<焼鳥屋の絶品ランチ>
懐かしい・・・。
丸の内の、正式名称「国際ビルヂング」である。
延べ床面積が二万三千坪を超え地上九階であるが、床面積の広さだけでなく地下が六階もあるので地震にも強いどっしりとしたオフィスビルである。
皇居側に帝国劇場があるところから、国際ビルより「帝劇ビル」のほうがわかりやすい。
JR有楽町駅からでも徒歩二、三分で、雨であれば地下道を使って濡れずに行ける。
このビルのなかのオフィスで十年近く働いた。いまはもう無いが、この立派なビルのなかに、なんと立ち食いそば「梅もと」が入っていたころだ。
地の利がいいので、銀座四丁目ぐらいまで昼食を食べにいったものだ。
もちろん、このビルのなかにも名店がたくさんあってしょっちゅう利用した。最近ではあの人気のタニタ食堂も入っている。地下一階の東京會舘のレストランも、マカロニサラダとトーストが定番のモーニングだった喫茶店ジャパンも、いまはない。
だが、老舗はいくつか健在であった。
「伊勢廣」の帝劇店。
そんじょそこいらの焼鳥屋とは違う。大正十年(1921年)創業というから、実に九十年を超えた老舗の焼鳥屋である。
ここのランチには驚く。
(昼食に、焼鳥かよ!)
最初、同僚に連れてきてもらったときそう思ったのがひどく懐かしい。
自分で言うのもなんだが、焼鳥については基準が高い。不味い焼鳥は食べられない。味だけではなくネタの大きさや焼き具合にもこだわりがあるのだ。
だから焼鳥嫌いだと思われているようだが、あえて「本当は違うのだ」とは言わない。それほど美味しい焼鳥屋は少ない。
鰻職人の世界で、一人前になるには「串打ち三年、裂き八年、焼き一生」といわれるが、同じ炭火を使う焼鳥職人の世界も「焼き一生」ではないだろうか。
ただ、旨くて安い焼鳥屋でも客を客と思わないような、客あしらいに問題のある店はちょっと困るが。
さて、ここの店は自信を持って薦めることができる。行列しても食べる価値あり。ただし夜は相当に高いので、ランチが手ごろである。気に入ったら、万札持って夜にくればいい。なにしろこの伊勢廣、焼鳥は毎朝すべて手練の職人が仕込みその日に使い切る潔い店なのだ。
人気のランチは、焼鳥重とそぼろ重で、どちらを選んでもスープとお新香が付く。
いずれも千円ぴったりの値段だ。高いようで高くない。食べてみれば間違いなくわかる。月一回とか半年に一回なら安いものだ。隣の東京會館のコーヒー代と変わらない。
まずは、そぼろ重。
ささみとももの串をとったものが横に載っている。わたしの基準よりすこし大きいがとにかく旨いので許容範囲なのだ。
この、ももが見た目どおり絶品である。甘みを抑えた絶妙のタレにくぐらせてある。間に挟まる、千住葱もかなり上等なものだ。築地の料亭用といわれる、ししとうもさすがの味だ。
(うぅ・・・なんなんだ、この旨さは!)
