温泉クンの旅日記

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高崎駅、たかべんのラーメン

2014-01-22 | 食べある記
  <高崎駅、たかべんのラーメン>

「熱燗と・・・イカフライ定食をください」
 思いがけず、とんとん拍子に高崎駅に到着してしまい、乗り継ぐ予定の新幹線までに三時間弱の間があいてしまった。
 達磨寺いらいの高崎である。時間が充分あるので、ならば定食屋でも探そうと、高崎の街をぶらぶらと散策したのだ。



 高崎駅西口からかなり歩いたところにある中央銀座商店街は、その全長四百メートルのアーケード街で、かつては群馬随一の賑わいだったそうだが、閉館した映画館やシャッターを閉めた店ばかりで人通りもない。「いまは昔」の感は、休日のせいばかりではなさそうだ。



 それでも最近とみに増した嗅覚のせいか、イメージどおりの大衆食堂を商店街のなかほどでばっちりと探し当てたのである。こういう食堂は得難いから、いつまでも元気で営業を続けてほしい。

 群馬の冷たい空っ風に冷えた身体に、熱い酒が沁みわたる。
 熱燗を呑み干す絶妙のころあいに定食が到着したが、すこし呑みたらない。



「すみませんが、ご飯を半分にしてくれますか。それと、にごり酒を一杯追加で」
 イカフライを肴に、濃厚なにごり酒をちびりちびり口に含む。



 あらかた埋まった客たちも、定食前に酎ハイやらビールやらを楽しんでいる。
 残ったイカフライでご飯を食べ終え、駅に戻った。



 群馬県内の交通の要衝となる高崎駅は、高架駅と地上駅で構成されている。
 高架駅のほうは長野新幹線と上越新幹線、地上駅の在来線のほうは高崎線、上越線、信越本線、湘南新宿ライン、八高線、両毛線、吾妻線といっぱいある。

 さきほど、イカフライ定食のご飯を減らしてもらったのは追加した酒のせいだけではない。「たかべん」のラーメンを思いだしてどうしても食べたくなったからだ。
 関東でもよく知られる湘南新宿ラインが発着する二、四番線ホームに目指す店がある。





 旅先の駅の立ち食い蕎麦で押すのは伊東駅の「祇園」だが、立ち食いラーメンではこの高崎駅の「たかべん」である。「たかべん」とは高崎弁当という会社名の略称である。
 伊東の祇園は「いなり寿し」、高崎のたかべんは「だるま弁当」と、ともに有名な駅弁の老舗であるところが共通している。



 豊富なメニューで目移りがするが、迷わずラーメンを注文した。チケットを買うシステムではなく、懐かしい、いつもニコニコ現金払いである。

 ここのラーメン、食べて決して損はない。
 というより、これが立ち食い蕎麦屋のラーメンかと仰天するほど美味しいのである。へたな繁盛屋台ラーメン顔負けの味なのだ。



 具はチャーシュー、なると、シナチク、多めに盛られた刻みねぎとシンプルだが過不足はない。
 スープも透き通ったなかなかの上もので、本業である駅弁の「鶏めし弁当」や「だるま弁当」などの製造過程で余ったり残ったりする、たっぷり多種類野菜片とか鶏ガラをベースにしているというのもなるほどと合点する。
 麺は生麺からの茹で上げなので多少の時間を要する。だから嬉しいことに腰がある。
 食べ終わってみて、西の、たとえば九州方面に旅をして戻ったら一番に食べたくなる、いわゆる東京ラーメンにかなり近い。

 あまり腹がへっていなくても軽く食べきれるラーメンであり、食べ終わると猛然と食欲に火がつく不思議なラーメンである。
 凍えるような寒い日、吹きっさらしのホームでこの熱いのを啜ると、きっと生き返る心地がするだろう。

 高崎駅で乗り換え時間にゆとりがあったら、騙されたと思って試されるといい。なあに、出費は四百円也である。
 駅の改札口を出てしまったのなら、わざわざまたホームに行かなくてもだいじょうぶ、隣接するゼロ番線、上信電鉄駅の入り口にも立派な店がある。



 高崎駅のラーメン、伊東駅の蕎麦、両方ともわたしには<必食>の逸品なのである。


  →「伊東のいなり寿司」の記事はこちら
  →「クロサワと達磨寺」の記事はこちら

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