Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

ティーチャー改め、

2005-01-28 | 
公務員としての立場を維持しながら、専門分野を構築している小学校教諭を知っている。彼女とはかれこれ八年ぐらいの面識がある。教育実習を始めた頃から服装と雰囲気が変わり、声を掛けるようになった。代産休教師で経験を積んで正式な研修期間を既に終えている。今後も職種選択の幅を広げるのだろう。教師には様々な知識や技能が求められている。初等教育では、昔の芸術やスポーツにカウンセラー、IT技能者や図書師等が要求され、専門家の需要は今後も増える。

ドイツの初中等教育分野の三分割柱は有名である。詳細は記さないが、高等教育コースから職業教育コース、中等教育コースまでを満10歳で選択しなければいけない。これは新教の堅信礼14歳と旧教の正餐式9歳との中間の時期に当たる。救済処置があればこのシステムはそれほど大きな問題とは思わない。一部の州で既に永く成功裡に実施している総合学校が一部の州で現在議論されている。三本柱を同じ傘の下に入れる学校である。大多数の市民が反対している。「教育の寄せ鍋」、「過激な実力主義」、「教育行政の煙幕」と手厳しい。そうなればドイツにも私立学校の設置が必要になると学力の低下を憂慮する父親もいる。反対に少数の賛成派は、優劣のある成績の教育効果と早すぎる選択への代案、労働者地域からのエリートの養成を挙げる。特にデュッセルドルフ周辺の人口過密地帯では、伝統的に外国人だけでなく労働者流入が多く環境が全く揃わないという。一クラス15人程度の他所の州と較べて生徒数も大目で全ての環境が悪い。国境を隔てたベルギーやオランダとはPISAで大差を開けられている。

あるハンブルクから集団就職したあるエリート営業マンの妻で地元出身の母親は、道で子供に話しかける母親を見て、「子供には親は方言で語りかけたらいけない。学業で後れを取る。」と言った。これだけでも多くの家庭では克服するのが大変である。そして家庭環境が学力差に出るのは、半日学校で宿題が重要視されるからである。解決策は全日学校への移行である。これで幾分かの格差は埋まる。「給食」そして午後は選択自由補習システムも可能である。家庭での躾と子供の余暇の時間の欠如と給食費用等が反対理由である。

高等教育コースの伝統的なギムナジウムに進む者が増えて、女性の大学進学率が飛躍的に伸びた一方、男性はどちらかといえば将来のある職能を身に着ける。マス教育で平均レベルは落ちているようだが、ティーンエージャー時分から良く知っている女性が極普通のドイツの教育からハーバードの修士を問題なく取った事を思えば、ドイツの高等教育はそれほど悪くないのだろう。それとも米国名門の修士のレベルが低いのか、解からない。何れにせよラテン語やギリシャ語はいまや必要なくなった、英語が出来れば十分である。

家庭環境が伴わない児童を初等教育から中等教育で基礎学力をつけていく事は遥かに難しい。特に初等教育のシステムに不備がある中で、それら問題の多い児童を導くほど骨が折れる事はない。「医者、弁護士等知識階級の多い地区」なら楽だがというのは偽れざる事実であり、さもなければ教師は適当に教育施設に定年まで勤めあげるようになる。魅力ある職場でないと優秀な人材は集まらない。優秀な教師を養成するためには、良い基礎教育のシステムが必要になる。卵が先か、鶏が先かの水掛け論になっている。
コメント (3)
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