■ アメリカのエリートは「ゴメンナサイ」と言わない ■
アメリカ人は「ゴメンナサイ」と言わない。
エリート程、そう教育されています。
「~の為には、これが最善の選択です。
私は最善に向けて努力していますし、
私の対処が最善だと信じています。」
という言い方をします。
現状が最善からかけ離れている事を、決して認めないというのが、
彼らが身につけているディベートのテクニックです。
■ ガイトナーの発言をどう読むか ■
ロイターからガイトナーの発言を引用します。
<引用>
ドルの地位、インフレ抑制などの責務伴う=米財務長官
[ワシントン 16日 ロイター]
ガイトナー米財務長官は16日、準備通貨としてのドルの地位は、インフレ抑制や国家財政規律の確保といった特別な責務を伴う、との見解を示した。
CNBCテレビとのインタビューで、最近のドル下落と財務省がドルの価値を維持するため何を行っているかとの質問に対し、ガイトナー長官は「ドルの役割は米国に特別な責務を課している」と指摘。「インフレを長期的に低く安定的な水準に抑制し、財政規律を確実にする米国の能力に対する信認維持に向け、あらゆる可能な手段を講じていく必要があるということを、米国民が理解することが非常に重要」と述べた
<引用終わり>
これを、上記のディベートテクニック的に解釈してみます。
「インフレを長期的に低く安定的な水準に抑制する事は既に難しく、
財政規律も既に崩壊してしまった。
もう、打てる手段はほとんど無いんだよ。
こういった事を理解しないアメリカ国民が悪いんだ。」
顔付きからか、どうもガイトナーは正直者の思えます。
アメリカのスーパー・エリートになると、
(ガイトナー自身もスーパー・エリートですが・・・。)
言っている事と、やっている事がほとんど真逆だったりします。
ファンドの帝王達は、口ではアメリカの衰退を警告し、
一方ではドルの売り浴びせのポジションを確保しているのでしょう。
■ ドル90円台回復 ■
ドルが90円台を回復しています。
日本経済の実態が、経済指標以上にボロボロな事への警戒でもありますが、
アメリカの長期金利の上昇が大きな要因です。
長期金利は長期国債の利回りに影響を受けます。
米ドルが将来的に下落傾向であるならば、
長期国債の利率を高めに設定しなければ、損失が発生します。
ですから、ドルの先行きや、アメリカの財政の先行きが
不透明になればなる程、長期国債の利率は上昇し、
それに釣られる形で長期金利も上昇し、短期金利も上昇します。
アメリカの実態経済は危機的状況で、
FRBが積極的に金利を上げる段階ではありませんが、
米国債の信任の揺らぎが、金利を上昇させます。
世界のお金は金利に飢えていますから、
円よりもドルの金利が高ければ、ドル買いに転じます。
これは、一種、プログラムによる無意識の反応と言って良く、
ドルに暴落のリスクは当面無いので、資金がアメリカに還流しています。
ドルの90円台回復は、アメリカ経済の危機的要因が原因で
決して、ドルが強くなった訳では無いのです。
日本が政権交代直後で不確定要素が多いので、
円が弱含んでいるだけで
ドルは豪ドルに引きずられる形で、ユーロに対しても下落しています。
ドルの下落は、長期的には既定の事実です。