秋田県の良さは何?という質問を秋田県の方にすると、自然が豊か、という答えを多く聞きます。秋田だけでなく、都会以外の場所では、多かれ少なかれ自然が豊かな日本です。でも秋田の人にとって、その自然は自慢の種。今回クマ出没の問題では、自慢の自然が裏目に出ていることになります。
都会の人に、旅行に行くなら?と尋ねると、温泉やグルメという目的形の答え、非日常を感じるためという現実逃避的な答えの他、自然を楽しみたいと云う答えもあるようです。ただこの場合の「自然」と云うのは、観光地的自然で、人の手が入って整備された自然を指すことが多いようです。近年ブームのグランピング(キャンプの贅沢版)などは、そのよい例かもしれません。
秋田にある自然の大半が、人の手が入っていない、本来の自然と云えるでしょう。自然なのだから、当然いろいろなリスクも伴います。クマ出没もその一つ。秋田では他に、ツツガムシ病やマムシ、ヤマヒルなどの危険も伴います。動物だけでなく、毒キノコ、トリカブトや水仙など山菜と間違える草などがあったりしますし、地形的にも危険な場所が多くあります。天候でも、大雨による洪水や大雪などは自然の一端とも云えるでしょう。
これらのことを制するというのは、かなり無理が伴いそうで、本気でやるなら莫大な費用や人手が必要です。またいくら費用をかけても、砂場に撒く水のように、いくら投入してもすぐにしみ込んでしまいそうです。ツツガムシ病というのはかつて新潟山形周辺の広範囲にいた風土病のようですが、これが河川工事による湿地帯の減少などにより生息地域が減少し、今では山間部を中心に「封じ込まれた」ような状況になっているようです。
河川工事や圃場整備といったことによる二次的影響ではありますし、ツツガムシ病を退治するために行ったことではありませんが、仮にツツガムシ病を減らすために同様のことを行ったとしたら、目玉が飛び出すような費用になったと云えそうです。
熊に話を戻せば、自然界の食物連鎖で最上位に位置する動物なのでしょう。食物連鎖自体が中途半端に崩れ、連鎖では熊の上には人間しかいなかったものの、その人間も熊を狩ると云うことをしなくなり、今のような状況になったとも云えます。これを元に戻すのもご時世柄、いろいろと大変な昨今、当分の間は、熊と共生するにはどうするかを考えていく必要があるのでしょう。
人口減少率日本一が見込まれる秋田県。いずれ人間よりも熊の方が多くなる、なんて将来も考えておく必要があるのでしょうか。