温泉クンの旅日記

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硫黄山の温泉蒸したまご

2019-12-15 | ぶらり・フォト・エッセイ
  <硫黄山の温泉蒸したまご>

 摩周湖第一展望台から、うねうねの坂道を一気に降り切ると摩周国道に出た。
 右折して国道を走り出してすぐの信号を右に入ると、すぐに眼に飛び込んでくる。

 

(おっ、あれだ!)
 突き当りで車を止める。

 

 釧網本線の「川湯温泉駅」である。
「撮り鉄」ならではの寄り道で、もちろん撮る駅舎は縁のあった駅だけに限る。つまり、ぐにゃぐにゃの筋金入り「鉄っちゃん」ということ。

 川湯温泉駅と硫黄山は眼と鼻の先の距離で、駐車場が近づくと硫黄の力強い匂いが車窓から入ってきた。思わずニンマリする。温泉好きにはこたえられない香しい匂いである。
 摩周湖で払った500円の共通駐車券でこちらの硫黄山駐車場も利用できる。

 

 摩周湖第一展望台が550メートル、硫黄山(アトサヌプリ)の標高は512メートルであるからほぼ同じくらい。
 山のあちこちにある噴気孔から噴煙があがっている。

 

 落石の危険性があるので立入は禁止である。

 

 砂礫の地帯を進んでいくと噴気孔の近くまで行ける。ロープが張られているところが安全区域だ。
 地球の息吹のように断続的にあがる噴煙でわかるように、まぎれもなくいま活きている火山である。

 

 硫黄の黄色い結晶の塊があちこち見られて、噴気があがっている。噴気孔近くからはお湯が湧き出ている。
 三キロ先にある川湯温泉の源でもある。
 アトサヌプリとは、アイヌ語で「裸の山」を意味し溶岩や硫黄で覆われた山のことである。

 

 屈斜路湖カルデラの活火山であるので、防災のために地震計や空振計で監視観測されている。

 

 

 アイヌの人たちが硫黄を焚きつけに使っていたことから、鉱山資源である硫黄の採掘が始まった。
 明治のころは硫黄鉱山もあり、採掘された豊富な硫黄はマッチや火薬の原料となった。鉄道を敷設させるほど採掘で栄えたが、なんとその鉄道による大量輸送が仇となり資源が枯渇、1970年に閉山された。

 

 硫黄成分のため周辺の土壌は酸性化していて、丈の低いハイマツとイソツツジしか生えていない。イソツツジが咲く六月がベストシーズンだそうだ。
 駐車場脇にある広いレストハウスに入ってみると、地熱を利用した温泉蒸したまごの売り場に行列があった。

 

 地熱で茹でると旨み成分が二割方高くなるという。好物となった箱根大涌谷の「黒たまご」の例もある。よし、食べてみよう。
 食べるためのテーブル席がいくつもあり、そのすべての卓上に塩の瓶とガムテープと、<たまごの手軽なむき方>が写真付きで書かれた指南書みたいなのも載っている。

 持てないくらい熱々の温泉蒸したまごに、ガムテープをぐるぐる巻きつけてから、テーブルに満遍なくぶつけるようにガツガツ叩く。ガムテープを外すときれいに殻が剥ける。

 

 硫黄山の温泉蒸したまご・・・箱根の火山ガスとは量も成分が違うのだろう外見も黒くないし、中味もどっからどう見てもふつうの茹で玉子である。

 

 だけど、これがまあ、ドエラク旨かった。
 間違いなく黒たまごと甲乙付けがたい旨さだ。晴れた摩周湖に再訪するときこちらにも寄り、また食べてしまったくらい、とにかくウマかったのである。
 この温泉蒸したまご、阿波踊り風でいうと、同じ阿呆なら食べにゃあソンソン。一個百円、騙されたと思って食べてみて。



  →「摩周ブルー、そんでもってカットメロン」の記事はこちら


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