Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

そこの国境を越えると

2006-01-20 | 生活
気候が激しく変わる国境線は、欧州の自然国境にはそれほど多くは無いようだ。中欧においてはアルプスの南北面が最も大きな分断であろうが、これを国境線としているのは、オーストリーとイタリーの間に跨るブレンナー峠やイタリアへ抜けるシャモニトンネルとスイス南面のヴァリスアルプスの山脈であろうか。前者は、南北チロルとしての文化的統一性を有していて、後者はアオスタ渓谷の独特な文化とスイスの深い渓谷へと連なる。しかし気候上の大きな分断は余り存在しない。

現在中欧に措いて、国境でのチェックを行う箇所は限られて来ている。EUとスイスとの国境も貨物輸送以外はフリーパスになる傾向にある。それでも、スイス国境はマネーロンダリングや密輸入の関係もあってまだ厳しい。チューリッヒに住む知人に受け渡すものを運んでいて、税金を徴収されそうになった事もある。その時は、流石に理不尽であるので、入国を拒否して再びドイツへと戻させて貰った。国境警備隊の言うのが可笑しかった。「チューリッヒでのアポイントメントに遅れない様にね」と言って、違う国境からの入国を示唆したのであった。勿論、二回目の国境通過トライは通過御免となった。

先日はバーゼルに措いて給油しなければいけなかったので、それを済ましてエンジンを掛けると、ライト故障の警報がディスプレーに浮かんだ。これは電装系の不具合で比較的良くある事で、最後の交差点にてエンジンを掛けなおすが警報は消えない。仕方なく高速道路へと入り国境へと進む。その時点で、数多い経験から様々なケースを考えていた。次に停車可能の場所で、つまり車を一旦国境を越えた所で駐車して点検することである。アウトバーンのサーヴィスを持つその大駐車場では、嘗てバッテリーの弱っていた乗用車を二輪車レーサーのように一人で押し駆した経験がある。また、その時に脳裏に浮かんだのは、嘗てスキー帰りの助手席で寝込んでいた同乗者を国境前で起こすと、急に不自然な態度でごそごそしだした時の事である。お陰で、その時は珍しく停車を命じられて身分証明書を提示させられた。

そのような事をあれやこれやと思いながら、何ともそわそわしてくる。既に思いはここにあらずで、暗い大駐車場でのライトの点検に行って仕舞っている。予想通りにその前に国境で停止を求められた。なるほど、国境警備隊の直感は想定内のことである。早速、車を路肩に寄せて、下車して、テールランプ等を点検した。警備隊のお兄さんにブレーキランプのチェックを手伝って貰う。明るい所で点検する事が出来て、異常が無い事を確認する。ご協力ご苦労様と心から礼を言って、国境を家路へと颯爽と走り去った。
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