紀州姥目樫(うばめがし)備長炭を使った焼き具合がたまらない。そぼろご飯にもよく合って箸がどんどんすすむ。
ささみも、この店手作りの塩で軽く焼いて、芸術的な「半レア」状態にわさびがのって美味しい。
注文のときに焼鳥の追加が気軽にでき、一本が三百円である。
こちらが、一番人気の焼鳥重である。
団子、もも、すなぎもの三本がのる。
団子は塩焼き。つなぎを使わず、ひき肉を麻の実を加えたものでこれを追加するひとがかなり多い。この日午後一時には昼の分の串がなくなってしまった。
砂肝は塩焼きで、コリコリとした食感で滋味深い味だ。
こちらのお重も、ご飯に秘伝のタレが少量かかっていてぱくぱく進むのだ。
上記のふたつとも食べるために、なんと二週連続で午後から休暇をとってしまった。
それでも、まったく後悔しない大満足の昼食であったのである。
→「適応」の記事はこちら
→「八方美人なカレー」の記事はこちら
懐かしい・・・。
丸の内の、正式名称「国際ビルヂング」である。
延べ床面積が二万三千坪を超え地上九階であるが、床面積の広さだけでなく地下が六階もあるので地震にも強いどっしりとしたオフィスビルである。
皇居側に帝国劇場があるところから、国際ビルより「帝劇ビル」のほうがわかりやすい。
JR有楽町駅からでも徒歩二、三分で、雨であれば地下道を使って濡れずに行ける。
このビルのなかのオフィスで十年近く働いた。いまはもう無いが、この立派なビルのなかに、なんと立ち食いそば「梅もと」が入っていたころだ。
地の利がいいので、銀座四丁目ぐらいまで昼食を食べにいったものだ。
もちろん、このビルのなかにも名店がたくさんあってしょっちゅう利用した。最近ではあの人気のタニタ食堂も入っている。地下一階の東京會舘のレストランも、マカロニサラダとトーストが定番のモーニングだった喫茶店ジャパンも、いまはない。
だが、老舗はいくつか健在であった。
「伊勢廣」の帝劇店。
そんじょそこいらの焼鳥屋とは違う。大正十年(1921年)創業というから、実に九十年を超えた老舗の焼鳥屋である。
ここのランチには驚く。
(昼食に、焼鳥かよ!)
最初、同僚に連れてきてもらったときそう思ったのがひどく懐かしい。
自分で言うのもなんだが、焼鳥については基準が高い。不味い焼鳥は食べられない。味だけではなくネタの大きさや焼き具合にもこだわりがあるのだ。
だから焼鳥嫌いだと思われているようだが、あえて「本当は違うのだ」とは言わない。それほど美味しい焼鳥屋は少ない。
鰻職人の世界で、一人前になるには「串打ち三年、裂き八年、焼き一生」といわれるが、同じ炭火を使う焼鳥職人の世界も「焼き一生」ではないだろうか。
ただ、旨くて安い焼鳥屋でも客を客と思わないような、客あしらいに問題のある店はちょっと困るが。
さて、ここの店は自信を持って薦めることができる。行列しても食べる価値あり。ただし夜は相当に高いので、ランチが手ごろである。気に入ったら、万札持って夜にくればいい。なにしろこの伊勢廣、焼鳥は毎朝すべて手練の職人が仕込みその日に使い切る潔い店なのだ。
人気のランチは、焼鳥重とそぼろ重で、どちらを選んでもスープとお新香が付く。
いずれも千円ぴったりの値段だ。高いようで高くない。食べてみれば間違いなくわかる。月一回とか半年に一回なら安いものだ。隣の東京會館のコーヒー代と変わらない。
まずは、そぼろ重。
ささみとももの串をとったものが横に載っている。わたしの基準よりすこし大きいがとにかく旨いので許容範囲なのだ。
この、ももが見た目どおり絶品である。甘みを抑えた絶妙のタレにくぐらせてある。間に挟まる、千住葱もかなり上等なものだ。築地の料亭用といわれる、ししとうもさすがの味だ。
(うぅ・・・なんなんだ、この旨さは!)
紀州姥目樫(うばめがし)備長炭を使った焼き具合がたまらない。そぼろご飯にもよく合って箸がどんどんすすむ。
ささみも、この店手作りの塩で軽く焼いて、芸術的な「半レア」状態にわさびがのって美味しい。
注文のときに焼鳥の追加が気軽にでき、一本が三百円である。
こちらが、一番人気の焼鳥重である。
団子、もも、すなぎもの三本がのる。
団子は塩焼き。つなぎを使わず、ひき肉を麻の実を加えたものでこれを追加するひとがかなり多い。この日午後一時には昼の分の串がなくなってしまった。
砂肝は塩焼きで、コリコリとした食感で滋味深い味だ。
こちらのお重も、ご飯に秘伝のタレが少量かかっていてぱくぱく進むのだ。
上記のふたつとも食べるために、なんと二週連続で午後から休暇をとってしまった。
それでも、まったく後悔しない大満足の昼食であったのである。
→「適応」の記事はこちら
→「八方美人なカレー」の記事はこちら
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます