
■ BYDをご存知ですか? ■
BYDと聞いても馴染みが薄いかもしれませんが、トヨタに先駆けてプラグインハイブリット車を市販しつつある中国のメーカーと聞けば、記憶の片隅に留めている方もいらっしゃるでしょう。
http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMITbp000027052009
BYDは元々蓄電池メーカーで、世界1のリチウムイオン電池のシェアを誇っています。米軍の潜水艦にも納入実績がある事からも、その技術力はある程度信頼の置けるメーカーだと推測されます。
BYDは自動車業界にも進出しており、昨年、世界初の量産型プラグインハイブリット車を発表し、2010年に発売する予定です。価格は日本円にして220万円程度だったと記憶しています。完成度が高いとは思えませんが、トヨタのプリウスの技術の中核が、容量の少ないニッケル水素電池をいかに効率的に充電するかというものであるのに対し、充電容量の大きなニッケル水素電池を搭載したBYDのプラグインハイブリット車は、繊細な充放電の制御技術を用いなくても、ある程度の燃費性能を引き出す事が可能です。
リチウムイオン電池は高価な為、そのコストがプラグインハイブリットや電気自動車の普及の足かせになっていまいたが、バッテリーメーカーのBYDはそれを安く供給する能力を有しているのでしょう。
■ バフェット氏がBYDに出資 ■
BYDには昨年、ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが出資を決定しています。バフェット氏はハゲタカファンドとは一線を画した、長期的な成長企業に投資する事を特徴としています。バフェット氏は、中国産の電気自動車が充分ビジネスなると踏んでいる様です。
しかし、自動車は様々な技術の集積体で、たとえ電気自動車で構造がシンプルになたとしても、一朝一夕に「まともな車」が作れる訳ではありません。
そこでBYDとバフェット氏は、買収に因って必要な技術を手配するのでしょう。
■ BYDが日本の自動車金型工場を買収 ■
BYDが日本の自動車金型の工場を買収した様です。
<ロイター記事>
http://blogs.jp.reuters.com/blog/2010/04/06/流出する金型技術と国内産業の未来/
金型技術は物造りの基本であり、自動車の特殊ば曲面を成型する金物には、高い技術力が要求されます。中国が自前でこの様な技術を取得するには時間を要しますが、日本の企業を買収すれば、これらの技術は、熟練した工員や、立派な設備と共に手に入れる事が可能です。
■ 景気低迷で流出する日本の技術 ■
最近家電やメモリー分野で韓国の後塵を拝している日本ですが、長期に渡る日本の不景気が、日本の技術や技術者を韓国や中国に流出させています。
これは、日本の外から見れば当たりませの事柄で、より安くて高性能な製品を作る為には、労働コストの安い国に技術移転を行えば、その製品を輸入する国はより安価で高性能な商品を入手出来るメリットを享受する事が出来ます。
かつて日本が担った役割を、韓国や中国が果たす時代がやって来ただけの事です。日本の長期に渡る景気低迷は、買収や技術者の流出という形で、日本の技術を流出させています。
逆に言えば、技術を囲い込もうとする日本の企業に対し、国際資本家達が景気後退というトラップを仕掛けたと見る事も出来ます。
「技術立国日本」を声高に叫んだ所で、国際資本家達が、日本の一人勝ちを見逃すはずがありません。技術を製造コストの安い国が移転する事は、産業革命後の宿命とも言えます。