人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

デフレの時代にインフレの心配をする

2010-04-15 18:56:00 | 時事/金融危機



■ 当分インフレの懸念は無い ■

私は個人的にはFRBのバーナンキ議長の顔が好きです。顔というよりは、その秀でた額や豊かな髭、穏やかな瞳に安心感を覚えます。どうも彼の風貌を見ていると、金融危機などは、本当は無かったのでは無いかと錯覚する程です。寝癖頭の日本の政治家にも見習って頂きたいと思います。

さて、そのバーナンキ議長が議会の公聴会に呼ばれ、当面利上げの必要が無いと表明した様です。

<ロイターから引用>

[ワシントン 14日 ロイター] バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は14日に行った上下両院合同経済委員会での議会証言で、米経済の回復は緩慢であるため、政策金利を長期間にわたり低水準に維持することは正当化されるとの立場を示した。
 景気の「二番底」のリスクは否定しなかったものの、インフレは差し迫った懸念材料にはなっていないとし、FRBが景気刺激策を維持する論拠を示した。

 政策金利について議長は「連邦公開市場委員会(FOMC)は、非常に低い金利が長期間必要となることを現時点で予想していると言明した」と発言した。

 ただ、FOMCのこうした見通しは、設備稼働率が低水準であることや、失業が高水準であること、インフレ期待が抑制されていることなど、一定の条件が前提と説明し「こうした状況が当てはまらなくなった場合、われわれは当然、対応する」と述べた。 

 物価情勢については、インフレは引き続き抑制されており、長期的なインフレ期待も抑えられているとの見方を示した。

<引用終わり>


■ 見えない出口 ■

バーナンキ議長は、これまで何度も「金融の早期正常化」を口にしてきましたが、現状は雇用も消費も回復しているどころか、益々悪化しています。この様な「デフレの時代」に何故FRBはインフレを懸念するのでしょうか?

アメリカがインフレを懸念しなければならない状況は次のケースが考えられます。

1) 米国債危機が高まり、長期金利が上昇する。
2) 元やアジア通貨の切り上げにより、輸入コストが増大する。
3) 新興国経済の回復により、資源インフレが発生する。

この3つとも、アメリカ経済の回復無しに、金利を押し上げる要因を作り出します。景気回復という出口は見えていないのに、インフレ圧力だけが高まります。つまり、スタグフレーションです。

■ 元の切り上げは、資源インフレを引き起こす ■

元の切り上げを盛んに要求するアメリカ議会ですが、彼らは自分でスタグフレーションを引き起こしている様なものです。

元が急激に引き上げられれば、アメリカの輸入物価が押し上げられるだけでなく、強い元が世界に資源を買い漁り、結果として資源価格が高騰します。決済通貨はドルですか中国はドルを買わなければなりませんが、それでは元の引き上げになりません。結局、中国は手元のドル資産や外貨準備を手放して、資源購入資金に当てざるを得ません。

中国が元の供給量を絞っても、元の切り上げに繋がりますが、自国経済にダメージを与える程、金融政策を引き締めるとは考えられません。

結局、元の切り上げは、ドルの下落を伴い、さらには米国債の危機も誘発して、アメリカ経済をスタグフレーションに陥れる可能性が大きいと言えます。

■ 第二のプラザ合意は在り得ない ■

アメリカとしては元の切り上げは、中国での投資の回収と、アメリカへの投資の誘導を狙った政策でしょう。プラザ合意の際には、この作戦は大当たりし、ジャパンマネーがアメリカ経済を潤し、さらには日本のバブル崩壊というオマケまで付きました。

しかし、日本のバブル崩壊を綿密に研究している中国が、同じ轍を踏むとは思えません。中国は元を少しずつ切り上げて行く事でしょう。この間、新興諸国の内需も拡大し、世界はアメリカの消費に頼らなくても、成長する軌道に乗り始めます。

日本は素材の供給基地として、アジアやその他の新興国の景気回復の恩恵に預かる事でしょう。

プラザ合意の際には、過剰な円高が発生し(発生させられ)、日本政府は輸出企業保護の為に円安の為替介入を実行しなければならず、その過程で大量に買い込んだドルを米国債の購入にあてました。

ヘッジファンドのドル売りなどで、元が急激に切り上がれば、同じ様な状況も発生しますが、中国は元を時間を掛けて切り上げるでしょうから、アメリカの思惑は大きく外れるでしょう。


■ アメリカ人は我慢出来るか ■

急激な元高が無ければ、中国バブルも訪れず、アメリカにチャイナマネーの流入もありません。アメリカは景気が回復しないまま、金利と物価がジリジリと上昇していくでしょう。

その間に次々の州や地方の財政が破綻し、国債発行コストの上昇は、国家財政を破綻させます。

はたしてアメリカ人がこんな暗い将来を受け入れるでしょうか・・・。
答えは”NO"決まっています。

■ 世界同時心中 ■

アメリカの一部の勢力(多分ロックフェラー)は、既に大きなダメージを受けていますから、米経済と世界経済をパニックに陥れて、ドサクサ紛れに主導権を奪還しようと試みるでしょう。

しかし、金融においては主導権はロスチャイルドに握られていますから、下手をすれば単なる自滅に終わってしまいます。

そこで彼らは「戦争」という得意のカードを切りたがるでしょう。既に、韓国軍の艦艇沈没や、ポーランド大統領機の墜落など、きな臭い匂いが漂い始めました。幸いにして、ロスチャイルドの陣営に取り込まれている、韓国政府は沈静化に勤め、朝鮮半島の緊張は高まっていません。

尤も、ロスチャイルドの操り人形のオバマは、核軍縮という手段で、イランや北朝鮮に圧力を掛けていますから、いつでも戦争を起こせる準備に怠りはありません。

■ インフレを待ち望む世界 ■

先進各国は今回の金融危機で財政の大判振る舞いをしましたから、各国の国債はどんどん膨れ上がっています。特にアメリカ・イギリス・日本の国債発行残高はGDPの200%に達するのも時間の問題です。

国債の買い手がいる間は、借金の付け替えはエンドレスで可能ですが、さすがに買い手もリスクを意識せざるを得ません。各国が財政負担に耐えられなくなった時、各国はインフレターゲットを定めて通貨を大量発行し始めるでしょう。

世界は「強い通貨こそ国益」と口では言いながら、自国通貨をどんどん紙屑に近づけていきます。

■ デフレの時代にインフレを心配する ■

デフレの時代にインフレの話をすると、「バカかお前は?」と言われそうですが、増税という手段は国民に嫌われるので、似非民主主義の国々ではインフレは予定事実だと考えた方が良いかと思います。

日本の政府が、年金破綻を本気で心配していない様に見えるのは、インフレを想定しているからかもしません。年金のマクロ経済スライド方式ははたして機能するのでしょうか・・・・。