高齢者負担増に「待った」 民主、介護と医療で 統一選へ影響を懸念
2010年12月14日 提供:共同通信社
高齢者の介護と医療の制度改正をめぐり、厚生労働省と民主党の意見の食い違いが表面化している。関連法案は来年の通常国会への提出を目指すが、いずれも高齢者の負担増を含む内容。民主党内には来春の統一地方選への影響を懸念して「選挙前に法案を出すのは自殺行為だ」との声すら出始めている。
問題になっているのは、2012年度施行予定の介護保険制度改正と、後期高齢者医療制度の廃止に伴い13年に導入を目指す新医療制度。法案作成に入ろうという段階での与党からの「待った」に、厚労省内からは「後ろから鉄砲を撃つようなもの」と不満も漏れる。
高齢者に負担増となるのは、介護では高所得層の利用者負担引き上げやケアプラン作成の有料化、医療では70~74歳の窓口負担引き上げ、低所得者向け保険料軽減の縮小など。
民主党の担当ワーキングチーム(WT)の議論では、負担増の方針に地元の有権者から苦情があったと訴える議員が続出。「これでは選挙を戦えない」との雰囲気が色濃い。高齢者医療制度改革WT主査の柚木道義衆院議員は「自爆テロのような法案だ。国会提出はありえない」と危機感をあらわにする。
ただ、厚労省が高齢者の負担増を打ち出した背景には、増え続ける社会保障費を賄う安定財源が見当たらないことがある。負担増を避けても、消費税を含む税制改正論議は進んでおらず、財源確保は難しいのが現状だ。
厚労省幹部は「政権公約で掲げた後期医療制度の廃止が先送りされては、本末転倒ではないか」と指摘。政務三役の一人は「通常国会への提出法案を絞り込むよう官邸から指示されているが、これらの法案は出さないといけない」と、党の動きをけん制している。
廃止=増悪
は許せない