温泉クンの旅日記

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たまの熱海で旅気分(2)

2016-02-21 | 温泉エッセイ
  <たまの熱海で旅気分(2)>

 熱海の街をしこたまぶらついて、二時半過ぎに宿に向かった。



 一歩中に入って、「あれっ?」と思う。雑然としていたフロント周りがいやにすっきりしている。
「なんかさぁーここら辺、凄いキレイになったんじゃない?」
 率直な感想をフロントにいる娘さん(たぶん)に言うと、
「お風呂のほうもだいぶキレイに変わっていますので、驚きますよ」

 ふーん、そうなんだ。この宿だが「ホテル アイオラ」だったのが最近「ホテル 夢いろは」と名前を変えて平日で千円ちょっと、休前日で二千円ほど値上げしてしまったので、はてなと思っていたのだ。
 鍵を受取ってエレベーターに乗り、部屋にいく廊下も真新しく、部屋にもトイレ設備を加えたようだ。値上げの理由はどうやらかなりの大掛かりなリニューアルをしたからのようである。たしか前はトイレ付きの部屋は数少なかったのだ。

 さて、部屋で浴衣に着替えるとさっそく大浴場に急ぐ。正規のチェックインタイムの三時前にフライングしたのは、無人の浴場の画像を撮りたいからである。
 スリッパがないので、しめしめ先客はいない。
 前回の「アイオラ」のときまではたしかガラーンとした浴室の真ん中に浴槽の大きいのがポツンとひとつだけの殺風景な浴場だった・・・な。



(おぉー、見事にリニューアルされているぞ!)





 湯気がたちこめた先にある浴槽は大小の二つに変わっている。
 熱海温泉は「循環濾過クルクル系の温泉」の宿が、団体客が激減した今でも案外多いのだが、ここはありがたい源泉掛け流しである。
 宿の敷地である中庭には、源泉「青山湯」の噴き出し口もあり、温泉蒸しの料理も可能なのである。



 大きめの浴槽は熱いが入りやすい四十一、二度くらいの湯だ。





 小さいほうは四十三、四度くらいのきりっと熱めの湯である。



 掛け湯をして温めのほうに身体を沈めじっくり湯に慣らしてから、熱めに移動する。



 熱海温泉といえば起源も千五百年前といわれるくらい古く、あの神君家康公が湯治して以来、徳川家ゆかりがある温泉で将軍に倣って全国の大名たちもこぞって訪れた。
 三代家光だか四代家綱だかのときには「御汲湯」といって檜樽で江戸城に運ばせた、その後歴代の徳川将軍に継承されて、八代吉宗にいたっては八年で三千六百余りの湯樽を海路で献上させた。なんとなんと吉宗は草津からも献上させていたというからかなりの温泉好きだったのかもしれない。なお、この献上儀式は形を変え「湯汲道中」として毎年十月に催されているそうだ。

 江戸期から栄華が続いた熱海温泉も、個人客と家族客より手っ取り早く儲かる団体客ばかりを最優先した結果として長く寂れきったのだが、ここ数年少しずつ宿泊客数が増加しているらしい。
 熱海に限らずだがどこの温泉地もリピーター客を増やすには、地域全体のきめ細やかな誠意と地道な努力の積み重ねしかない。

 脱衣所で髭そりが籠に用意されているのをみて、この宿もいろいろ本気出しているなと感じる。ただし、できればだが休前日でも、全国区の温泉通としてはもう気持ち宿賃安くならんかと思う。


  ― 続く ―


   →「たまの熱海で旅気分(1)」の記事はこちら
   →「熱海、伊豆山温泉」の記事はこちら
   →「熱海温泉」の記事はこちら


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