夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

古清水焼? 色絵七宝牡丹文小手焙

2022-02-21 00:01:00 | 陶磁器
掛け軸は最近の住宅事情からまったく人気がないようです。絵と表具の両方が愉しめる日本古来の調度品が危機に瀕していいます。当方のように子供の頃から親しみのある掛け軸は廉価で入手できる絶好に機会となっていますが・・



危機に瀕している掛け軸はその状況も思わしくなく、メンテがなされることなく放置されている作品が多いようです。収納箱もなく、軸先が欠損していたり、本体も折れ、シミ、虫食いと惨憺たる状況で掘り出し物の作品が出てきます。改装すると結構費用がかかりますが、虫食いの補修などは状態によっては修復が廉価にできる作品もあります。下記の作品も虫食いを補修した程度で修復された作品です。

雪景山水図 三好藍石筆 その2 明治34年(1901年)
絹本水墨淡彩軸装 軸先象牙 合箱
全体サイズ:縦1950*横570 画サイズ:縦1178*横427



三好藍石というそれほど著名ではない画家ですが、賛には「□東駆□ 渭難埋棹雖 何如閉門者 不識風雪寒 辛丑□首人口倣沈石田筆意 藍石好信 押印」とあります。辛丑とありますので三好藍石が明治34年(1901年)63歳頃の作と推定されます。沈石田という中国の明代中期の文人にして画家の作品を倣った作のようです。沈石田は文人画の一派である呉派を興し「南宋文人画中興の祖」とされています。



三好藍石の経歴に記載の「60歳を過ぎ一流浪の画人として大阪へ出て行く。以後、彼は在阪20年、各地の画人と交流、研鑽を深め、多くの名作を残し、当地南画界の雄として、彼の生涯で最も充実した画人生活を送る。」という時期の作品となります。

この作品は南画末期の名幅のひとつだと当方では評価していますが、ちょっとした手直しで掛け軸は生き返りました。一般的に言われている数十万もかかるとされる表具代金は暴利であり、あり得ない金額です。

リサイクルなどで表具材を自分で探せば、せいぜい5万円程度で上表具が可能ですが、暴利を貪る表具師らによってますます掛け軸は瀕死の状態に陥り、さらには表具師自身の首を絞めることになります。表具代金はもっと手頃になるべきでしょう。



さて本日の作品ですが、本作品を古清水焼に分類するかどうかは賛否のあるところかもしれません。



古清水焼? 色絵七宝牡丹文小手焙
合箱
胴径173*高さ154



造形的には清水焼(京焼)にしてはかなり簡素化されています。



実用的なものですのが、よほどの大名家や公家でなければ凝った作りにはなっていないでしょう。



手焙にも香炉にも使えそうなタイプの作品です。



着物に香を付ける際にも使っていたかもしれません。



古清水焼はその色釉の濃さが決め手になります。また胎土は卵色・・。



僅かながら使用されている赤の釉薬から一応「古清水」としておきました。金彩が僅かに施されています。



実際に使った跡があります。手焙りに使っていたのか、香炉として使ったのかは定かではありませんが、灰の跡があります。



飾りとしてもそれ相応の使い方はできますね。



水色の釉薬は薄くなっていますが、これは古清水焼にも共通していますが、青や赤まで透明度が高い作品は間違いなく古清水には分類されていないようです。ただ本作品が古清水に分類されるかどうかは後学となります。



古清水焼における手焙の逸品には下記の作品がありますが、このような出来の良い作品は非常に少ないと思います。

参考作品  「色絵七宝透文手焙」  (京都市立芸術大学芸術資料館所蔵)



参考作品  「色絵花文六角手焙」



いずれにしても古清水焼は公家好みの作風が多いようです。手焙りの器も今での不要の時代ですが、香炉に使ったりすれば使えますね。古いものを生活で生かすの骨董蒐集するものの役目です。


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