温泉クンの旅日記

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京都・一乗寺、詩仙堂(1)

2023-08-06 | 京都点描
  <京都・一乗寺、詩仙堂(1)> 

 開門のほぼ9時ジャストに、苔むした小さな門「小有洞(しょうゆうどう)」の前に到着した。左に建つ石柱をよく見ると「詩仙堂」と彫られている。

 

 その日、旅では超早起きなわたしは、詩仙堂が遅い開門時間なので、逸る気持ちを押さえてまずは煙草が吸える「高木珈琲」のモーニングで時間調整した。

 

「詩仙堂って意外と近いんだ!」
 あるとき調べてみて、そう気がついた。
 詩仙堂は紅葉の名所だが、紅葉はすでに終わっているからきっと空いているだろう。よし、行ってみるか、という気分になったというわけだ。

 

 祇園四条から京阪本線に乗って終点の出町柳駅に行き、そこから「えいでん」に乗り換えて四駅目の一乗寺駅まで、スムーズに行けば30分とかからない。そして駅からは徒歩で15分ばかりである。

 

 小有洞をくぐり、静かで、風情のある石段の参道を進む。
 参道を登りきったところに、風情たっぷりの中門「老梅関(ろうばいかん)」があって、これをくぐったところがいよいよ詩仙堂だ。

 

「詩仙堂」は1641年(寛永18年)、江戸時代の文化人・石川丈山が59歳のときに、終(つい)の棲家として建てられた山荘である。
 丈山は16歳で徳川家康に武将として仕え、大坂夏の陣で功名を立てた後、徳川家を離れ90歳で没するまで文化人として清貧の日々をおくった。
 堂の名前は、狩野探幽らに描かせた中国の漢普唐宋の詩家三十六人の肖像と、丈山自らが書いた各詩人の詩を四方の壁に掲げた「詩仙の間」に由来する。

「詩仙堂」は、丈山が没した後に曹洞宗の寺院(福井の「永平寺」の末寺)となり、現在は「詩仙堂 丈山寺」という。山号は「六六山」。本尊は馬郎婦観音(めろうふかんのん)である。

 

 

”詩仙の間”から眺める「枯山水庭園」は、丈山自身によって作庭された。
 皐月(サツキ)の刈込みによって、中国の山並みを表現している。このような、唐(中国)をイメージした庭園を「唐様庭園」と呼ぶ。

 

(オッ、いまなら庭に誰もいないぞ!)
 庭に出るところの砂目に、まだ誰の足跡も付いてないのを目ざとく確認した。

 

 ではでは、百花を配したという「百花塢(ひゃっかのう)」とやらのお庭を拝見するとしようかね。独り占めで。

  ― 続く ―


   →「永平寺初参詣(1)」の記事はこちら
   →「永平寺初参詣(2)」の記事はこちら
   →「永平寺初参詣(3)」の記事はこちら


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