世界最古のガレージ

カール・ベンツのカレージ跡にプレート付けられている。ガソリンエンジンの特許を申請後、マンハイムに工場を興し引退後、60歳から84歳までの晩年をここラーデンブルクで過ごす。そしてここにファミリー会社を起業して生涯を終える。その家屋の裏のネッカー河川敷に、ガレージを作り仕事部屋にもしていた。質素な生活は、世界的業績に値する尊敬とともに市民に慕われていたという。

ラーデンブルク市のラテン名ロポデュノンの語源を遡ると、古いケルト語でロク・ヴォデュノンとなり「湖の城」となるようだ。カエサルがAC58年にアリオヴィスツの軍勢を破ってからはライン左岸は、ローマの支配下となっていた。その向こう岸のライン右岸では、43年のローマ人による英国制服の西方拡張に関連して東方活動を控えていたという。その時点で右岸の支流であるネッカー河のラーデンブルクの要塞は、一時明け渡され、エルベ川流域から移動したゲルマン人スヴェーべ族の入植を許したとある。

そのような民族の移動とキリスト教普及前には、ローマ中にマトラス崇拝が普及していた。ツァラストラにおける捧げ物が、信者の来世を約束した。ここの町に現存するマトラスのプレートも野蛮なゲルマン人の取り外し行為のお陰で、ラーデンブルク市に残る事になった。

AC69年に至って、ドナウ流域までのライン右岸へのローマ帝国の侵攻が進み。このネッカー下流域にあるロポデュノン市は、南北東西への交通の要所となる。オランダから引き戻された500人の屈強なエリート部隊が要塞を固め、次なるゲルマン人アラマン族の攻撃に備えた。5世紀にはアラマン族を南に追いやったフランク族は、ロブデンガウ地方に居座り、逸早くキリスト教化したメロヴィンガー朝からヴォルムスの領地を確保する。

さて、再び現代のラーデンブルクに戻ると、ここはマンハイムを基点とする観光ルート・ブルゲンシュトラーセに含まれているようで、過去の遺跡が調査され観光のためにも整備されて来ている。マックス・プランクインステテュートの生化学研究所を初め、1900年間の町の文化の歴史は健在である。こうして今度は、近代ドイツ文化を後世に伝える事になるのだろう。



参照：
聖フランシスの壁画　[歴史・時事] / 2005-07-04
破壊された偶像　[文学・思想] / 2005-07-05
魔除けの見下ろす教会塔　[文化一般] / 2005-07-06
弓矢の先端とその恍惚　[歴史・時事] / 2005-07-07
踏み付けられた巨人　[歴史・時事] / 2005-07-08