<伊賀の里、赤目温泉(1)>
赤目温泉は近鉄「赤目口駅」から二キロちょっと、車で五分くらいのところにある、宿泊施設がたった二軒しかない鄙びた温泉である。バスは一日数本しかないし、歩けば三十分ほどかかる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/39/6433ddd171f01d09ff0719cbab5298e7.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/91/9dffb643ae269dfa07f13118308bae2d.jpg)
赤目四十八滝に続く国道から左に折れて、薄暗い林のなかに伸びる道の奥にあるのがわたしの今宵の宿「湯元赤目 山水園」だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/8f/5a03db36735c115156f66f6d7969b6aa.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/71/725dcbc9467f6d789f9a3a8a99be284c.jpg)
チェックインをすませると、外階段をヨイショヨイショハアハアと息弾ませて昇る年配の仲居に続いて、客室のある棟に向かう。仲居はきっと朝から既に何往復もしているのかもしれない。この宿では客室棟、温泉棟は離れ形式となっている。
案内された棟の狭いシングルベッドの客室で、一瞬で浴衣に早着替えして温泉棟に急ぐ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/62/fb406d7629203984f121cea940e48c46.jpg)
男湯入口に先客の履物はなかったので、どうやら内湯も露天も独り占めできそうだ。
まずは内湯である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/45/69/03fa8ae8d952bc28c7f8881335caa9d5.jpg)
念いりに掛け湯をして、目立たないがジャグジー仕様になっている浴槽に滑りこむ。経験からいうと、ジャグジーでいい温泉だったことは一度もないのだ。
内湯であるが浴室、天井を含めて、雰囲気だけはなかなかいい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/5b/187f104684dbbbd72dbfa4f4b228bad3.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/df/9e1ef8d620f161a045d2c0f09acc65de.jpg)
続いて、露天風呂に続く扉を開けて石段を降りていく。
(おっ、こちらもなかなかの雰囲気が出ている露天じゃないか!)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/60/d6bc534ed5f96512bcf4d83774610ad3.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/4d/86a0c16ad5463008a1970db807d3e1b0.jpg)
軽く掛け湯をして、ざばりとばかり身を沈めた。
うーむ、内湯と同じく露天のほうも“湯”がどうもいまひとつ物足らない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/d2/afed5cc8f60ab7952328202a1a686089.jpg)
赤目温泉は無色透明だが、“近畿随一”の天然ラドン含有率を誇る単純弱放射能鉱泉が売りである。
ラジウム温泉で有名なところといえば、北海道・長万部の二股ラジウム温泉、新潟の村杉温泉、山梨の増富ラジウム温泉とかがあるが、やはり高濃度のラドンを含む“世界屈指のラジウム温泉”である鳥取の<三朝温泉>がわたしは一番だと思う。
三朝温泉の湯について、前にわたしは「三朝温泉(2)」でこう書いた。
『三朝温泉・・・この温泉で三度朝を迎えれば病はすべて治るという。
三朝温泉は、切れ味が凄まじい、いわくつきの妖刀に似ている。
その一見どうみてもありふれて見えるお湯は、よくよく見ると、表面から底まで刀紋のように妖しくぎらついていて、沈めた身体のあらゆる肌の面から瞬時に細胞の奥深く浸透していくのを、たしかに感じるのだ。
立ち昇る妖気のような温泉成分は鼻や口から容赦なく侵入してきて、荒れたり微妙に狂い始めた器官を正常に戻すべく容赦なく刺激する。
たった五分しかはいらないのに、代謝機能がドンと蹴飛ばされたように、点火されあらがいきれず燃焼し、すぐに驚くほど発汗する。』
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/b1/ceec75be869198bfd522179e92bb2779.jpg)
木枯し吹きすさぶ夜、薪ストーブとか焚火の顔が火照るほど力強い熱が欲しいのに、ぺらぺらの薄い毛布たった一枚にくるまるしかないような”たよりなさ”をこの温泉には感じてしまう。
「やっぱり、あの三朝温泉と比べるのはあまりに酷かなあ・・・」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/e6/b6196fe5bf8bd4cbb4753c0306597183.jpg)
出たところにある喫煙所で一服しながら、呟いてしまった。
温泉にそこまで拘らず、温泉旅の雰囲気をただただ味わいたいという旅人たちであればきっと満足することだろう。
― 続く ―
→「三朝温泉(1)」の記事はこちら
→「三朝温泉(2)」の記事はこちら
→「続・三朝温泉(1)」の記事はこちら
→「続・三朝温泉(2)」の記事はこちら
