経年劣化
2012-03-07 | 雑文
<経年劣化>
「お客さまの時計ですが、バッテリー交換でも基盤の交換では直りません」
「はぁ?」
愛用の電波ソーラー腕時計のチタンベルトが突然切れてしまった。自分でもベルトを詰めて直すことができるのだが、新しいベルトを購入してもいい。
迷ったので引出しに抛りこんでおいたら、ソーラーだからバッテリーもあがってしまった。
量販店に持ち込みベルトを詰めてもらったが、充電しないと時間は合わせられないとのことで、たっぷり陽光で充電してから自分で時刻を調整しようとしたがうまくいかない。
面倒になって、メーカーに持ち込んだ。
なんでもソーラー腕時計のバッテリーにも寿命があって七、八年だそうだ。それなら¥1,050で済む。もしも基盤までイッていると、¥10,500掛かる、という。
お願いします、と修理を頼んで一週間後電話がかかってきたのであった。
「腕時計の廻りに四つのボタン状のものがありますが、それが壊れているのです」
たしかに竜頭のようなボタンが四つあった。
「それで?」
「修理のためにはケースごと交換になるのですが、八年前の型のためそのケースは在庫がございません」
どうにも長いね。「メーカーで直らないということは、どこへ持っていっても直らないということ?」
「そうです」
「・・・・・・」
がっくりする。壊れたのを返してもらってもしょうがないし・・・。ソーラーの腕時計だから一生モンかと思っていた。それにしてもアフターサービスを考えずに売りつけるとはどういう了見だ。
「そこでですが、ご提案がございます」
沈黙に不穏な空気を感じたのだろう、絶妙のタイミングで言う。
なんだ、早く言ってくれよ。「どんな?」
「基盤交換のお値段で、時計ごと交換する、というご提案でございます」
悪い話ではない。「そ、それでお願いします」
豹変も、わたしの持ち味のひとつなのだ。
「できるだけお預かりした時計に近い品物を取寄せますので、また一週間ほどお待ちいただけますでしょうか」
待つ、待つ。「よろしくお願いします」

チタン製がひとランク下のステンレス製に変わってしまったが、止むを得ない。時間をみるたびに携帯をとりだすのもかなわない。
どんなものでも経年劣化は避けられない。
これからはこの時計をしばらく相棒に旅をして、効能豊かな温泉でせいぜい自分の経年劣化をゆるやかにしていこう。
そう、経年に加え酒精の加速で劣化しまくった頭で考えるのであった。
→「ナチュラル・ギフト」の記事はこちら
「お客さまの時計ですが、バッテリー交換でも基盤の交換では直りません」
「はぁ?」
愛用の電波ソーラー腕時計のチタンベルトが突然切れてしまった。自分でもベルトを詰めて直すことができるのだが、新しいベルトを購入してもいい。
迷ったので引出しに抛りこんでおいたら、ソーラーだからバッテリーもあがってしまった。
量販店に持ち込みベルトを詰めてもらったが、充電しないと時間は合わせられないとのことで、たっぷり陽光で充電してから自分で時刻を調整しようとしたがうまくいかない。
面倒になって、メーカーに持ち込んだ。
なんでもソーラー腕時計のバッテリーにも寿命があって七、八年だそうだ。それなら¥1,050で済む。もしも基盤までイッていると、¥10,500掛かる、という。
お願いします、と修理を頼んで一週間後電話がかかってきたのであった。
「腕時計の廻りに四つのボタン状のものがありますが、それが壊れているのです」
たしかに竜頭のようなボタンが四つあった。
「それで?」
「修理のためにはケースごと交換になるのですが、八年前の型のためそのケースは在庫がございません」
どうにも長いね。「メーカーで直らないということは、どこへ持っていっても直らないということ?」
「そうです」
「・・・・・・」
がっくりする。壊れたのを返してもらってもしょうがないし・・・。ソーラーの腕時計だから一生モンかと思っていた。それにしてもアフターサービスを考えずに売りつけるとはどういう了見だ。
「そこでですが、ご提案がございます」
沈黙に不穏な空気を感じたのだろう、絶妙のタイミングで言う。
なんだ、早く言ってくれよ。「どんな?」
「基盤交換のお値段で、時計ごと交換する、というご提案でございます」
悪い話ではない。「そ、それでお願いします」
豹変も、わたしの持ち味のひとつなのだ。
「できるだけお預かりした時計に近い品物を取寄せますので、また一週間ほどお待ちいただけますでしょうか」
待つ、待つ。「よろしくお願いします」

チタン製がひとランク下のステンレス製に変わってしまったが、止むを得ない。時間をみるたびに携帯をとりだすのもかなわない。
どんなものでも経年劣化は避けられない。
これからはこの時計をしばらく相棒に旅をして、効能豊かな温泉でせいぜい自分の経年劣化をゆるやかにしていこう。
そう、経年に加え酒精の加速で劣化しまくった頭で考えるのであった。
→「ナチュラル・ギフト」の記事はこちら
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