<平泉・中尊寺 (1)>
秋保温泉を出発して東北自動車道にのった。
東北道を何度となく往復しているのだが、今日、中尊寺を初めて訪れるのだ。
(むむ・・・あれは地震雲だろうか)
盛岡方面に向かって走っていると、空には、何発ものミサイルを発射したような航跡がどこまでも伸びている。空いっぱいに何本もの細長い雲が走っていて、どの方面からどの方面に向かっているのか見当がつかない。
いま走行しているのが栗駒方面近くなので、昨日の秋保温泉の夕焼けを併せて胸がすこし騒ぐ。
一の関インターで東北自動車道を降りる。
中尊寺にいくまえに、伊達政宗公が「松島と厳美がわが領地の二大景勝地なり」といった厳美渓にちょっと寄っていくつもりである。何度かいっているのだが、今回の旅で行った松島とセットにするつもりだ。厳美渓から中尊寺は下道で三十分ほどの距離である。
厳美渓までは栗駒山方面に六キロほどだ。
栗駒山を源流とする磐井川中流にある渓谷で、奇岩や川床には甌穴などもみられる。
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ここでは「郭公だんご」が名物として知られている。
ワイヤーロープに吊るされた籠に代金を入れて合図の板を叩くと、渓谷の対岸の店に籠が回収されて代わりにだんごとお茶がはいった籠が帰ってくる仕組みだ。
この日は外国人が籠の周りに群がっていた。
観光客を載せたトテ馬車が目の前を元気に駆け抜けていった。
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関山 中尊寺。
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天台宗の東北大本山の寺院で、開祖は円仁とされるが実質的には藤原清衡だ。
平泉を本拠地とした藤原家は、初代清衡、二代基衡、三代秀衡と百年繁栄が続く。その藤原三代ゆかりの寺院である。
失脚した源義経が三代秀衡を頼ってこの地平泉に逃げるが、不運にもその年に秀衡は他界してしまう。四代泰衡は義経の兄である源頼朝の圧力に屈して、義経を自害に追いやる。
頼朝は謀反人である義経を匿った泰衡も謀反人であるとして、鎌倉から大軍を率いて攻め込み滅亡したのである。
(なんだ、いきなり山に登るのかよ・・・)
月見坂という急坂を目の前にして思ってしまう。罰当たりなわたしは、どうも坂道は苦手なのだ。
中尊寺とは、この山全体の総称で、本寺は本堂である「中尊寺」と山内の支院で構成される。だから、この坂道も中尊寺の一部であるのだ。
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それでも子どもや、高齢者が杖をついて元気にあがっていくのをみて、わたしも軽く反省して登りはじめた。
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途中の東物見という開けた場所でひと休みする。
見晴らしがよく北上川と、それに沿って伸びる、東北自動車道と見間違えるほど立派な平泉バイパスが見渡せる。
中尊寺の本寺である「中尊寺本堂」の表門は江戸時代中期につくられたものだ。歴史を感じさせる門だ。
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焼失され明治に再建された本堂で、本尊は阿弥陀如来である。
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― 続く ―
→「続・秋保温泉(1)」の記事はこちら
→「松島」の記事はこちら
秋保温泉を出発して東北自動車道にのった。
東北道を何度となく往復しているのだが、今日、中尊寺を初めて訪れるのだ。
(むむ・・・あれは地震雲だろうか)
盛岡方面に向かって走っていると、空には、何発ものミサイルを発射したような航跡がどこまでも伸びている。空いっぱいに何本もの細長い雲が走っていて、どの方面からどの方面に向かっているのか見当がつかない。
いま走行しているのが栗駒方面近くなので、昨日の秋保温泉の夕焼けを併せて胸がすこし騒ぐ。
一の関インターで東北自動車道を降りる。
中尊寺にいくまえに、伊達政宗公が「松島と厳美がわが領地の二大景勝地なり」といった厳美渓にちょっと寄っていくつもりである。何度かいっているのだが、今回の旅で行った松島とセットにするつもりだ。厳美渓から中尊寺は下道で三十分ほどの距離である。
厳美渓までは栗駒山方面に六キロほどだ。
栗駒山を源流とする磐井川中流にある渓谷で、奇岩や川床には甌穴などもみられる。
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ここでは「郭公だんご」が名物として知られている。
ワイヤーロープに吊るされた籠に代金を入れて合図の板を叩くと、渓谷の対岸の店に籠が回収されて代わりにだんごとお茶がはいった籠が帰ってくる仕組みだ。
この日は外国人が籠の周りに群がっていた。
観光客を載せたトテ馬車が目の前を元気に駆け抜けていった。
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関山 中尊寺。
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天台宗の東北大本山の寺院で、開祖は円仁とされるが実質的には藤原清衡だ。
平泉を本拠地とした藤原家は、初代清衡、二代基衡、三代秀衡と百年繁栄が続く。その藤原三代ゆかりの寺院である。
失脚した源義経が三代秀衡を頼ってこの地平泉に逃げるが、不運にもその年に秀衡は他界してしまう。四代泰衡は義経の兄である源頼朝の圧力に屈して、義経を自害に追いやる。
頼朝は謀反人である義経を匿った泰衡も謀反人であるとして、鎌倉から大軍を率いて攻め込み滅亡したのである。
(なんだ、いきなり山に登るのかよ・・・)
月見坂という急坂を目の前にして思ってしまう。罰当たりなわたしは、どうも坂道は苦手なのだ。
中尊寺とは、この山全体の総称で、本寺は本堂である「中尊寺」と山内の支院で構成される。だから、この坂道も中尊寺の一部であるのだ。
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それでも子どもや、高齢者が杖をついて元気にあがっていくのをみて、わたしも軽く反省して登りはじめた。
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途中の東物見という開けた場所でひと休みする。
見晴らしがよく北上川と、それに沿って伸びる、東北自動車道と見間違えるほど立派な平泉バイパスが見渡せる。
中尊寺の本寺である「中尊寺本堂」の表門は江戸時代中期につくられたものだ。歴史を感じさせる門だ。
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焼失され明治に再建された本堂で、本尊は阿弥陀如来である。
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― 続く ―
→「続・秋保温泉(1)」の記事はこちら
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