<横浜三吉橋、埼玉屋食堂>
「三ちゃん食堂」で呑んで以来、踏み絵を思いきり踏んでしまったように大衆食堂で呑むことが平気になってしまった。もちろん、たまにで、同好の士があるていどいる場合に限るが。早い時間から呑めるのがいい。
横浜市営地下鉄の坂東橋駅を降りて地上にあがると関内方面に戻るように歩く。
すぐ右手にある活気のある長い横浜橋商店街を抜ける。両側をみながら歩くと老舗の総菜屋が多い。
さらに短い三吉橋商店街も抜けていく。
三吉演芸場を過ぎ、川を渡って左に曲がる。
すこし歩いたところに「埼玉屋食堂」がある。
一歩店内に入って驚いた。年季の入った昭和な雰囲気である。素早く視線を走らせたところ食事をしているのはひとりだけとみた。あとは同好の士ばかりだ。まだ、午前十一時前である。
開店早々の早朝から来ることもできたのだが、初めての訪問なのでなんとなく第一陣がオダをあげきって引きあげるような時間帯を狙ったのだ。
手前から八人掛けの長テーブルがふたつ、奥の厨房前の長テーブルは十人掛けくらいだろうか。常連の長老たちが奥のようである。学生が半分を占める三ちゃん食堂に比べれば年齢構成は高そうだ。
食事客がいる手前のテーブルに空きがあるので、煙草の煙を考えてそこのなるべく離れたところに腰をおろした。
料理はテーブルに置かれた簡単なメニューより、壁に貼られた短冊の紙メニューを見たほうが良さそうだ。
「芋の水割りってありますか」
「うちは甲類の焼酎しかありませんが・・・」
「あ、そうですか。ではそれの水割りをください」
初めてだと店のシステムに慣れるまで若干の時間がかかる。
氷の入ったジョッキ、コップに入った焼酎、水が入ったグラスとマドラーが運ばれてきた。自分で好みの割合で呑むスタイルのようだ。
「あの・・・目玉焼きってできますか」
朝食を食べていないせいなのか、無性に卵料理が食べたい。テーブルにも壁にもどこにも書いていなかったのでおずおずと訊いた。
「できますよ。ライスと味噌汁をつけますか」
「いえ、目玉焼きだけでいいです」
目玉焼きを肴に焼酎をゆっくり呑みはじめる。焼き時間がすこしだけ長過ぎたせいか白身が焦げている。
この店は早朝からの開店だが午後一時でいったん中休みに入る。そのあたりを頭において呑み食いを按配しないといけない。
壁のメニューにピザをみつけて、すぐに追加注文した。値段が三百五十円なのできっと小さくて食べやすそうだ。
しばらくすると食堂内にピザを焼くいい匂いが流れてきた。電子レンジでチンする冷凍ものではないようだ。
運ばれてきた熱々のピザはいかにも大きさが丁度いい。それになかなか旨い。ここで水割りのお代わりを頼んだ。
トイレに立って気がついたが、水屋箪笥みたいなところの棚に焼き魚や煮物が入った大皿や丼なども並んでいた。覚えておこう。
腰をすえて呑みたいところだが、そろそろ残り時間が少なくなってきた。
最後の一品として、他のあちこちのテーブルで注文しているのにならってわたしもカレーライスを頼み、また水割りも追加した。
だいぶ待たされてカレーライスが運ばれてきた。
ひと口食べて、炊きたてのご飯に驚く。嬉しい。わたしみたいな酒呑みには炊きたてのご飯に縁がないのだ。おそらく朝炊いた飯が売れてしまって、慌てて炊いたのだろう。
すこし残してしまうかと思ったが、ご飯が旨いからパクパク食べきってしまった。
壁にかけられた埼玉屋のメンバーのイラストそっくりの若いマスターが、卓の上の、下げずに残す皿で勘定を計算してくれたが驚くほど安かった。明朗会計だ。
今日は短時間の偵察である。再訪したときには大皿料理と、カレーの「頭だけ」を注文できるか訊いてみることにしよう。
→「新丸子、レイの食堂」の記事はこちら
