・・・今、読んでいる日本古代史の本のなかで、面白いと思えた本の一つは「日本神話の考古学」、森浩一著、朝日文庫である。
読んで面白かった内容は、幾つか在るが、その一つに記紀記載の「大八洲国」についての記述がある。 我々、世代は馴染みがないが、戦前はよく使われた言葉である。 記紀に書かれた神話によればイザナキとイザナミのニ神の子供として、日本の国は出来たのであるが、記紀が書かれた700年代初期当時の認識の大八洲国とは、①淡路島、②奈良、③伊予(四国)、④筑紫(九州北部)、⑤隠岐の島と佐渡が島、⑥越の国(北陸)、⑦周防大島、⑧吉備児島の8つの島が日本書紀に書かれている大八洲国の内訳である。 その後に、追加で対馬島と壱岐島が作られたとある。
「今の地図に、大八洲国を当てはめた地図」
古代に栄えた出雲や吉備は触れられてなく、主として瀬戸内海の島々が大八洲国に数えられている。 越の国が入っているのは当時知られていたの天皇家の近い祖先と考えていた継体天皇の出身地だからではないかと云われている。
記紀の国生み神話では、生まれてきた大八洲とは、農耕地の広がる平野でなく、奈良の事である豊秋津洲は別として、海上の拠点となる島を、主要な国に挙げているのは当時の海上交通がいかに大事だったことを示している思う。