲覧目的:○○○○○○○○○○○
請求者と裁判を受けた者との関係:○○○○○○○○○
閲覧希望日時:平成   年   月   日
           時   分から    時   分まで
**********

■上記の閲覧請求記録には、1から3まで該当項目に○をつける必要があります。東京置換からは「1だけでよいのでしょう?」などと誘導してきましたが、裁判所が無いと話にならないと思い、「全部欲しいのです」と答えて、1と2に○をすることにしました。

 この他、東京地検から申請用紙の記載について、直接指示があったのは、次のとおりです。

①民事訴訟判決を添付すること → したがって、前橋地裁の松丸伸一郎裁判長のとんでもない判決文のコピーを同封することにしました。

②閲覧請求者が,民訴の当事者であることがわかる資料を添付すること → 訴状に、市民オンブズマン群馬事務局長の名前が書いてある訴訟資料、たとえば、判決書あるいは訴状などのコピーを同封することにしました。判決書を①で出すため、訴状が良いかもしれません。

③請求者の本人確認資料を添付すること → 運転免許証などの写しでよいと思われます。

④閲覧請求書の「閲覧目的」、「裁判を受けた者との閲係」欄をそれぞれ「別紙のとおり」とし、オンブズマン事務局長作成文書の「この事件と,原告が係争中の訴訟との関係」部分をその別紙に記入すること → これは既に提出済の文章をそのまま閲覧請求書に添付することにしました。

**********
【別紙】
 八ッ場ダム工事には最終的に1兆円を超える公金が投入されると見られている。ところが、実際には、入札談合による公示価格の水増しや、この事件のような用地買収関係者による不正支出が頻発しており、公金の無駄遣いは目に余るものがある。そのため、今回発覚したこの事件の内容を検証することにより、公金の無駄遣いの実態と不正の手法を把握し分析することにより、今後東京高裁で展開される控訴審で、有利な立場を得ることが原告にとって不可欠である。
 とりわけ、この事件の被告は、国土交通省関東地方整備局直属の八ッ場ダム工事事務所の用地買収交渉の責任者である用地第一課長の職にあり、測量発注業務で、指名競争入札の内部資料を繰り返し外部に漏らしている。
 地元関係者によると、被告が課長を務めていた八ッ場ダム工事事務所用地第一課は、水没五地区のうち長野原、林、横壁の三地区の代替地交渉などを行っており、公私ともに接触があった地元民は「代替地の地主との話し合いに奔走していた。住民ですら業者からの接待の申し出があるほど。課長ならなおさらだろうが、贈収賄とは夢にも思わなかった」と驚いており、公人として、買収交渉で巨額の金銭を扱い、巨額工事の入札情報を知り得る立場にありながら、さらに業者との癒着により多額の賄賂を手中にしていたことは、工事事務所の体質がそのような不祥事の発生を許したことになり、公金の無駄遣いの根源を知る格好の事件である。
 ダム建設の計画浮上から半世紀余りにもなるのに、いまだに行政がこの大工事を中止したがらない理由は、こうした巨額の利権が背景にあることを原告団は指摘しており、この事件は業者との癒着の典型事例として、ほかにも日常的に行われていた様子がうかがえる。
 原告団は、買収交渉において、八ッ場ダム水没関係五地区連合対策委員会の萩原昭朗委員長の誕生日に開催される丸岩会と称する、買収交渉委員長、工事事務所長、群馬県知事、工事業者約70社が一堂に会する組織の存在を確認しており、入札案件で実際に行われた不正の手口を詳細に検証することにより、工事事務所と業者との癒着の実態を明らかにし、控訴審で、公金の無駄遣いの実例として、摘示していきたい。  以上
**********

■東京地検いわく「現在、閲覧手続き中の案件が今年の12月いっぱいまでかかりそうなので、来年1月以降に閲覧可能になると思う」というので、当会から「それでは通常1回でおしまいになる控訴審に間に合わないかも知れないのでなるべく早くしてほしい」と申し入れました。

 なお、今年の10月25日で閲覧期限の3年を経過しますが、既に仮に申請しているかたちなので、その心配はいらないとのことです。だが、なるべく早く出したほうがよさそうです。

