八月十一日付けのFAZ新聞の飯舘村発の記事を読んだ。とても重要な情報が散りばめられている。
飯館村のシギハラさんは、三月十一日以降相馬市の工場での仕事をなくし故郷の農家で過ごしている。60歳の氏は、三月十八日には孫や子供など若い人は政府の自主避難勧告を受けて故郷をあとにした今も、発電所から約四十五キロ離れたそこに居座る。当地では村の入り口の検問所で今も9マイクロシーベルトをガイガーカウンターが指し、12マイクロシーベルトに至る場所があるという。
同行した放射線安全フォーラムのタダさんが現在除染に取り組んでいるのだが、その具体的な計画は村から提出されていなかったようで、そのときはまだ遅れて出された国からの指示で避難処置に追われていたとある。そして、除染をしてもその汚染土の処理が出来ないと、細野大臣が言動が示しているように、政治的判断が全く出来ていないと非難する。
つまりこうした高濃度の汚染を移動させることはそもそも罰則行為であり、その処理も決まっていない行政の不備はそのまま政府の不行き届きとして、犠牲者を増やしたその情報統制の人道的犯罪とはまた別の次元で裁かれるべきなのである。つまり、強姦殺人の犯罪の死体遺棄も罷免ではないということに等しい。
その汚染物の処理や一時保管は、福島第一原発周辺三キロ地区に持っていくしかないと思われるのだが、そうした合理的な判断をも阻害する情報政策が生きている限り、政治経済社会的、科学的な意味での収束などはありえないのだ。まさにそうした掛け違いの危機管理から、危機を越えての好機どころか、底知れない暗黒へとテプコとともに地獄落ちへと向かっているのが今の日本社会なのである。
それでも「十分に空間線量が落ちてきたところで、除染を進めて、帰宅してもらう」ととんでもない恥さらしな発言をしていた細野大臣も、「住民と面会して考え方が変わった」と語るように、もはやどのような住民層もテプコや政府の「帰宅の可能性」の情報などを一切信用していないことに気がついたと言う。
夏休み前までは伊達市小学校の校長先生だったサツキさんも住民の深い不信感をあと打ちする。つまりタダさんの手助けを借りて何度も苦労して除染をしたにも拘わらず、結局は親御さんたちは水泳も校庭での活動も許すことはなかったとのである。そして今信用できるのは自分が使っている線量計の値でしかないという。
ハノーヴァーのライプニッツ大学のロルフ・ミシェルは、降雪によって百キロ圏まで地域的なファールアウトの事実を記した論文を発表した。そして、駐東京大使館の技術官ハインツ・ハウリーは、今回の取材に同行して毎時0.05マイクロシーベルトを計測して、「ミュンヘンの方が高い」と信じられない眼差しをする一方、日本の外務省はドイツの科学ジャーナリストを現地に派遣したいという大使館の申し出に対して、「住民は彼らを歓迎しない」と拒否したと裏話を披露する。しかし実際に現地に出向いてみると、「東京の官僚主義の言明は全く真実とは異なっている」と即時に悟ることになったと報じる。「飯館、伊達やいわきの人々は殆ど例外なく、この数ヶ月に起こったことを語ろうとしている」と記事を閉じている。
参照:
Gegen die unsichtbare Gefahr, Carsten Germis, FAZ vom 11.8.2011
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飯館村のシギハラさんは、三月十一日以降相馬市の工場での仕事をなくし故郷の農家で過ごしている。60歳の氏は、三月十八日には孫や子供など若い人は政府の自主避難勧告を受けて故郷をあとにした今も、発電所から約四十五キロ離れたそこに居座る。当地では村の入り口の検問所で今も9マイクロシーベルトをガイガーカウンターが指し、12マイクロシーベルトに至る場所があるという。
同行した放射線安全フォーラムのタダさんが現在除染に取り組んでいるのだが、その具体的な計画は村から提出されていなかったようで、そのときはまだ遅れて出された国からの指示で避難処置に追われていたとある。そして、除染をしてもその汚染土の処理が出来ないと、細野大臣が言動が示しているように、政治的判断が全く出来ていないと非難する。
つまりこうした高濃度の汚染を移動させることはそもそも罰則行為であり、その処理も決まっていない行政の不備はそのまま政府の不行き届きとして、犠牲者を増やしたその情報統制の人道的犯罪とはまた別の次元で裁かれるべきなのである。つまり、強姦殺人の犯罪の死体遺棄も罷免ではないということに等しい。
その汚染物の処理や一時保管は、福島第一原発周辺三キロ地区に持っていくしかないと思われるのだが、そうした合理的な判断をも阻害する情報政策が生きている限り、政治経済社会的、科学的な意味での収束などはありえないのだ。まさにそうした掛け違いの危機管理から、危機を越えての好機どころか、底知れない暗黒へとテプコとともに地獄落ちへと向かっているのが今の日本社会なのである。
それでも「十分に空間線量が落ちてきたところで、除染を進めて、帰宅してもらう」ととんでもない恥さらしな発言をしていた細野大臣も、「住民と面会して考え方が変わった」と語るように、もはやどのような住民層もテプコや政府の「帰宅の可能性」の情報などを一切信用していないことに気がついたと言う。
夏休み前までは伊達市小学校の校長先生だったサツキさんも住民の深い不信感をあと打ちする。つまりタダさんの手助けを借りて何度も苦労して除染をしたにも拘わらず、結局は親御さんたちは水泳も校庭での活動も許すことはなかったとのである。そして今信用できるのは自分が使っている線量計の値でしかないという。
ハノーヴァーのライプニッツ大学のロルフ・ミシェルは、降雪によって百キロ圏まで地域的なファールアウトの事実を記した論文を発表した。そして、駐東京大使館の技術官ハインツ・ハウリーは、今回の取材に同行して毎時0.05マイクロシーベルトを計測して、「ミュンヘンの方が高い」と信じられない眼差しをする一方、日本の外務省はドイツの科学ジャーナリストを現地に派遣したいという大使館の申し出に対して、「住民は彼らを歓迎しない」と拒否したと裏話を披露する。しかし実際に現地に出向いてみると、「東京の官僚主義の言明は全く真実とは異なっている」と即時に悟ることになったと報じる。「飯館、伊達やいわきの人々は殆ど例外なく、この数ヶ月に起こったことを語ろうとしている」と記事を閉じている。
参照:
Gegen die unsichtbare Gefahr, Carsten Germis, FAZ vom 11.8.2011
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