泥縄緩和は許されない
2011年4月28日 提供:共同通信社
【解説】厚生労働省が原発作業員の被ばくが許される放射線量の限度を緩和する方針を固めた背景には、全国に54基ある原発の定期検査に作業員を確保したい産業界の要請がある。高線量下で過酷な労働に従事する作業員の健康問題が十分検討されたかは疑問で、福島第1原発の事故対策に限った先の緩和と同様、泥縄式の事後決定とのそしりは免れない。
放射線影響協会(東京)によると、作業員の被ばく線量を管理する放射線管理手帳を持ち、2009年度に全国の原発など原子力施設で働いた作業員は約7万6千人に上る。作業は電気、機械関係や清掃まで多様だが、原子炉内部の仕組みなど専門的知識を持つ技術者は数が限られるという。
3月11日に福島で事故が起こった後、全国の作業員が東京電力や下請け、孫請けの会社などを通じて"緊急招集"された。待機を含めれば千人以上が関わっているとみられ、作業が長期化する中、今後も人数が膨れ上がることが確実だ。
東電によると、27日現在、累積100ミリシーベルト以上被ばくした作業員は30人。多くは東電社員だが、下請け作業員も含まれる。厚労省は既に3月15日、事故対応に限定し緊急時の上限線量を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに緩和したが、作業員を派遣した企業の多くは、現場の作業員の安全に配慮し、新基準に従っていない。
2011年4月28日 提供:共同通信社
【解説】厚生労働省が原発作業員の被ばくが許される放射線量の限度を緩和する方針を固めた背景には、全国に54基ある原発の定期検査に作業員を確保したい産業界の要請がある。高線量下で過酷な労働に従事する作業員の健康問題が十分検討されたかは疑問で、福島第1原発の事故対策に限った先の緩和と同様、泥縄式の事後決定とのそしりは免れない。
放射線影響協会(東京)によると、作業員の被ばく線量を管理する放射線管理手帳を持ち、2009年度に全国の原発など原子力施設で働いた作業員は約7万6千人に上る。作業は電気、機械関係や清掃まで多様だが、原子炉内部の仕組みなど専門的知識を持つ技術者は数が限られるという。
3月11日に福島で事故が起こった後、全国の作業員が東京電力や下請け、孫請けの会社などを通じて"緊急招集"された。待機を含めれば千人以上が関わっているとみられ、作業が長期化する中、今後も人数が膨れ上がることが確実だ。
東電によると、27日現在、累積100ミリシーベルト以上被ばくした作業員は30人。多くは東電社員だが、下請け作業員も含まれる。厚労省は既に3月15日、事故対応に限定し緊急時の上限線量を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに緩和したが、作業員を派遣した企業の多くは、現場の作業員の安全に配慮し、新基準に従っていない。