■ 急激なリスクオフは利上げへの準備体操 ■
株式を始め市場が相当荒れていますが、これはバーナンキショックの時も同じでした。ただ、今回は量的緩和によるリスク投資が当時より膨らんでいる為、リスクオフの規模が大きくなっているだけ。
バーナンキショックが成功した理由は、12年5月頃からのリスクオフによって12月までに過剰リスクがある程度整理されていた事の効果が大きいかと思います。要は市場がリスクをある程度振るい掛けした後に、さらりとテーパリングに入りました。
ただ、その直前の日銀の追加緩和のサポートも大きく貢献しています。FRBが減らす分を日銀がカバーすると市場が判断したのではないでしょうか。
実際にテーパリングによってFRBの量的緩和は終了に向かいましたが、FRBのゼロ金利政策は解除されていませんでしたから、市場は半年を掛けて「緩和マネーが減らない」事を理解し、バーナンキのテーパリングは成功しました。
■ 現在の状況を予告していた中央銀行 ■
6月頃、FRBやECBは一部市場が加熱している事や、ボラテリティーが拡大するであろう事を予告しています。これは各中央銀行がFRBの利上げ前にリスクオフをしておけよと警告していた様なもので、現在の動きはまさに中央銀行の思惑通りだとも言えます。
■ ボラティリティーの拡大で設けるヘッジファンド ■
先頃まで続いていた右肩上がりの世界的な量的緩和バブルは「誰もが儲かる相場」ですが、ヘッジファンドなどが大儲けできる相場ではありません。
彼らはボラティリティーが拡大している時こそ、空売りを含めて大儲けします。ですから、右肩上がりの相場で積み上げたポジションを利用して、実弾と先物を絡めて相場に揺すりを掛け市場を乱高下させています。この流れは10月頃までは続くと思われます。
特に日本株市場はGPIFと日銀の日本株の買い上げ枠を満タンにするまでは揺さぶりを掛けて来ると思われます。そして日銀を追加緩和へと追い込みます。
■ FRBの利上げは12月だろう ■
イエレン議長は10月利上げの可能性を否定していませんが、これはもう少しリスクオフの流れを継続させる為のブラフでしょう。中国経済の減速は、利上げ先延ばしの理由に使われているだけで、アメリカは中国を慮っているのでは無く、現状のリスクテイクはまだ高すぎると判断しているだけだと思います。もう少しリスクを軽減しないと「FRBショック」が起きる可能性が有ると考えているのでしょう。
■ 「底感」が生まれた頃から市場のゆるやかな反転が始まり、利上げをサポートする ■
ダウが15000ドル台、日経平均も16000円台になれば「底感」も生まれて来ます。そこら辺で一旦底打ちした後、10月頃から市場はゆるやかに上昇に転じて、何だかスルりとFRBの利上げが12月に実行されるでしょう。
さすがに10月を過ぎれば「FRBの利上げは12月に行われる」と大方の人が予測しますから、市場に揺さぶりを掛ける要因とはなり難くなります。ヘッジファンドはここら辺の空気は読むはずです。
■ 日銀の再追加緩和は日本株の購入枠拡大が中心になるはず ■
日本株の反転の切っ掛けは日銀の追加緩和でしょう。既に日本国債の購入枠拡大は需給バランスからも、財政の健全性からも限界でしょうから、日本株の買い入れ枠の拡大が中心になるかと思われます。
これで日本株は再び上昇しはじめ、19000円台を目指すのではないでしょうか。ヘッジファンドや外国人投資家にとっては、「日本株暴落」の為の最後の仕上げが始まるのでしょう。外国人投資家達が日本株をグイグイと吊り上げて行くと思われます。
11月4日の郵政3社の株式公開までには、それなりに相場も回復しているはずです。ここから逆算すれば10月初旬に日銀の追加緩和が発表される可能性が高いと思われます。
■ 中国市場の鎮静化は利上げに不可欠 ■
習主席が訪米して何やらモニョモニョやっている様ですが、FRBの利上げを成功させる為に中国市場を鎮静化させる策略が練られているのでしょう。中国バブルが本格崩壊するにしても「今は困るからどうにかしろ」という事では無いでしょか。当然、ヘッジファンドも空気を読んで上海市場の安定化に強力するものと思われます。
結局、上海の市場の暴落を仕掛けた事によって、世界的なリスクオフの流れを加速させ、過剰リスクの整理を世界的に進める事が、今回の市場の混乱の目的だったのでしょう。ヘッジファンドはその旗振り役を見事に務めているのです。当然利益目的ではありますが・・・。