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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

税金が配当に化ける・・・金融機関の配当

2010-05-22 07:40:00 | 時事/金融危機



■ 米銀行業界の生き残り戦略 ■

ヨーロッパのユーロ危機で投資市場は軒並み下落傾向です。
アメリカの金融機関も自社の株価維持に必死の様です。


<ロイターより  引用>
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-15442820100521

「米銀行に株主還元強化の動き、当局は不安視」

前略

株主還元という点では、すでに標準的な慣行に戻りつつある銀行もある。ゴールドマン・サックス・グループ(GS.N: 株価, 企業情報, レポート)は第1・四半期に22億7000万ドル相当の自社株買い戻しをした。

 ゴールドマンは、自社株買いは、ストックオプションなどの報酬に関連した希薄化を相殺するためで、当局の承認も得ている、と説明した。しかし、これについて当局の説明を受けた関係筋によると、ゴールドマンの自社株買いは当局に驚きをもたらしたようだ。ゴールドマンはコメントを差し控えた。

 <不透明要因>

 歴史的に銀行の配当性向は40%程度だったが、信用危機の際は資本を確保するため配当を減額したり見送ったりした。自社株買いもやめた。

 JPモルガンは2009年2月、公的資金の注入を受けるために、配当を0.38ドルから0.05ドルに減額。シティグループ(C.N: 株価, 企業情報, レポート)は、政府救済を受けた後、配当を停止した。

 ムーディーズ・インベスターズ・サービスによると、上場銀行持ち株会社58社が2009年に配当として株主に還元したのは純利益の10%強。2008年前半は50%超。2007年は、配当と自社株買いを含めて70%を超えていた。危機に直面した業界ということを考えると驚くべき数字だ。 続く...


後略

<引用終わり>

■ 高率の株主配当の意味するところは・・・■

金融機関の巨額ボーナスがとかく話題になりますが、我々が本当に問題視すべきは、高率の株主配当にあるかと思います。

詐欺同然のインチキ相場で荒稼ぎした利益の50%以上を、株主に配当しています。
この株主は誰なのでしょうか・・・?

彼らのカラクリははっきりししています。

1)金融バブルを発生させる
2)世界中の投資資金を集める
3)銀行の高率な配当として資金を吸収する。

4)リーマンショックが発生する
5)金融機関を税金で救済させ、彼らの株が紙切れになる事を防ぐ

6)危機回避後、安い株価でさらに株を買い増す
7)景気の一時的な回復で株価は上昇し、配当も増える。

金融機関を通して吸い上げられたお金の行き先は何処でしょう。
ゴールドマンやJPモルガンの株主は誰なのか考えれば、金融バブルと金融危機で大儲けした者の姿が薄らと浮かび上がってきます。


■ 自社株を買い支える ■

ロイターの記事ではゴールドマンサックスは自社株を買い戻しているようです。一見、経営基盤を安定化させているように見えませすが、これは株価操作が目的でしょう。

先日、ゴールドマンサックスの詐欺まがいの取引を証券取引委員会が提訴し、議会でゴールドマンに対する公聴会が開かれました。公聴会事態は議員達の感情論を尻目に、ゴールドマンがのらりクラリとかわした格好となりましたが、本来、下がるべきゴールドマンの株価が、公聴会の最中に上昇したようです。

一見、ゴールドマンの危機が本格化しない事を見て取った市場が、ゴールドマン株を買って株価上昇に繋がったように見えますが、ゴールドマンが大量の自社株を買い戻している事からも、この時期ゴールドマンが自社株を買い支えていた事は想像に難しくありません。

金融機関は資金力がありますから、こうした株価操作はお手の物でしょう。
民間の企業の株を空売りで売り浴びせる一方、自社株は買い支えるというのは、弱肉強食の金融界にあっては、当たり前の事かもしれません。
しかし、それでは株価は事業業績や経営状態を正しく反映する事が出来ません。


■ いつかは崩壊の時が来る ■



上の表は先日も紹介したゴールドマンサックスの妖精物語という分散投資型の投資ファンドのポートフォリオです。

3月末と比べて目立つのは、ファニーメイの証券が増えている事です。
FRBが買い取りプログラムを終了したので、アメリカの金融機関が買い支えているのでしょう。格付けだけは立派にAAAの最高格付けですが、ファニーメイの証券など既にジャンク債級です。

ゴールドマンはこの様に、果敢にリスクを取りながら高収益を続け、金融市場の回復を印象付けてきました。しかし、崩壊の時は必ず訪れます。

サブプライムローンは巧みに売り抜け、さらに空売りで儲かるポジションまで取ったゴールドマンとて、金融市場が崩壊した後、生き残る確率は高くはありません。

ゴールドマンもJPモルガンも市場から資金を吸収する道具だと考えれば、これらの金融機関とて使い捨てにされる運命なのかもしれません。結局、会社は株主の道具なのかもしれません。