日々、祈ります。
戦争が終わりますように。
ドナネマブは、脳内に蓄積し病気の原因となる有害なタンパク質「アミロイドベータ」に結合し除去する抗体を基にした点滴薬。
臨床試験は、認知症の前段階から軽い症状が出た人までを対象とした。1182人のデータを解析したところ、ドナネマブを投与した人は、薬効のない偽の薬を投与した人に比べて認知機能や日常生活を送る能力の低下が1年半後の時点で35%抑えられたという。
一方、一過性の脳浮腫はドナネマブを投与した人の24%、微小な脳出血は31%にみられた。多くは軽度から中等度だったが、重度の症状が1・6%に起きた。この症状により2人が死亡、他に1人が重い症状が出た後に死亡した。各国の薬事当局は、薬の効果がこうしたリスクと釣り合うかどうかを検討する。
同社は、早期のアルツハイマー病患者で特に有害タンパク質の除去が有効である可能性が示せたとしつつ「致命的な病気に対する他の有効な治療法と同様に、重篤で命にかかわるリスクも存在する」とコメントした。試験の詳しい結果は追って発表する。
同じ有害タンパク質の除去を狙った薬では、エーザイと米バイオジェンのレカネマブが米国で迅速承認され、日本でも承認申請中。
新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けは8日に季節性インフルエンザと同じ5類となったが、倦怠(けんたい)感など特有の症状の長期化に苦しむ後遺症患者への対応は、引き続き社会の課題だ。治療に当たる医師は「国を挙げた対策に取り組んでほしい」と訴えている。
「適切な治療があれば後遺症の多くは治るのに診る医師が少なく、社会の理解も進んでいない」
聖マリアンナ医科大病院(川崎市)で後遺症患者と向き合う総合診療医の土田知也(つちだ・ともや)さん(41)は、後遺症患者を取り巻く状況をこう話す。同病院では、今も100人以上の新規の紹介患者が診察待ちで「3カ月先まで予約が埋まる」という。
2021年1月に後遺症外来を設置以降、同病院を受診した患者は今年3月までに約850人。大半が20~50代で倦怠感、頭痛、忘れっぽくなるなどの訴えが目立ち、「いろんな症状が混じり合っていることが多い」。
感染で「免疫が異常反応を起こし自律神経が乱れ、さまざまな疾患が現れるのではないか」と分析。詳細な問診や検査をすると、倦怠感や動悸(どうき)を訴える人は横になった状態から立ち上がると心拍数が急上昇する「体位性頻脈症候群」を発症しているケースが多かった。
こうした自律神経障害を伴った倦怠感の訴えには、鼻の奥を消毒する「上咽頭擦過療法」を実施。記憶力の低下、文章理解が困難になるといったブレーンフォグの症状には、磁気を使って脳を刺激する「rTMS」と呼ばれる自費治療も。適切な治療をすれば多くは治るとし「症状に合った処置が重要」と強調する。
医学的根拠の薄い治療を高額費用で受け、改善しないまま同病院を訪れる患者も後を絶たない。「全ての医師が診られるようになれば」と、神奈川県と協力し、医師向けに診断方法を解説する活動にも取り組む。
ただ、こうした後遺症治療の充実に向けた取り組みは、医師個人の努力に頼る面が大きいのが現状で、国には一層の対策強化を求めている。
休職が必要な状態なのに勤務先が許してくれず、無理して働く患者も多い。身体的な不調に加え、周囲の心ない声や先行き不安から「精神的な問題を抱える場合もある」として、社会の理解を広げる必要性も指摘した。
省庁の縦割り打破 重要
新型コロナウイルスの5類移行を前に、コロナ禍に官房長官、首相として対応した菅義偉・前首相が読売新聞のインタビューに応じた。感染症危機の際には、省庁の壁を越えて政府が一体となって対応することが重要だと強調した。
――コロナ禍で得られた教訓は。
感染拡大が始まった時、まったく情報がなかった。まずは省庁の縦割りを排し、政府が一丸となって取り組む体制を作ることが重要だった。その代表例が2020年2月のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」を巡る対応だ。
乗船者のPCR検査で31人中10人の陽性が判明したのは、2月4日夜10時頃だった。大変な事態が起きたと考え、直ちにホテルの一室を借りて厚生労働相や国土交通相、官僚を集めて対応を協議した。陽性と判明した方には速やかに下船してもらう方針を決め、そのための病床も確保するよう指示した。
各省庁が一つになって対応するには、官房長官の私が指揮をとらなければいけないと思ってやっていた。
――感染拡大防止と社会経済活動の維持の両立をどう考えた。
非常に厳しい判断の連続だった。感染症の専門家は感染拡大防止が最優先だというような意見を言い、世論も当初は厳しい対策を求める声が相当多かった。
一方で、第1波の緊急事態宣言で多くの経済活動がストップしたため、20年4~6月期の国内総生産(GDP)は年率換算で前期比マイナス28%と戦後最悪の落ち込みだった。あれはショックだった。
社会経済活動を維持し、国民の暮らしも守らなければならない。2回目の緊急事態宣言以降の感染防止対策は、専門家が「効果が高い」と指摘している飲食店に的を絞った。諸外国と比べて失業率はそれほど上がらず、感染者数や死亡者数も少なかった。いろいろと批判もされたが、今振り返ると妥当な対応だった。
――ワクチン接種は欧米に出遅れたが、接種率では欧米を追い上げて世界トップ水準を実現した。
切り札はワクチンに限ると思った。「一本足打法」ともやゆされたが、「1日100万回接種」の目標を掲げて本気度を示したというか、勝負を懸けた。
政府は準備や段取りはしたが、実際には各地の医療や介護などの現場の人の協力がなければ接種は進まなかった。期待以上に動いていただき、日本人は本当にすごいと思った。
――21年夏の第5波では感染者が病床不足で入院できず、自宅で死亡する事例が相次いだ。
日本の医療が総力を挙げて戦わなければならないという覚悟で取り組んだが、大都市で、計画通りに病床が稼働していない病院があった。このため、例えば、独立行政法人・地域医療機能推進機構(JCHO)にコロナ専用病院をつくる、国立病院機構にも東京都内での病床を増やしてほしいと要請した。危機に際し、国公立・公的医療機関が先頭に立って範を示す必要がある。そういう思いだった。(聞き手 足利浩一郎)
庭の斑入りの葉たち
夏、花たちがいなくなると、この斑入りの葉たちが、目を楽しませてくれます。
まだ、斑入りの青木の木がありますが、雄の木で、花は咲きますが実がならず、葉だけを楽しんでいます。写真は撮っていませんが。