■また、閲覧は、本人に限るとの事で、「私が委任状をもらって代理で閲覧しても良いでしょうか」としつこく要請しましたが、弁護士ではないという理由で、かたくなに拒否されました。つまり、弁護士なら、閲覧申請をした原告の委任状があれば代理で閲覧可能です。

 さらに当会は、「厚さ数十センチもの保管記録を書き写すのは大変だからコピーを取らしてもらえますか。お金は払いますので」とお願いしたところ、「閲覧請求という趣旨から、謄写(つまりコピー)は含まれない」として、「メモならいくらでもとっても良いが、コピーはダメ」とにべも無く拒否されました。

 以前、別件で高崎地検でも、当会が一生懸命書き写している直ぐ横で、某弁護士事務所の女性秘書が涼しい顔で、刑事裁判資料をコピーしているのを見て、地検に文句を言ったことがありますが、そのときも、弁護士で無いからダメといわれたことがあります。閲覧の場合でも、なぜ弁護士でないと委任状が有効にならないのか、理由は不明です。また、謄写した資料を入手するには、八ッ場ダムの控訴審で文書嘱託送付の手続きをすれば、入手可能となる場合があると、東京地検からは教示されました。

■東京地検の上記の指示内容にそって、早めに指定の様式に記載して、次の宛先に、保管記録閲覧請求書、別紙、そして、民事訴訟判決のコピー、閲覧請求者が民事訴訟の当事者である事を示す八ッ場ダムの訴状、運転免許証の写しを一式、次の宛先に郵送すれば、東京地検で協議して閲覧の可否と、可の場合の閲覧時期について連絡をくれるそうです。

 〒100-8903
 東京都千代田区霞が関1丁目1番1号
 中央合同庁舎第6号館A棟・B棟
 東京地方検察庁 記録担当 御中

■というわけで、本当は、当会が代理でやろうと思い、市民オンブズマン群馬の公私共に多忙な事務局長には手数をかけするつもりは無かったのですが、上記のような経緯のため、手数をかけることになってしまいました。

 もし、群馬県以外の八ッ場ダム住民訴訟の原告団で、斉藤烈事件に関心があれば、今のうちに東京地検に保管記録閲覧請求を行っておく必要があるでしょう。

【ひらく会事務局】

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八ッ場ダムで権力を相手に立派にカネの生る木を育てた御仁の話・・・週刊新潮の場合

2009-10-18 07:02:00 | 八ッ場ダム問題

■週刊新潮10月22日号340円のP56-58の3ページにわたり、新潮社では初めて八ッ場ダム問題に取り組んだ記事が掲載されました。

 半世紀を経て建設が中断された群馬県長野原町の八ッ場ダム。これまでに3000億円を超える血税が投入されたが、結局ムダ金に終わりそうで、後始末にも莫大な金がかかり、ツケは国民に回される。その陰に金のなる木を育て、果実を手にした世人がいた。

 という冒頭記事で、八ッ場ダム問題をいち早く報じた週刊ポストや週刊朝日に比べて出遅れ感は否めませんが、他誌とは異なる切り口で、特集記事を組んでいます。

■週刊新潮は、まず、八ッ場ダムの歴史について、説き起こしています。それによると、

 八ッ場ダム建設計画が発表された1952年当時、水没予定地の住民の多くはダム建設に反対だったが、ダム建設推進派の福田赳夫が65年5月、蔵相就任の挨拶で長野原町を訪れた際、「67年ごろ着工、69年ごろ完成させたい」と語ったこと。

 翌年1月に福田のライバル中曽根康弘が現地にきて、「ダムは軽々しく造るものではない」と反対派住民に接近。中曽根派の県議が「今後は本当に我々を信頼すれば面倒を見るから、自民党に集団入党しろ」と反対派住民を恫喝、100人以上が入党させられたが、69年3月、自民党が圧倒的多数の群馬県議会で「ダム建設促進決議案」が採択され、反対派はあっさり裏切られたこと。

 その後、反対派が町長に当選したりしたが、町政は国や県の締め付けで逼迫し、76年に当選した清水一郎群馬県知事が、八ッ場ダム建設推進を表明後、反対派の切り崩しが一層強められたこと。

 八ッ場ダムの水没予定地5地区には、79年に822世帯が居住していたが、個別補償交渉がスタートした2001年以降減少し、03年688世帯、05年569世帯、08年末には83世帯にまで激減したこと。

