Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

煙と何かは高い所へ昇る

2006-01-22 | 文学・思想
十歳になるかどうかの時分から、アルピニズムを意識していた。それにも拘らず、熱狂的な一時期を除いて、山岳文学と言われるものからは縁遠い。理由は、どうもそのアルピニズムと言うものが、その当時既に終焉を迎えていた事によるらしい。幸か不幸かこうして、ネットの世界を知り得るまで生き存えている。

そのような背景があって、実働日数は少ないながらも、経験年数だけは大ベテランの域に入っている。我が所属のドイツ・アルパイン協会のセクションの年間スケジュール発表会が一週間前の土曜日に開かれた。200人近くが集まっただろうか。如何せん、アルプスから遠い地域であるので、ミュンヘン支部のような、毎年海外遠征するようなセミプロも居なければ、毎週アルプスの壁やスキーやパラグライダー、マウンテンバイクを組み合わせるような兵も居ない。大半は、毎月の地元の山歩きを楽しみにしている人達である。熱心なフリークライマーは、他の組織に所属していたり無所属であったりするので、地元の砂岩のフリークライミングの中心メンバーが多く含まれて居るとも言えない。

それでも誰か熱心なメンバーを中心に、ある方向へと活動が盛んになる時がある。本年度は、例年の飲んだ呉れの三千メートル級ピークハントに加わって、ドロミテ等でのクライミング山行が組まれており、ここ数年の継続的な教育的活動が成果を挙げて来ている。このような事象は、何処にもある事で今まで自ら何度か経験して来ている。また急激な進展は、事故によって終焉を迎える事があるのも良く見聞きしたものである。

アルプスのクラッシックルートの踏破を通して、何らかの時代精神を体験したいと思っている。これは、アルプス・ツーリズムそのものである事は否定出来ないが、少なくとも消え行くアルピニズムに心躍らせた者が冷静さを持っての客観認識でもある。それにしても、この動機付けを持った衝動には、我ながら驚く。

嘗て、「ラインホルト・メスナーを哲学する」で、一度アルピニズムを取り上げたが、具体的な話題から改めて考えて行きたい。主要な関心は、「近代主義のアルピニズム」、「アルピニズムとツーリズム」、「環境問題としてのアルプスのローカリティー」、「レジャー・ツーリズム」、「アルピニズムの形態と素材の美学」などが容易に列挙出来る。

これらの思考は、ジャーナリズムを含む文学や芸術一般に措いて、繰り返し扱ってこられたテーマでもあるが、アルピズムの終焉と共にあまり顧みられなくなった。またその昔試みられたような、社会科学的な切り口は、唯心論的な切り口と同じように、当初から全くの役立たずであって、現時点からの再考察が必要になってきた事は言うまでもない。当然の事ながら、文化批評的にこの用語「アルピニズム」が他の用語と同義性を持っているのは容易に想像出来る。

アルピニズムス考察:
涅槃への道 [ 文学・思想 ] / 2004-11-23
慣れた無意識の運動 [ 雑感 ] / 2006-03-07
名文引用選集の引用評 [ 文学・思想 ] / 2006-04-02
木を見て森を見ず [ アウトドーア・環境 ] / 2006-01-28



参照:涅槃への道 [ 文学・思想 ] / 2004-11-23
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