
今までに蒐集した作品においてシミなどの表具の痛みのある作品を幾作品も補修してきました。かけ軸に限らず、陶磁器、木彫、塗り、刀剣についても補修してきましたが、これらを補修する技術がまだ日本の存在するからできるものです。費用が結構かかりますが、美術品を健全なものとして遺すこと、補修の技術を存続させるためには必要なことなのだと思っています。
今回は再び掛け軸を中心として補修した作品を紹介します。
下記の作品は以前にブログにて紹介しましたが、美人画でありながら、顔に致命的なシミがあるため何とかしたいと思っていた作品です。
早春 寺島紫明筆 その2
絹本着色軸装 軸先象牙 共箱二重箱
全体サイズ:横660*縦1425 画サイズ:横510*縦430

この作品をいつも頼んでいる表具師さんに依頼したところ、最初はうまくシミが抜けない、もしくは絵を痛めるという理由で断られました。
そこを無理に頼んで、最終的に描いたんだ場合は表具師さんの娘さんが美術をやっているので補修できるということで思い切って染み抜きに挑戦することにしました。
染み抜きの結果は写真のとおりです。

掛け軸は痛むものです、それは浮世絵しかり、油絵もしかりですが、掛け軸はまず表具が痛みます。掛け軸の扱い方を知らない人が多いのが主な原因ですが、シワがよる、表具が破れる、紐が切れる、糊が剥がれる、シミが出る、その各々に原因があり、ならないように対処することと、なった場合は早めに処置することが肝要で、人間の病気と同じですね。

まずならないためには紐を絞めすぎない、箱にむりくり入れない、虫干しをする、湿度を一定に保つ、扱いを丁寧にかつ慎重に行うと注意が必要です。なお防虫剤にナフタリンなどは禁物です。

一般的に表具の上下が最初に痛みますので、その場合は早めに天地(掛け軸の上下部分)を交換します。紐だけの交換も可能で2000円程度でできます。天地交換も通常は一万円程度からできます。
額装にすることも可能ですが、基本的に痛みは少なくなりますが、表具の趣がなくなるので、ケースバイケースですね。
今回いくつかの作品を直しましたので紹介します。
痛んだ表具を改装した例。

表具が剥離していたり、シミがあったり、シワがよっていると表具の全面改装が必要となります。

表具がいいので、そのまま使いたい時は「締め直し」で依頼します。お値段は全面表具直しと同じです。

染み抜きで一万円、全面表具直しで二万円程度が良心的なお値段ですが、表具師によってはその10倍することがあります。それはよほどの一流の表具師か表具に凝った場合のみです。

まくりを額装にした例

額を選んで、マットと縁取りを選んで額装にした例です。もっとコストを掛けるならマットを表具する例もありますが、これは意外に高くなります。額に段ボールのタトウならそれほど高くなりません。最低段ボールのタトウくらいは必要でしょう。さらに一部布タトウ、全面布タトウとグレードがあります。

天地交換した例
きちんとしておくと扱いも逆に丁寧になりますし、扱いやすくなります。ただやみくもに表具をいじるのではなく、その表具を遺したい場合は締め直しか、そのまま遺すという判断が必要となります。

天地のみの交換ですので、絵そのものやその周囲はそのままです。ただだいたい掛け軸の痛みの当初は天地なのです半数は天地交換で済みます。お値段は一万円程度でしょう。

天地交換しないと掛け軸がどんどん扱いにくくなり、傷みも進行して全面改装の憂き目になりますので、早い段階合で天地交換するといいでしょう。

こられの補修はさらに箱代金などが加算されると意外に費用がかかりますね。
今回は再び掛け軸を中心として補修した作品を紹介します。
下記の作品は以前にブログにて紹介しましたが、美人画でありながら、顔に致命的なシミがあるため何とかしたいと思っていた作品です。
早春 寺島紫明筆 その2
絹本着色軸装 軸先象牙 共箱二重箱
全体サイズ:横660*縦1425 画サイズ:横510*縦430

