夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

改装完了 斑猫 中村岳陵筆 昭和5年頃

2020-07-09 00:01:00 | 掛け軸
陶磁器の作品は屋根裏部屋(3階部分)に収納していますが、心配なのが数が多くなるにつれての過重オーバー・・・

しかも作品を探し出す時に天井高さが低く頭がつかえるので中腰にならざるえず腰に負担がかかるため、そこで新たに陶磁器を収納する棚を渡り廊下に作ろうとしています。



今年は2階の収納室の棚を増設したのですが、そこには漆器と掛け軸、木彫、刀剣であっという間に満杯になりました。郷里の男の隠れ家にも運び込んでいますが、さすがに郷里は遠く、調べたい時にすぐに現物が見れないという不都合があります。



そこで渡り廊下が多少狭くなっても致し方ないのですが、片側に収納棚を作ることにしました。もともと展示室を作る時から構想にあったのですが、歪な形を利用して作ることから予算の関係もあり、取りやめていた棚です。

男の隠れ家にも増築や改装の計画がありますが、まずは手元にあるところが便利という理由でにの収納スペースの増設です。天板の木目のきれいな?板を少しずつ集めていましたので、なんとか利用したいと大工さんと打ち合わせ中です。窓も本来は設計段階では木目調のロールブラインドの予定でしたが、これ近々・・・。

骨董蒐集はこういうことも必要で、それもまたまた楽しからずや・・・。

さて、本日は額装にした作品や掛け軸の作品を染み抜きして改装した作品の紹介です。

額装のない作品に額を誂えるのも蒐集の愉しみのひとつです。本日は版画の作品に額を誂えたものを紹介します。作品自体は最近本ブログで紹介された作品ですが、額はコロナ禍で額屋さんの対応が遅れて投稿に紹介が間に合いませんでした。



浮世絵版画は無論のこと、版画は長時間の展示はいけません。よって飾る時間は短い方がよく、長く飾ると変色しマットの跡ができたりします。

版画作品をすべてを額装にするのは費用がかかる場合は、作品とマットまでしておいて、額は同じものを転用し、マットごと作品を飾る、つまり作品はマットごとにて保存しておくというやり方もあります。これは版画のサイズが規格性があることから有効です。額装に際してはマットと面金などの取り合わせ、そして額によって作品が綺麗に蘇ります。

保存だけなら浮世絵、版画は作品の裏打ちはせず、机に仕舞ったままが一番です。ただそれでは面白くない、取り出す際にも痛みやすいものです。



さて次は掛け軸の染み抜+改装した作品の紹介です。

当方は資金が少ないので、掛け軸は廉価で購入することから、入手する作品には「訳あり」の作品が多いです。たとえば一番多いのが「状態の悪い作品」です。「シミがある」、「折れシワがある」、「軸先が片方、もしくは両方ない」、「箱がない、共箱の誂えがない」など・・。むろん真贋怪しきものもあるのですが、基本的に資料として以外は真贋を慎重に判断して入手しています。

本日は「シミがある(ひどい)」という作品を染み抜きして改装した作品の紹介です。箱は子息の中村渓男による鑑定箱二重箱に収めらえていました。

改装前の表具の状態は下記の写真です。本作品は2017年10月の本ブログに、この状態で紹介されています。



シミの発生状況は下記のような状態です。湿気の多いところに長期間飾ったり、湿気を乾かさないまま保管したり、押し入れなどの湿気の多い場所に保管してたり、保管箱のないままであったりするとこのようになります。日本画は膠が悪さする場合もあるようです。

掛け軸は外気に直接触れるので、シミは宿命的なものでもあります。



改装した状況を本日は紹介します。

斑猫 中村岳陵筆 昭和5年頃
紙本水墨画帳外し軸装 軸先象牙 子息中村渓男鑑定箱二重箱
額サイズ:縦1515*横623 画サイズ:縦314*横471



もともとの表具の雰囲気を基準にしますが、多くは表具師のセンスによります。



スケッチ帖からの表具でしょうか? 中央の折れ目は致し方ありません。



「訳あり」の作品、俗言うと「ジャンク品」? を費用を費やすか否かは作品の出来次第・・。



「この作品をきれいにして飾りたい。」という衝動が基準です。



費用対効果もあるでしょうが、これが判断なら始終迷いっぱなしになるでしょう。



せっかく入手した作品はその辺りに放りっぱなしの輩は費用対効果だけが判断基準で、入手に対する欲望のほうが強いのでしょう。



骨董は飾る、使うことが大切です。そのためには飾る場所、収納する場所に費用を費やし、維持管理に気を使わなくてはなりません。



骨董を使う、飾る機会が少ないなら、数は限定的にいいものだけを遺しておくようにしなくてはなりません。



所狭しと飾ったり、目につく場所作品を置いておくこと、維持管理しないことは骨董蒐集、美術蒐集する者として失格なのでしょう。ただ小生のように所狭しと収納スペースを作るのもどうかと思うのですが・・。

入手から改装までの費用は5万円程度・・。さて本作品を観て、入手して飾りたくなった方が一人でもいれば改装のし甲斐があったというもの。ただこうして積み上げてきた作品が収納する場所に四苦八苦する・・・。これは蒐集する者の宿命なのであろう。宿命とどう立ち会えるか? それを愉しめるか?? 人生そのもの・・???







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