■週刊新潮の記事は、これまでに投入された3200億円以上の税金が、ダム建設中止で「ドブに金を捨てたようなものだ」とし、さらにダム建設中止後も生活再建・地域対策でさらの莫大な税金投入が必至だと説いています。そして、半世紀以上の壮大なムダの陰に隠れて、しっかり八ッ場で「金のなる木」を育てた人がいると指摘。その代表格人物として、週刊新潮は、地元住民の間で有名な萩原好夫・礼人の親子のことを取材の成果として紹介しています。

 この萩原好夫は、川原湯で養寿館という旅館を経営していた人物(故人)で、その息子は礼人(60)といい、現在は都内在住です。この萩原親子について、記事では、八ッ場ダム問題で有名なジャーナリストから取材した次の内容が述べられています。

 地区のボス的存在の萩原好夫は、息子の名前を「レーニン」を文字って礼人(れいと)と命名するほど熱心な共産党員だったが、温泉街で発生した火災復旧時に、自民党の福田赳夫から融資の手助けをしてもらい感激して、福田の選挙参謀になり、礼人は福田後援会の手伝いをしていたこと。

 萩原好夫は、岩波書店から「八ッ場ダムの闘い」を出版したが、この闘いはダム建設反対ではなく、建設推進のために闘ったというのが実態で、萩原好夫は日本開発銀行から1億2000万円の融資を受け、草津にもホテルを建設したこと。

 また、補償交渉委員会の委員長として国交相との交渉に当たり、補償金を手にすると、イの一番に東京都内に転出し、今はアパートを経営し、悠々自適の毎日であること。

■この後、記事では、二束三文の土地なのに、国交省が01年5月に住民と妥結した損失補償額として、1等級の土地を1坪245,100円、2等級194,000円、3等級164,000円・・・6等級69,600円まで格付けして、相場の3倍以上提示していたことが紹介されています。

 川原湯地区に約895平方メートルの宅地と建物を所有していた萩原礼人は、損失の補償額が妥結して間もない01年12月、国交省に売却。この土地だけで約895㎡*245,100円/坪=約6600万円を手にしていること。その後、東京都内に1戸建てと2階建てのアパートを購入し、その土地取得の費用だけで2億円近いことを取材の結果、突きとめました。そして、萩原礼人とその家族は、周辺の土地と旅館業を廃業した際の営業補償などで10億円以上を得たと言われているという、川原湯地区の住民の証言を載せています。

 そのうえで、週刊新潮は、萩原礼人本人にも取材して、本人の次のコメントを載せています。そこでわかったのは、萩原好夫が、補償交渉委員会の川原湯地区委員長になったのは1999年ごろであり、地元では、いわゆる“勝ち逃げ組”として地元から出て行った萩原礼人のことは有名であり、あきらかに国交省との深い関係から、便宜を図ってもらったことがうかがえます。

■記事では、残された地元住民の話も載せており、補償金をもらっても、地元の代替地は坪17万円と前橋市の一等地並みの地価で、代替地に新しく土地を買って、家を新築し、引っ越し費用を払うと、手許に殆ど残らないことや、代替地の値段が高い理由は、歴代の補償交渉を住民代表として仕切っていた連中が、揃って大地主で、本来は二束三文の土地を、国交省の役人とグルになってできる限り吊り上げたのが理由だと分析しています。

 また、安中市の増田川ダムも含め、各地のダム計画予定地でよくみられる現象ですが、八ッ場でも、土地の値上がりを見越して、80年代前半に、水没予定地の土地を買い漁っていた『ほうぜい』という東京都の不動産会社の存在について、当時の週刊新潮85年6月27日号の<ダム予定地に別荘を建てた法に触れない悪い奴ら「名簿」>と題する特集記事で、ほうぜい代表者は政治団体『法税対策研究会』代表の肩書きも持っていて、坪5000円で買った山林を伐採し、宅地に造成して、坪4万円から5万円で売り、荒地にプレハブ小屋が数十戸建てられていたことを紹介しています。

