■ 閃輝暗点 ■
私は夏場に「閃輝暗点」という症状に襲われる事が有ります。視界の中心にギザギザをした光がチラツキ始め、次第に視界中央部が欠落します。視界の欠落は30分から1時間程度で収まりますが、その後に片頭痛が襲って来ます。私の場合、片頭痛の痛みは強く無く、圧迫感程度ですが、それが2日程度継続すると不快です。
仕事中に「閃輝暗点」の症状が現れると視界が欠損するので仕事をそこで切り上げて1時間程度目を休めざるを得ません。提出間際にこの症状が発生した場合、先方に「ゴメンナサイ」電話を入れる事になります。
以前は脳の病気かと思い病院に行った事も有りますが、MRI検査でも異常は見られませんでした。
ネットで調べたら、この症状は寝不足やストレスの蓄積で起こる事が多く、カルシウムが欠乏した時にも起こるらしい・・・。
■ 歯が痩せる ■
実は閃輝暗点の症状が出る1日程前に必ず出る症状が有ります。それは歯痛です。
人間の歯が痩せたり太ったりする事を一般の人は余り経験する事は無いでしょう。しかし、自転車でロングライドをすると、「歯が痩せる」のが実感出来ます。普段は痛む事の無い虫歯が痛むのです。
多くの人の口腔内にはミュータンス菌(虫歯菌)が生息しています。ミュータンス菌は歯の硬組織無いに生息しており、不溶性グルカンといわれるねばねばした物質で歯の表面を覆います。この膜は酸を分泌して歯のカルシウムを溶かします。これが虫歯です。
しかし、食後役1時間程度で唾液に作用により歯は溶けなくなります。その後は唾液中のカルシウムが溶かされた所を再石灰化によって埋めて行きます。
歯を良く磨く人に意外に虫歯が多いのは、食後直ぐに歯磨きする為だと言われています。食後は口腔内が酸性になっているので、歯磨きで歯の表面を傷め易いと言われています。一方、歯磨きではミュータンス菌の作る膜を除去出来ません。実は歯磨きってあまり虫歯予防と関係が無いのです。まあ、歯茎のマッサージ効果は有ると思いますが・・。
ちなみに虫歯予防に効果が有るのは間食を止める事と、鼻呼吸をする事です。食事後1時間は口腔内が酸性になって歯が溶けるので、間食を頻繁に続けると再石灰化の時間が足りなくなり虫歯になります。又、口をポカっと開けている人は唾液の分泌が減少します。歯と歯がかみ合った状態で唾液の分泌が活発化するからです。さらに口を開けて呼吸をすると口の中が乾燥します。これも再石灰化を妨げます。
ちょっと話が逸れましたが、とにかく自転車でロングライドをすると大量のカルシウムが失われるので唾液の中のカルシウムも不足します。結果的に再石灰化が不十分となり虫歯が進行し、普段は痛まない虫歯がかすかに痛み出します。この様な症状の後に「閃輝暗点」が発生する事が多いのです。要は、カルシウムが欠乏して脳内のバランスが狂うのでしょう。
1)カルシウムとカリウムは神経伝達物質
2)血中のカルシウム濃度が低下する
3)脳内のホルモンであるセロトニンの分泌が阻害される
4)セロトニンが低下すると脳の血管が収縮し脳血流が低下する
5)脳の視覚野周辺の血流低下が起き視覚異常が起こる
6)脳がセロトニンを分泌して血管を拡張させる脳血流を増やそうとする
7)拡張した毛細血管が脳神経に触れ炎症を起こす
8)片頭痛が発生する
カルシウムの喪失によって「閃輝暗点」が起こるメカニズムは上記の様に説明されています。
■ カルシウムの他のミネラルも失われる ■
実は失われるのはカルシウムだけでは有りません。
夏場に自転車に乗ると大量の汗をかきます。発汗は体表からの水分蒸発によって体を冷やす身体機能ですが、通常は水分に含まれるミネラルは回収されて発汗によるミネラルの損失を最小限に留めています。
しかし、高温下での過激な運動状態では大量の発汗にミネラルの回収が追い付かなくなり、大量のミネラルが喪失すると言われています。通常の汗はサラサラですが、激しい運動時の汗はベトベトなのはこの影響かと思われます。このベトベトの中にはNaやCa,K、Mgなど血中ミネラルが大量に含まれています。さらにはZnなどの微量金属も含まれています。
■ 脂肪燃焼で消費されるアミノ酸 ■
長時間の運動は血糖やグリコーゲン、脂肪燃焼によるエネルギーによって維持されますが、これらの物質の代謝にはいくつかのアミノ酸が消費されます。脂肪燃焼には体内で合成出来る非必須アミノ酸であるプロリン、 アラニン、アルギニンの他に、体内で合成出来ない必須うアミノ酸であるリジンが消費されます。
自転車乗り達は「レッドブル」が疲労回復に効果が有ると言いますが、レッドブルにはカフェイン、アルギニン、ナイアシン、パントテン酸などが含まれ、脂肪燃焼で欠乏したアミノ酸を効果的に補充する事が出来ます。
実際に「もう走れない」という状態でレッドブルを飲むと、30分後位から全開状態になります。(ヤバイくらい・・・)
■ 過激なスポーツ後の食事管理 ■
この様に過激なスポーツの結果ミネラルやアミノ酸が欠乏した状態では疲労が回復しません。頭もボーとして思考も鈍ります。
200Kmの自転車のロングライドで体重65Kgの人は5000Kcalを消費します。ですから、ロングライド後の数日はお腹が空いて仕方が有りません。当然、ご飯やパンなどを食べる量が増えるのですが、ここで気を付けたいのが、失われたミネラルやアミノ酸を補充する事。
体内で合成出来る非必須アミノ酸であるアラニン、アルギニンもその原料は食事です。肉、魚、豆類などにその原料が多く含まれるので、良質なたんぱく質の摂取は重要です。
■ サプリメントを活用する ■
普通の食事の量を2倍にする事はなかなか難しい。だいいち、一日6食も食べるとお金が掛ります。
そこで活用したいのがサプリメントです。疲労が酷い時はレッドブルなどのスポーツ飲料が効果的です。
そして、日常的にはカルシウムとマルチビタミンのサプリメントが効果が有る様です。
■ サプリメントの摂り過ぎはご用心 ■
私はカルシウムの補充に煮干しを活用しています。頭とワタを指で取った後、フライパンで乾煎りしてイリコにしています。味噌汁の出汁に最高ですが、おやつ代わりにボリボリ食べると止まらなくなります。
ところで、このイリコ、食べ過ぎるとどうなるかというと、下痢をします。
カルシウムとセロトニンの関係は前述した通りですが、どうやらカルシウムを過剰に摂取すると腸管でセロトニンの過剰分泌が起こるらしく、これが下痢を誘発します。これは急性症状ですが、長期的にも様々な障害が発生する可能性が有ります。
・・・何事にも限度が有るという事でしょうか。
■ アルコールは程々に ■
「閃輝暗点」の症状が現れる時に、もう一つ共通した事が有ります。それは、お酒を少し飲み過ぎたかなと思う日の翌日に症状が現れ易い事です。
私の場合、アルコールの理尿効果が高くトイレに行く回数が極端に増えます。その結果、水分と一緒にミネラルも失うのでしょう。運動で欠乏しがちな所にさらにカルシウムを失う事で、体のミネラルバランスが崩れるのでしょう。
本日は激しい運動で消費されたミネラルとアミノ酸の補充について書いてみました。