赤目温泉は近鉄「赤目口駅」から二キロちょっと、車で五分くらいのところにある、宿泊施設がたった二軒しかない鄙びた温泉である。バスは一日数本しかないし、歩けば三十分ほどかかる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/39/6433ddd171f01d09ff0719cbab5298e7.jpg)
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赤目四十八滝に続く国道から左に折れて、薄暗い林のなかに伸びる道の奥にあるのがわたしの今宵の宿「湯元赤目 山水園」だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/8f/5a03db36735c115156f66f6d7969b6aa.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/71/725dcbc9467f6d789f9a3a8a99be284c.jpg)
チェックインをすませると、外階段をヨイショヨイショハアハアと息弾ませて昇る年配の仲居に続いて、客室のある棟に向かう。仲居はきっと朝から既に何往復もしているのかもしれない。この宿では客室棟、温泉棟は離れ形式となっている。
案内された棟の狭いシングルベッドの客室で、一瞬で浴衣に早着替えして温泉棟に急ぐ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/62/fb406d7629203984f121cea940e48c46.jpg)
男湯入口に先客の履物はなかったので、どうやら内湯も露天も独り占めできそうだ。
まずは内湯である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/45/69/03fa8ae8d952bc28c7f8881335caa9d5.jpg)
念いりに掛け湯をして、目立たないがジャグジー仕様になっている浴槽に滑りこむ。経験からいうと、ジャグジーでいい温泉だったことは一度もないのだ。
内湯であるが浴室、天井を含めて、雰囲気だけはなかなかいい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/5b/187f104684dbbbd72dbfa4f4b228bad3.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/df/9e1ef8d620f161a045d2c0f09acc65de.jpg)
続いて、露天風呂に続く扉を開けて石段を降りていく。
(おっ、こちらもなかなかの雰囲気が出ている露天じゃないか!)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/60/d6bc534ed5f96512bcf4d83774610ad3.jpg)
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軽く掛け湯をして、ざばりとばかり身を沈めた。
うーむ、内湯と同じく露天のほうも“湯”がどうもいまひとつ物足らない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/d2/afed5cc8f60ab7952328202a1a686089.jpg)
赤目温泉は無色透明だが、“近畿随一”の天然ラドン含有率を誇る単純弱放射能鉱泉が売りである。
ラジウム温泉で有名なところといえば、北海道・長万部の二股ラジウム温泉、新潟の村杉温泉、山梨の増富ラジウム温泉とかがあるが、やはり高濃度のラドンを含む“世界屈指のラジウム温泉”である鳥取の<三朝温泉>がわたしは一番だと思う。
三朝温泉の湯について、前にわたしは「三朝温泉(2)」でこう書いた。
『三朝温泉・・・この温泉で三度朝を迎えれば病はすべて治るという。
三朝温泉は、切れ味が凄まじい、いわくつきの妖刀に似ている。
その一見どうみてもありふれて見えるお湯は、よくよく見ると、表面から底まで刀紋のように妖しくぎらついていて、沈めた身体のあらゆる肌の面から瞬時に細胞の奥深く浸透していくのを、たしかに感じるのだ。
立ち昇る妖気のような温泉成分は鼻や口から容赦なく侵入してきて、荒れたり微妙に狂い始めた器官を正常に戻すべく容赦なく刺激する。
たった五分しかはいらないのに、代謝機能がドンと蹴飛ばされたように、点火されあらがいきれず燃焼し、すぐに驚くほど発汗する。』
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/b1/ceec75be869198bfd522179e92bb2779.jpg)
木枯し吹きすさぶ夜、薪ストーブとか焚火の顔が火照るほど力強い熱が欲しいのに、ぺらぺらの薄い毛布たった一枚にくるまるしかないような”たよりなさ”をこの温泉には感じてしまう。
「やっぱり、あの三朝温泉と比べるのはあまりに酷かなあ・・・」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/e6/b6196fe5bf8bd4cbb4753c0306597183.jpg)
出たところにある喫煙所で一服しながら、呟いてしまった。
温泉にそこまで拘らず、温泉旅の雰囲気をただただ味わいたいという旅人たちであればきっと満足することだろう。
― 続く ―
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→「三朝温泉(2)」の記事はこちら
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→「続・三朝温泉(2)」の記事はこちら
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