色鍋島と今右衛門 ( 十四代 今右衛門の墨はじき)
先日、有田に行った時に立ち寄った今右衛門である。
十四代 今泉今右衛門さんの作品は斬新なデザインで
個人的に好きな作品である。
その作品の特徴として 「 墨はじき 」 と呼ばれる技法を取り入れている。
「 墨はじき 」 とは、江戸期から鍋島ではよく使われた技法である。
技法の手順としては、まず墨で文様を描き、その上を染付けの絵具で塗る。
すると墨に入っている膠分が撥水剤役目をし、
墨で描いた部分の染付けの絵具をはじく。
その後、素焼の窯で焼くと墨が焼き飛び白抜きの文様が現れるという、
染織のろうけつとよく似た技法を用いている。
鍋島では、この 「 墨はじき 」 による白抜きを背景を引き立たせるために
背景の表現方法として多く使われている。
「 墨はじき 」 による白抜きの技法は、染付けの線描きされた部分と比べると、
やさしい控え目な印象を与える。
鍋島ではその特性を最大限に活かし、
あえてひと手間かけて 「 墨はじき 」 の技法を用いることにより、
背景を控え目にするという、鍋島らしい神経の遣い方がみられる。