この作品をいつも頼んでいる表具師さんに依頼したところ、最初はうまくシミが抜けない、もしくは絵を痛めるという理由で断られました。
そこを無理に頼んで、最終的に描いたんだ場合は表具師さんの娘さんが美術をやっているので補修できるということで思い切って染み抜きに挑戦することにしました。
染み抜きの結果は写真のとおりです。

掛け軸は痛むものです、それは浮世絵しかり、油絵もしかりですが、掛け軸はまず表具が痛みます。掛け軸の扱い方を知らない人が多いのが主な原因ですが、シワがよる、表具が破れる、紐が切れる、糊が剥がれる、シミが出る、その各々に原因があり、ならないように対処することと、なった場合は早めに処置することが肝要で、人間の病気と同じですね。

まずならないためには紐を絞めすぎない、箱にむりくり入れない、虫干しをする、湿度を一定に保つ、扱いを丁寧にかつ慎重に行うと注意が必要です。なお防虫剤にナフタリンなどは禁物です。

一般的に表具の上下が最初に痛みますので、その場合は早めに天地(掛け軸の上下部分)を交換します。紐だけの交換も可能で2000円程度でできます。天地交換も通常は一万円程度からできます。
額装にすることも可能ですが、基本的に痛みは少なくなりますが、表具の趣がなくなるので、ケースバイケースですね。
今回いくつかの作品を直しましたので紹介します。
痛んだ表具を改装した例。

表具が剥離していたり、シミがあったり、シワがよっていると表具の全面改装が必要となります。

表具がいいので、そのまま使いたい時は「締め直し」で依頼します。お値段は全面表具直しと同じです。

染み抜きで一万円、全面表具直しで二万円程度が良心的なお値段ですが、表具師によってはその10倍することがあります。それはよほどの一流の表具師か表具に凝った場合のみです。

まくりを額装にした例

額を選んで、マットと縁取りを選んで額装にした例です。もっとコストを掛けるならマットを表具する例もありますが、これは意外に高くなります。額に段ボールのタトウならそれほど高くなりません。最低段ボールのタトウくらいは必要でしょう。さらに一部布タトウ、全面布タトウとグレードがあります。

天地交換した例
きちんとしておくと扱いも逆に丁寧になりますし、扱いやすくなります。ただやみくもに表具をいじるのではなく、その表具を遺したい場合は締め直しか、そのまま遺すという判断が必要となります。

天地のみの交換ですので、絵そのものやその周囲はそのままです。ただだいたい掛け軸の痛みの当初は天地なのです半数は天地交換で済みます。お値段は一万円程度でしょう。

天地交換しないと掛け軸がどんどん扱いにくくなり、傷みも進行して全面改装の憂き目になりますので、早い段階合で天地交換するといいでしょう。

こられの補修はさらに箱代金などが加算されると意外に費用がかかりますね。
初めておじゃまします。
額装された蓑虫散人も、なかなか趣がありますね。
ただ、額装は場所をとるので、収納に四苦八苦しています。なにか良い方法はないものでしょうか。
コメントをありがとうございます。
蓑虫山人の額装は当方でも思いほか趣があり気に入っています。
額装の作品は重くて、場所をとります。またタトウのない作品は引き出す時や収納する際に額や作品を傷つける可能性が高いですね。
基本的に最低でも段ボール製のタトウは作品保護のために必要ですし、タトウから引き出しやすいように黄袋も誂えると便利です。当方では大きな作品は収納するのは腰から下の高さに本のように背表紙を付けて縦に並べています。色紙程度の大きさは胸の高さです。額の作品を重ねて収納するのはよくないようです。
ともかくあまり作品の数を増やさず、気に入ったものに絞り込んでいくのがよさそうです。
なお湿気のないところにしまうのが必須ですね。