 また、別荘付きの土地を買った顧客の中に神奈川県の宮ヶ瀬ダムの水没出身者が多く含まれていて、彼らにも取材した結果、ほうぜいの巧妙な販売方式が判明したが、見え見えの補償金狙いで山林を売りまくった「ほうぜい」は既に解散し、宮ヶ瀬ダム水没出身者も昨年、国交省に土地を売却したが、6等級だったので、殆ど元が取れなかったエピソードも載っています。

■週刊新潮の特集記事の最後に、萩原昭朗(78)の話も掲載されています。そこでは、国道145号線の代替道路が、萩原昭朗の長野原町横壁の所有土地を通過し、2車線道路なのに、不思議なことに萩原昭朗からの買上げ部分を含む約500メートルが4車線となっていると指摘しています。

 しかも、横壁地区住民からの証言として、代替道路の建設費は10.8キロで786億円、100メートルあたり約7億円であること、萩原昭朗のところだけ4車線にしたのは金を沢山払い抱き込むためとしか思えないこと、萩原昭朗は水没予定地の川原湯地区にも多くの不動産を保有していて、それらの所有土地・建物、その他の補償金の総額は、自称約10億円だが実際には15億円ぐらいにはなるはず、とする取材結果も載せています。

 また、萩原昭朗が、前述の萩原礼人と同様、補償交渉で住民側代表を務めていること、萩原昭朗は長野原地区の消防団長や、吾妻郡地区の消防団長にもなり、さらには県の消防協会の副会長も務めていたこと、大地主の萩原昭朗が借地人・借家人の立場や権利を認めず100対ゼロで補償金を払ってくれないこと、萩原昭朗が商品の先物取引に手を出して、億単位で大損をしたという話があること、を紹介しており、これらは当会に寄せられた
平成19年初頭の告発情報と合致しています。

■週刊新潮は、この特集記事の最後を次のように締めくくっています。

 川原湯地区の旅館経営者が言った。
「国が悪い、ダムを造れと住民は言うけれど、地元の人が欲に駆られ、シガラミにとらわれ、交渉を先延ばしにして決断しなかったのも、問題が長引いた原因のひとつ。でも民主党が300議席も取って、本当にダム建設を中止にするとは夢にも思わなかったよ」
 半世紀前と同じように今も政治と欲に翻弄され続けている。


 週刊新潮は、引き続き現地取材のほか、八ッ場ダムで故郷を離れた関係者らへの取材を続けており、今後も八ッ場ダム問題に関する特集記事を掲載する予定だときいており、次回の特集記事が楽しみです。

【ひらく会情報部】
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八ッ場ダム問題を週刊誌が競って取材中・・・週刊実話の場合

2009-10-17 12:42:00 | 八ッ場ダム問題
■週刊実話というヤクザとお色気記事で知られる週刊誌がありますが、この雑誌でも八ッ場ダムの話題が取り上げられているから驚きです。週刊実話10月29日号350円のP208に、「八ッ場ダム 住民が憤る前原国交相の“官僚操縦術”」という記事があります。わずか1ページ足らずの記事ですが、国交省内の動きを書いています。そのさわりを見てみましょう。

 9月末日に発表された、たった1人の職員の「人事異動」が、ダム建設中止や公共事業の削減に揺れる国交省に激震をもたらしている。

■インパクトのある書き出しで始まった記事は、次のように続けています。
 省内で“道路行政のエース格”と謳われた中原淳氏が、突如、前原国交相の政務秘書官に鞍替え。これみより「ついに国交官僚が前原の軍門に下った!」と評判なのである。
「中原は、中山成彬国交相時代に事務担当秘書官に抜擢された人物。前任の金子国交相時代も同じ役所を務めた、いわば自民党の信任厚い職員なのです。それが一転、ダム問題で揉める前原の参謀になるという。今では、国交官僚が『白旗を上げ出した』ともっぱらなのです」(政治部記者)


■さらに、記事の後半部分では、八ッ場ダム問題に関連して次の記述があります。

 実は、こうした“官僚操縦術”は政界でも「効果が出始めている」と評判だったのだ。その最大の証左が、「ムダ削減」の象徴として中止が決まった八ッ場ダム問題だ。同問題は、地元住民や自治体の猛反発で膠着状態が続いていたが、徐々に「前原有利」に傾きだしたからである。
「ここにきて、ダム建設中止反対派が知事を呼んでゴルフコンペを行っていたことや、土地の保証金のデタラメさを暴いたりする記事が続出していた。大半は記者が独自取材したものだが、中には前原に白旗を上げた国交省関係者から、流されたものが間接的に記者に伝わったケースのあると言われているのです」(前出・政治部記者)