「三ちゃん食堂」で呑んで以来、踏み絵を思いきり踏んでしまったように大衆食堂で呑むことが平気になってしまった。もちろん、たまにで、同好の士があるていどいる場合に限るが。早い時間から呑めるのがいい。
横浜市営地下鉄の坂東橋駅を降りて地上にあがると関内方面に戻るように歩く。
すぐ右手にある活気のある長い横浜橋商店街を抜ける。両側をみながら歩くと老舗の総菜屋が多い。
さらに短い三吉橋商店街も抜けていく。
三吉演芸場を過ぎ、川を渡って左に曲がる。
すこし歩いたところに「埼玉屋食堂」がある。
一歩店内に入って驚いた。年季の入った昭和な雰囲気である。素早く視線を走らせたところ食事をしているのはひとりだけとみた。あとは同好の士ばかりだ。まだ、午前十一時前である。
開店早々の早朝から来ることもできたのだが、初めての訪問なのでなんとなく第一陣がオダをあげきって引きあげるような時間帯を狙ったのだ。
手前から八人掛けの長テーブルがふたつ、奥の厨房前の長テーブルは十人掛けくらいだろうか。常連の長老たちが奥のようである。学生が半分を占める三ちゃん食堂に比べれば年齢構成は高そうだ。
食事客がいる手前のテーブルに空きがあるので、煙草の煙を考えてそこのなるべく離れたところに腰をおろした。
料理はテーブルに置かれた簡単なメニューより、壁に貼られた短冊の紙メニューを見たほうが良さそうだ。
「芋の水割りってありますか」
「うちは甲類の焼酎しかありませんが・・・」
「あ、そうですか。ではそれの水割りをください」
初めてだと店のシステムに慣れるまで若干の時間がかかる。
氷の入ったジョッキ、コップに入った焼酎、水が入ったグラスとマドラーが運ばれてきた。自分で好みの割合で呑むスタイルのようだ。
「あの・・・目玉焼きってできますか」
朝食を食べていないせいなのか、無性に卵料理が食べたい。テーブルにも壁にもどこにも書いていなかったのでおずおずと訊いた。
「できますよ。ライスと味噌汁をつけますか」
「いえ、目玉焼きだけでいいです」
目玉焼きを肴に焼酎をゆっくり呑みはじめる。焼き時間がすこしだけ長過ぎたせいか白身が焦げている。
この店は早朝からの開店だが午後一時でいったん中休みに入る。そのあたりを頭において呑み食いを按配しないといけない。
壁のメニューにピザをみつけて、すぐに追加注文した。値段が三百五十円なのできっと小さくて食べやすそうだ。
しばらくすると食堂内にピザを焼くいい匂いが流れてきた。電子レンジでチンする冷凍ものではないようだ。
運ばれてきた熱々のピザはいかにも大きさが丁度いい。それになかなか旨い。ここで水割りのお代わりを頼んだ。
トイレに立って気がついたが、水屋箪笥みたいなところの棚に焼き魚や煮物が入った大皿や丼なども並んでいた。覚えておこう。
腰をすえて呑みたいところだが、そろそろ残り時間が少なくなってきた。
最後の一品として、他のあちこちのテーブルで注文しているのにならってわたしもカレーライスを頼み、また水割りも追加した。
だいぶ待たされてカレーライスが運ばれてきた。
ひと口食べて、炊きたてのご飯に驚く。嬉しい。わたしみたいな酒呑みには炊きたてのご飯に縁がないのだ。おそらく朝炊いた飯が売れてしまって、慌てて炊いたのだろう。
すこし残してしまうかと思ったが、ご飯が旨いからパクパク食べきってしまった。
壁にかけられた埼玉屋のメンバーのイラストそっくりの若いマスターが、卓の上の、下げずに残す皿で勘定を計算してくれたが驚くほど安かった。明朗会計だ。
今日は短時間の偵察である。再訪したときには大皿料理と、カレーの「頭だけ」を注文できるか訊いてみることにしよう。
→「新丸子、レイの食堂」の記事はこちら
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