夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

月下五位鷺図 その2 渡辺省亭筆 その27

2024-11-08 00:01:00 | 掛け軸
渡辺省亭は「五位鷺」の作品を数多く描いており、当方でも幾つかの作品を所蔵していますが、同じような構図の作品を「その1」(下記写真右)として、並べて展示してみました。



渡辺省亭に限らず多くの画家が「五位鷺」を題材にして描いていますが、その理由のひとつは単に名前の由来からでしょう。



五位鷺の名前の由来:五位鷺は、『平家物語』によると、ある時、醍醐天皇が御所の庭で鷺を従者に捕まえるように命じました。すると鷺が逃げようとしたので、「宣旨(天皇の命令)である」と叫んだところ、鷺はひれ伏して捕まえることができました。そこで天皇は、鷺を「神妙である」として五位に任じ、鷺の王であるという札をつけて放したことによる名称とされています。

月下五位鷺図 その2 渡辺省亭筆 その27
絹本水墨淡彩軸装 軸先骨 合箱
全体サイズ:縦1990*横650 画サイズ:縦1150*横510

 

加島美術の「月下五位鷺」の紹介では「醜から美を生む」として、醜い若い五位鷺を描くことが、渡辺省亭の挑戦的姿勢ととらえているという解説がありますが、「それはどうかな?」と思います。



ちなみに、「五位鷺」と同じような名に下記のようなものがあります。

「江戸時代に徳川吉宗が広南国(現、ベトナム)生まれのアジア象を清国商人を通じて購入しました。その象が宮中に参内して中御門天皇と霊元法皇に拝謁しました。その時、前足を折って頭を下げる仕草をし、天皇はじめ法皇や公卿を感嘆させ、「広南従四位白象」と位階と称号が与えられたと伝えられています。」



作品中の印章は資料と一致します。

 

前述のように本作品はすでに紹介している同図の五位鷺の「その2」となります。渡辺省亭は同じ題材で、同じような構図の作品を複数描いています。それが贋作と混同されたり、また贋作の付け入る隙にもなっているようです。



本作品は表具の天地部分が痛んでいたので、天地交換の処置をしています。



作品本体が痛まないうちに表具に処置をするのは大切なメンテです。










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