■この件は正しくありません。ダム建設中止反対派が丸岩会という名のもとに、知事を呼んでゴルフコンペを行っていたことは、当会に2年半以上も前に告発情報がもたらされたのが発端で、ただちに群馬県の県庁に集うマスコミ各社用の記者クラブ「刀水(とうすい)クラブ」で当会が記者会見したのが、公になった発端です。記者の独自取材ではありません。その後、先月末から、急に、丸込みの中でも週刊誌系の記者が、丸岩会の存在に着目して、当会にコンタクトしたうえで、新たに追加取材を始めたものです。

 当会は、市民オンブズマン群馬と連携して、どの政党であっても、税金の無駄遣いをする政党はすべて批判対象として位置付けて、是正措置を要請することにしています。事実、群馬県議会を相手取った政務調査費不正問題では、自民党系会派のほかにも、金額は少ないですが、民主党系会派も被告として相手取っています。

■その意味で、週刊実話のこの記事の内容は信憑性に疑問があります。同記事は、最後に次のように締めくくっています。

 もっとも、官僚を手なずけても「八ッ場ダム問題」は一筋縄ではいきそうもない。
「住民らは、最近の報道にも猛反発。推進を掲げる群馬県は、中止発令以前に地元自治体の知事と話し合いを持たなかった前原大臣を。『特定多目的ダム法違反』で訴えることも辞さない構えです」
 “潰しあい”が始まる?


 この記事もヘンです。「住民ら」というのは、ダム中止反対派=ダム建設賛成派の住民らなのか、それとも、そうでない住民を含むのか、曖昧だからです。曖昧なのはこの記事の「住民が憤る前原国交相の“官僚操縦術”」というタイトルもそうです。なぜ官僚操縦で住民が憤らなければならないのか意味不明だからです。ここでいう「住民」とは、ダム中止反対派のことなのでしょうが、明記されていません。

■ただひとつ確かなことは、「ダム建設中止反対派(=ダム建設推進派)が知事を呼んでゴルフコンペを行っていたことや、土地の補償金のデタラメさを暴いたりする記事が独出している」という事実です。これは、丸岩会と国交省八ッ場ダム工事事務所の実態を突いた週刊ポストが火付け役となった記事が、大きな波紋を呼び起こしている現象が、もはや全国的に知られてしまったということを示しています。

【ひらく会情報部】

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民主政権下における「記者クラブ」制度のありかた・・・八ッ場ダム報道の例

2009-10-16 11:39:00 | 八ッ場ダム問題

■記者クラブは、全国各地に数百とも数千あるとも言われているテレビ・新聞・通信などの民間メディアで構成される任意団体です。群馬県の場合、県庁の刀水クラブ、県警の記者クラブのほか、高崎市のような規模の大きな自治体の役所にも記者クラブがあり、安中市の場合も岡田市長による定例の記者会見が各月の最終週に市役所で、それぞれ決まったマスコミ加盟各社を対象に行われています。

 この記者クラブの実態について、週刊朝日10月23日号350円で、ジャーナリストによる「官僚が繰る“一億総洗脳社会”の恐怖」と題する記事がP30-31に掲載されていて、「巧妙かつ狡猾な霞が関の手先となって、日本国民を“一億総洗脳”する手助けをしてきた」と一刀両断でコメントしています。
■朝日新聞出版の「週刊朝日」によると、野党時代の民主党は、6年間にわたって、「記者経験の解放」を実行してきたが、鳩山政権が指導したとたん、その「公約」が一挙にしぼんでしまったというのです。

 野党のときはできていたのに、なぜ与党となったらできなくなったのか、与党慣れしていない新任の各大臣らが、官僚らと接触した途端に、いとも簡単に“洗脳”された、というのです。そして、“洗脳”は、首相官邸にたむろす日本最大の記者クラブ「内閣記者会」の記者らを筆頭になされたというのです。

■すべての役所の建物は国民の共有財産のはずですが、わが国では、任意の民間マスコミ企業の組織体の「記者クラブ」に勝手に使用許可・運営権限まで与えてしまっており、そこに法的根拠はなく、憲法違反の疑いもあると「週刊朝日」では指摘しています。

