保険料、年8万5千円に 伸び抑制も2万円増 10年後、現役に負担重く 新高齢者医療で厚労省試算 (1)
2010年10月21日 提供:共同通信社
2013年度に導入予定の新たな高齢者医療制度について、厚生労働省が現行制度からの各種見直しを織り込んで試算した将来の保険料見込み額が20日、判明した。
厚労省は、現役世代の負担や税金(公費)投入を増やすことで、75歳以上の保険料の伸びを現行の後期高齢者医療制度より抑制する方針。それでも、新制度で国民健康保険(国保)に加入する75歳以上の約1200万人の平均保険料は、10年後の20年度に年8万5千円と、現在より2万2千円増える見通しだ。25日開催の有識者会議に示す。
後期医療では現役世代を上回る伸び率で保険料が増えていく構造だが、新制度では伸び率を現役並みにそろえる。現在の平均保険料は年6万3千円。試算では現行のままだと10年後に8万7千円まで増えるが、大企業の健康保険組合など現役世代に負担を求めることで、保険料上昇を抑える。
具体的には、健保組合などから高齢者医療への拠出金の計算方法を、加入者数ではなく給与水準に応じた仕組み(総報酬割)に見直し。財政力が豊かな健保組合と、公務員らの共済組合の負担割合を増やす。
見直しにより、団塊の世代が75歳超となる25年度の平均保険料は、健保組合で現在の年19万5千円が28万9千円に、共済では21万7千円が33万円まで増加。一方、75歳以上は現行のままだと10万1千円に増えるが、新制度で国保に移ると9万5千円にとどまる。しわ寄せを受ける健保組合などからは反発も出そうだ。
ただ、現役の保険料負担が過重にならないよう税金投入も増やす。75歳以上の医療給付費は現在、税金47%、現役の拠出金43%、高齢者の保険料10%で賄っているが、厚労省は新制度移行時に税負担を50%に引き上げる方針。700億円を追加投入し、その後も4年ごとに拡充を図る。
また高齢者にも応分の負担を求めるため、70~74歳の医療機関での窓口負担割合は、1割としている暫定措置を見直して13年度以降に順次、2割負担とする方針だ。
※新高齢者医療制度
後期高齢者医療制度を2012年度末に廃止し、13年度から75歳以上は国民健康保険(国保)か、健康保険組合など被用者保険に加入。国保に約1200万人、被用者保険に約200万人が後期医療から移る。75歳以上の国保は都道府県単位の運営とし、財政も区分し別会計とする方向。厚生労働省は、一連の見直しを盛り込んだ関連法案を11年の通常国会に提出することを目指している。