
本日はどうにも胡散臭い作品の紹介・・。

*上記写真の色紙は福田豊四郎が描いた作品です。
贋作考 磁州窯 黒釉刻花牡丹文梅瓶
誂箱
作品サイズ:口径*胴幅220*高さ310*高台径

このような梅瓶(めいぴん)と呼ばれる端正な器形の瓶は、白地に黒の牡丹文が浮び上がる文様のある北宋磁州窯系の典型的な作品とされます。
装飾技法は、「粗い灰色の素地に白化粧を施し、その上に黒の鉄釉を掛け、これを白化粧の層に達するまで刃物で文様を彫り、不要な部分を掻落して文様を浮き出させ、さらに余白の部分にもう1度白化粧して透明釉を掛け焼き上げていく。」というものです。

効果としては温和な乳白色の地に漆黒の牡丹唐草文が浮び上ってくる狙いがあります。この技法によって北宋の磁州窯系、河北、河南、山東、山西省など華北一帯の民窯でこの効果を発揮した作品が数多く作れたようです。

なかなか洒落た意匠の作品で、北宋期がもつ近代的な感覚をいかんなく発揮しているとされます。 白泥を化粧がけした上に鉄絵の具をかけ、部分的に鉄絵の具を掻き落として文様を表現し、最後に透明釉をかけて焼き上げたものでは高麗時代の古墳から出土したという作品が韓国国立中央博物館の所蔵品にあります。

この作品はその技法を少し簡略化して、北宋期ではなく時代の下がった作品ではないかと推定しています。

日本でもかなり珍重されましたので、中国で作られた模倣品もたくさんあると思われます。

この作品を「北宋期」と称すると贋作となる恐れがあるのでしょう。

時代にこだわらずに花を生けたりして使う分には何ら支障があるものではありません。

骨董品に白黒をつけたがる傾向にありますが、それは骨董品の愉しみを抑制する恐れもありますね。

幅広い作品において真贋をすべてわかる人など存在しえないと当方では思っています。贋作が嫌だったら高額を支出して、信頼のある骨董商や美術商から購入すればいいことですが、経済的は余裕のない当方では金額的なストレスを貯めることになり、安心して飾れなくなると考えるのは負け惜しみ・・・???