 そして、違反ともいえる便宜を記者クラブに許しているのが、そのうまみを知り尽くしている役人で、その目的は、情報操作に基づく記者と政治家、その先の国民への洗脳だというのです。

 権力とメディアとの間には、一定の緊張関係がなければなりませんが、日本の官僚は、「敵」であるはずの記者クラブを省庁に長年寄生させて、餌付けすることで、骨抜きにしてきました。水俣病、薬害エイズ、薬害肝炎、無駄な高速道路建設、地方空港の赤字、学校校舎の未耐震化、年齢記録紛失、官官接待、官報接待、公費流用、不正経理、天下り、などなど・・・と記事で指摘しています。

 これらはみな、早くからフリーランスのジャーナリストや雑誌メディアが取材し、その記事によって追及し、国民に警鐘を鳴らしてきた霞が関官僚の数々の不祥事の一部にすぎない、というのです。

■注目されるのは、「最近では八ッ場ダムにおける建設中止批判の世論操作は、国土交通省の役人が記者クラブを通じて国民に発信したものです」という件です。

 代表例のひとつが、「工事を中止したほうが高くつく」というものです。国交省のダム役人が、ダム建設を中止すると下流の6都県に負担金1460億円を還付する必要が生じ、継続した場合に比べて約800億円多くかかるという情報操作を記者クラブを通じて、国民に流布させました。

 ところが、実際は、ダム役人が「還付しなければならない」と説明している負担金1460億円のうち約570億円は国庫補助金なので、本当に返さなければならない金額は約890億円に過ぎないのです。

 さらに建設継続とした場合、東京電力の発電所への減電補償、関連事業などで1000億円程度の増額が不可避となります。

■マスコミが一定レベルの情報を共有できるという、この記者クラブ制度は、表裏一体で、情報源に操作されやすく、しかもショバ代無料で立派なオフィスを借りているため、マスコミが役人の批判を言いにくくなるのは目に見えています。だから長年、日本の官僚は、この記者クラブという制度を便利なものとして駆使し、我々国民を洗脳してきました。霞が関からすれば、記者会見を解放するというのはとんでもないことなのだ…というのが週刊朝日の主張です。

 確かに、当会が、平成19年2月24日に、県庁の刀水クラブで八ッ場ダム推進派による丸岩会の実態について、証拠資料を配布して説明した際に、地元の上毛新聞をはじめ、全国や、群馬テレビ、共同、時事通信社など、担当記者は膝を乗り出して興味を示し、証拠資料にどよめきが上がったのですが、その後、この情報をもとに実態調査を行い、丸岩会と八ッ場ダムとの関係を掘り下げようというマスコミは現れませんでした。

■したがって、記者会見のオープン化は、群馬県の場合、とくに急ぐ必要があります。また、記者クラブの開放化についても、刀水クラブや県警記者クラブなども、推進する必要があります。市民団体が記者会見をしようとすると、椅子にふんぞり返った記者が、横柄な態度で、面倒くさそうにどうでもよいことを質問してくることが、かつては殆んどでした。そして、せっかくの市民団体の記者会見情報も、せいぜい社会面の片隅の埋め草記事にしてもらえればよいほうで、基本的にはボツにされることを覚悟しなければなりませんでした。

 最近は、かつてのような入りにくい雰囲気は薄れてきましたが、公金で設置され管理されている施設であることを認識して、たとえば、ローカルのミニコミ紙や、市民ジャーナリスト、そして市民オンブズマンなども記者会見に出て、質問したりできるようにしてもらいたいものです。

