温泉クンの旅日記

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読んだ本 2012年2月

2012-02-29 | 雑読録
  <読んだ本 2012年2月>

 いよいよ今年の五月二十二日に東京スカイツリーが開業する。
 展望料金が、思うにかなりな高額にもかかわらず予約が殺到しているそうだ。人はよほど高いところが好きなんだなと思う。
 
 去年、わたしが撮った出来の悪いスカイツリーの写真もいまのうちに掲載しておこうと思う。



 川面に映った、逆さツリー。



 頸椎の悪いわたしにはとんでもなく苦痛の、見上げるショット。



 大阪の人は並ぶのが嫌いだそうだ。食事なども並ばない店を選ぶという。高くて不味ければその店はすぐに潰れてしまう土地柄だからこそできるのだと思う。
 わたしも性格的にはかなり「大阪」が入っている。
 ブームが一段落して並ばなくなったら、一遍スカイツリーに登ってみたい。

 さて、読んだ本ですが、2月はなかなか順調で8冊、今年の累積で14冊です。

 1.○鬼平犯科帳3           池波正太郎 文春文庫
 2.○運命の人3            山崎豊子 文芸春秋
 3. ○運命の人4            山崎豊子 文芸春秋
 4. ○アンフェアな月          秦建日子 河出文庫
 5. ○鬼平犯科帳2           池波正太郎 文春文庫
 6. ○私闘なり、仇討ちにあらず     佐藤雅美 文芸春秋
 7. ○明日泥棒             小松左京 ハルキ文庫
 6. ◎1Q84 BOOK3       村上春樹 新潮社


 山崎豊子の乾いた文体は、どちらかというと男っぽく、松本清張のそれによく似ている・・・わたしだけが持つ印象かもしれない。もちろん、どちらの作家も好みである。
「運命の人」を読み始めたとたん、テレビドラマがスタートしてしまったので図書館に予約が殺到して一気に読みきれなかった。
 第四巻目は沖縄が舞台となり、悲壮な生々しい戦争体験談やら米兵がからむ凶悪事件を書いたところが随所にあって、一巻から三巻までのように読み飛ばせなかった。



 去年の六月に図書館に予約した「1Q84」第三巻がやっと届いた。だから筋を思いだすのに苦労する。
 そのなかに「時間」について面白い考察があった。
 天吾とふかえりの会話の一部。

  『・・・略・・・「人間は時間を直線として捉える。長いまっすぐな棒に刻み目を
   つけるみたいにね。こっちが前の未来で、こっちが後ろの過去で、今はこの
   ポイントにいる、みたいに。それはわかる?」
   「たぶん」
   「でも実際には時間は直線じゃない。どんなかっこうもしていない。それは
    あらゆる意味においてかたちを持たないものだ。でも僕らはかたちのないもの
    を頭に思い浮かべられないから、便宜的にそれを直線として認識する。
    そういう観念の置き換えができるのは、今のところ人間だけだ」
   「でもわたしたちのほうがまちがっているのかもしれない」・・・略・・・』




「私闘なり、仇討ちにあらず」は、八州廻り桑山十兵衛のシリーズ。
「鬼平犯科帳」を二十四巻目から逆読みしているわたしなので、この本に鬼平がでてきたところで眼が釘付けになってしまった。
 ちょっと長いが・・・。

  『・・・略・・・幕府のいわゆる警察組織は三あった。町奉行配下の町方廻り方、
   勘定奉行配下の十兵衛ら八州廻り、若年寄配下の火盗改である。
    そのうち、町方廻り方と八州廻りの縄張りはきっちり区分されていた。
   町方廻り方は御府内、八州廻りは御府内をのぞく関八州と。両者が縄張りで
   揉めることはなかった。

    いま一つの火盗改には縄張りがなかった。ために、おなじ事件を追ったりする
   ということがよくあり、町方廻り方や八州廻りとしょっちゅう悶着を起こした
   のだが、それには無理からぬ事情もあった。

    加役といった火盗改には先手頭が任ぜられた。役高は千五百石。一石はイコール
   一俵。千五百石は千五百俵。
    役料が四十人扶持に役扶持が二十人扶持。合計六十人扶持。一人扶持は五俵
   換算。こちらは三百俵。しめて千八百俵。

    百俵は換金するとおよそ四十両くらいになる。大ざっぱにいって、そっくり
   換金するとおよそ七百二十両。

    南北両町奉行の役高は三千石。奉行所を維持する経費は別途支給される。
   加役はというと、およそ七百二十両で所帯費をふくめ火盗改としてかかる費用の
   一切を賄わねばならなかった。

    いくらなんでもこれはきつい。恒常的に赤字になるのは決まりきったことで、
   任務の遂行には誰もが悲鳴をあげた。加役になるとたいがいの者は身上を
   すりへらした。
    上が上なら下も下で、下に仕える与力や同心もまた家計に苦しんだ。・・・

   ・・・長谷川平蔵が火盗改として実績を挙げた時代とはずいぶん様変わりして
   いた。ちなみに長谷川平蔵は銭相場を操って儲けるなど利勘の術に長けており、
   それなりに金廻りがよかった。組下の者にややこしいことをさせないで存分に
   働かせることができた。・・・略・・・』



 平蔵長官を除いて、火盗改の内証は苦しかったようである。

  →「読んだ本 2012年1月」の記事はこちら

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