Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

ワインの適温-試飲百景

2005-07-02 | 試飲百景
何事も適当と言うのは、数多くの失敗と其れの経験を通して学べる。ワインを愉しむ場合、適当な食事や口の準備以上に適当な温度と言うのが最も経験に左右される。

馴染みの醸造所では、出されるワインの温度で議論する事が多い。この試飲の温度に配慮しない生産者は、高級ワインとは縁が無い。大抵の場合は、瓶にそっと手をやって推奨温度かどうかを判断するのである。そうして再び冷蔵庫で冷やし直すもかもしれない。もしくは、言い訳をして適温の状態を示唆することもある。

さて家庭では如何判断するのか?先ずは誰でもそうする様に、本に書いてあったり、瓶に書いてある適温を追い求めるだろう。それ用の非接触型の温度計を使う人もいるだろう。少なくとも室温(摂氏20度前後)と摂氏零度の範囲の中で全ては執り行われる。

夏の場合、其れより高い外気温から少しワインの温度を下げるだけでも新鮮な清涼感が得られる。逆に言うと、夏季には赤ワインなどは結構高い温度でも楽しめる可能性もあり白ワインも其れに準じる。摂氏30度以上の場所に保存するのはタブーだが、エアーリングを兼ねて高い外気温に慣らしてみることも出来る。温度が高ければ高いほど中のアルコールや香りが一気に噴出して思いがけない体験をする事もあろう。ボルドーなどではそのような高めの室温で試飲が行われるのが普通である。

さて、白ワインそれもリースリングワインに拘ると、温めのビールの温度から摂氏20度前後までの範囲であれやこれやと試してみる事が出来る。高い外気温では清涼感が無いからといって、冷蔵庫で十分に冷やし過ぎてから外気温で温度を上げて行くのは良くない。何故ならばその間に適温を見つけにくいからである。

先ずは、冷蔵庫のもしくはワインセラーの温度の生冷えのワインを開けてみよう。そして、氷水などにつけながら外気温の中で温度を下げて行くのが良い。温か過ぎると、飲み心地だけでなく、香りも一挙に発散してしまい纏まった印象を与えない。それが適温に近付くにつれて収斂して香りの綺麗なスペクトルを放射するようになる。更に冷えると、そのスペクトルは消えて一本の筋となり咽喉越しだけの飲み物となる。このスペクトルを放射する物が高級ワインで、只冷やして飲むような甘口ワインとは別物である。

こうして、瓶に触れるだけで適温を察知出来るようになれば一人前である。そのような女性にワインを勧められ、そのようにワインを勧める事が出来るとなると、さぞかし味も格別であろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする