温泉クンの旅日記

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那須の宿(1)

2010-08-29 | 旅エッセイ
  <那須の宿(1)>

(どこで曲がればいいんだろう・・・)

 那須の南が丘牧場のそばの真っ暗な道を走っているのだが、宿への曲がり道がわからないうちに、何度か泊まっている宿の前に出てしまった。
 今日の宿はここではない。行きすぎてしまったようだ。

 灯りのない真っ暗な宿のエントランスに車をバックでいれて方向転換しようとして、ライトに浮かび上がった看板に目をとめた。
 そこには企業の名前と、保養所の文字があった。
 宿だった施設を企業に売ったか、買収されたようだ。

 すこし戻って、最初の角を森のほうに入っていった。
 闇をヘッドライトが切り裂いていくが、目を凝らしても建物らしいものは見えない。登り坂になっていて、ヘッドライトの光のほとんどが魑魅魍魎のいそうな森を照らしている。
 道が違ったかな。
 あと、すこしだけいって宿である建物の灯りがなければ、戻って次の角を試そう。
 そう思っていると、右側に宿らしい灯りの群れがみえてきた。





 チェックインをして渡された鍵をもらって、二階にあがったが部屋がみつからない。 二階の他の部屋の大部分は、寝静まっているようだ。
 一周してようやくみつけた部屋は、もと小宴会に使っていたようなところであった。
 入ってみると、広い部屋である。
 トイレは部屋にはなく隣の共同のを使うようだが、それはまあよしとする。

 浴衣に早変わりすると、さっそく温泉に向かう。
 鹿の湯に似た、白濁の混合温泉だ。硫黄の匂いと硫化水素臭が混じり合っていて、香りが強い。換気は配慮されている大浴場だ。



 いい温泉である。
 温泉がいいと、身体も心も、みごとにほどけていって、得もいわれぬ境地にいたる。
 なにも考えずに、このひとときはお湯まかせってやつだ。

 部屋にもどると、酒の前に途中のコンビニで買ってきた、話題のレモン牛乳を試してみることにした。



 あ、甘い。うへぇー。
 子ども好みの甘さ、といったら子どもに怒られるか。飲み慣れれば抵抗がなくなるのだろうが、酒呑みのわたしには無理だった。

 お茶の苦みで口直ししてから、芋焼酎の水割りを飲み始めることにした。


  ― 続く ―


  →「鹿の湯」の記事はこちら
 
  →「那須から袋田の滝へ」の記事はこちら

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