■最後に、週刊朝日が10月8日に実施したという、マスコミ各社に対する「大臣会見オープン化についての見解」についてのアンケート実施結果を次に掲げます。

●朝日新聞:日本新聞協会の見解に沿って、出席者を記者クラブ加盟社に制限すべきではない。
●毎日新聞:日本新聞協会の見解に基づき、各記者クラブが判断すべき。
●読売新聞:日本新聞協会は報道の実績を有し、報道倫理と共有していくことを前提としており、弊社も同じ認識。
●産経新聞:記者会見のあり方は日本新聞協会などで検討をしているところであり、そうした見解を尊重する。
●日経新聞:さまざまな事情が許すのであれば参加を制限する必要はないのではないか。
●東京新聞:国民への情報開示、取材の機会均等などの観点から原則認めるべき。
●共同通信:報道活動に長く携わり、一定の実績があるメディアやジャーナリストらには。原則オープンにすべき。
●時事通信:理想としては理解できるが、会見には時間などの制約もあり、慎重に検討されるべき。
●NHK:現時点では具体的な回答は差し控える。各社の動向や、日本新聞協会の議論も踏まえながら対応を検討。
●日本テレビ:認めるべきでないとの立場はとらないが、記者会側と大臣側が十分に協議することが大切。
●TBSテレビ:記者クラブは「開かれた存在」であるべき。そのうえで各々のクラブが事情を勘案して適宜対処すべき。
●フジテレビ:原則オープであるべき。それを現実的に対応すべき時期に来ている。
●テレビ朝日:認めてよい。オープン化にあたっての条件なども考えていない・
●テレビ東京:基本的に認めてもよい。各省庁の実情に合わせてルールつくりをしていくことも求められる。

 大手全国紙やNHK、時事通信が、日本新聞協会の規定云々にならうなどと、横並び体質なのにくらべ、共同通信やテレビ系は、記者会見オープン化推進の必要性を認めています。群馬県には、上毛新聞というローカル新聞がありますが、他の地域、たとえば、青森の東奥日報や栃木の下野新聞、愛媛の愛媛新聞などにくらべると、極めて保守的です。また、当会がしてきしたように、群馬県で取材の最前線にいる記者の皆さんは、旺盛な取材意欲をもっていますが、デスクと呼ばれる編集長がヒラメのように上の意向ばかりうかかがっているため、マスコミの構造改革は急務と言えます。

 今後も、八ッ場ダム問題を例にとって、マスコミ各社の動静を分析していきたいと思います。

【ひらく会情報部】

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前原国交相にかみついた森田健作知事らのケンシキ度

2009-10-13 19:48:00 | 国内外からのトピックス
■報道によると、前原誠司国土交通相は10月13日、羽田空港の国際ハブ(拠点)空港化を目指すとした航空行政の新方針について「(国際線を)成田から羽田に移すというものではない。首都圏空港の一体的運用はこれからも続けていきたい」と述べました。
 成田空港の国際拠点としての役割が低下することを懸念する声が、地元自治体から相次いでいることに配慮した発言とみられます。前原氏は14日には千葉県の森田健作知事らと会談し、発言の真意について説明することを明らかにしました。

 また、羽田空港の国際線枠については「来年10月に4本目の滑走路ができる。管制が習熟すれば約11万回発着回数が増える」と指摘し、「半分を国際線に配分したい」との考えを示しました。

■きのうの橋本知事の発言や、成田空港のおひざもとの成田市長や千葉県知事の発言をきくにつけ、なんと視野の狭い人物が、自治体の首長になっているのかと、暗澹たる気持ちになります。

 いまや世界の航空界や海運界の趨勢は、ハブ空港やハブ港に集中を強めており、日本はすでに両方とも後進国になりさがっていることに、早く気づくべきです。

 空港で言えば、東京より小さいロンドンには、たくさんの空港があり、それぞれ、役割をになっています。国際路線で言えば、ヒースロー空港とガトウィック空港が南北にあり、それぞれ行き先ごとに路線を振り分けており、相乗効果で、ともにハブ空港としての機能をはたしています。

 国交相が、「羽田をハブ空港にする」といった途端、成田空港はあたかも廃港にするかのような反応を見せた成田市長や森田知事の見識を疑わざるを得ません。

■世界有数の経済エリアである東京を中心とする首都圏には、目玉となる空港と、それを補完する空港が必要です。すでに、韓国のインチョンにハブ空港を取られ、海運界では、神戸や横浜よりも韓国の釜山にハブ港をとられた日本としては、復権を果たそうとするには24時間稼動の空港や港湾施設の整備が急務です。


24時間営業の仁川空港のエプロン風景。

広大な仁川空港ターミナル内部の様子。

 自民党政権下で、首長になった人物には、もういちど次の言葉を思い出してほしいものです。
 Think Globally! Act Locally!

【ひらく会情報部】

コメント
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