Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

弓矢の先端とその恍惚

2005-07-07 | 歴史・時事
ここに見るのが、セバスツィアンカペレの壁に描かれるその守護聖人である。17世紀に描かれた物で、当時ハイデルベルクを闊歩していた若い騎士たちのトップモードそのものと云う。

聖セバスチャンは、三島由紀夫が演じたり語ったように、性学者マグヌス・ヒルッシュフェルト博士の解析を待つまでもなく、射られる弓とその殉教振りがサディズムとマゾヒズムを表象する。そしてその性倒錯が同性愛へと繋がるとされる。

ここに見る壁画は束ねた弓矢を手に持ち、そのような性的衝動を与えるような要素は微塵もない。しかし、伊達者のセバスチャンが王冠を被った世俗権力者を踏みつけながら闊歩しており、当時の事情も反映しているようだ。プファルツ伯が起こした30年戦争時には、このネッカー河畔の町ラーデンブルクも全欧カトリック連合のティリィー伯軍によって侵攻されて、その多くが破壊される。しかし、その後のプファルツ継承戦争においては、全滅したハイデルベルクとは異なりフランス・ロートリンク連合軍から殆んど被害を受けなかった。何よりもフランシスコ修道会の遺物が幸いしたと云われる。



参照:
朕強クリースリングヲ欲シ [ 歴史・時事 ] / 2005-03-30
聖フランシスの壁画 [歴史・時事] / 2005-07-04
破壊された偶像 [文学・思想] / 2005-07-05
魔除けの見下ろす教会塔 [文化一般] / 2005-07-06
踏み付けられた巨人 [歴史・時事] / 2005-07-08
世界最古のガレージ [歴史・時事] / 2005-07-09
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする