Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

謳いあげる多文化の音

2024-11-08 | 文化一般
お勉強の時間が無くなって来た。来週火曜日までにどれだけの時間を費やせるか。ブルックナー五番である、二か月前のそれを殆んど忘れかけている。演奏者も似たようなものだろう。その前に昨夜からベルリナーフィルハーモニカー合衆国ツアーの表のプログラムが演奏されている。金曜日まで三夜。そしてまたブルックナーの下稽古か。

金曜日にはラディオでも中継されるのでそれを聴く。今回の定期公演のプログラムをDLして読んでみた。ラフマニノフ作曲「死の島」は2021年1月のコロナ時に無観客で演奏されていたが、今回は他の曲のこともあるのだろう独伝統的楽器配置で演奏される。それは練習風景のヴィデオで確認した。そこでの解説として八分の五拍子が三拍子二拍子三拍子二拍子と変化していく面白さに言及されて、有名なベックリンの絵のボートが棺を乗せて島に近づく風景でもある。前回の時にも言及したが指揮者ペトレンコのお得意のリズム的な精査での自由自在である。練習風景を観るとスカラ座のあとでのこちらの意識も違うのかもしれないが、その自由闊達な棒をベルリンに持ち帰った感じがする。楽団も三年前とは全然力が抜けて演奏できている様だ。

プログラムによれば、作曲家がロシアから逃れてドレスデンに滞在時にリヒャルトシュトラウスの楽劇「ザロメ」初演でその管弦楽法に驚愕した様だった。その影響のもとにあったとされ、何時も語られる白黒デッサンのコピーでなく本物を観ていたなら最早なにも曲を書けなかっただろうとされる。

「音楽は落ち着いた月夜であり、夏場の葉がそそぎ、音楽は夕暮れの遠くからの鐘の音で、音楽は詩の姉妹であり、その母はメランコリーだ。」という作曲家の言葉が書き添えられている。

そして「死の都」の作曲者コルンゴールトのヴァイオリンの為の協奏曲が演奏される。アメリカに亡命してハリウッドで名前を挙げたことから、この協奏曲もその映画音楽のメロディーが使われていることで、「ハリウッド協奏曲」とも呼ばれているらしい。メンデルスゾーン風の一楽章では同時進行での創作である映画「アナザーダウン」から夜の風景が主題になり、第二主題として「ジュアレズ」の皇帝と皇后の主題、二楽章では「アンソニ―アドヴァース」の旋律、最終楽章のロンドと変奏では「プリンスともの貰いの子」のイントロがとなっている。
Another Dawn (1937) TRAILER - with ERROL FLYNN and Korngold's Score

ERICH WOLFGANG KORNGOLD ~ JUAREZ 1939 (Special Overture)

Anthony Adverse (1936) - Gale Sondergaard : Opera Scene

Korngold: The Prince And The Pauper Suite - 3. The Prince


三曲目は、ロンドンから第九「合唱」の様に依頼されて同じ調で書かれたドヴォルジャークの第七交響曲が演奏される。この曲がやはりボヘミヤの作曲家としてそのハプスブルク帝国の中での独自の音楽歴史を示す作品となったことは、スメタナにおける「我が祖国」の話題と繋がる。

三人の作曲家の共通点は合衆国での活動で三人三葉ながらそこには今回の大統領選で双方から話題とされたその多民族への視点に触れられている。勿論筆者のクラスティング氏にとってはそしてベルリナーフィルハーモニカーにとってはワシントン公演でも高らかにそれを奏でる心算でいただろう。然し音楽文化的には今こそその価値が問われている。



参照:
描き切れない普遍的価値 2024-09-01 | 文化一般
朝から騙された思い 2024-11-06 | 生活
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