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当面は米10年債金利3%超えに警戒・・・鈍感市場

2017-01-05 06:25:00 | 時事/金融危機
 

■ バブルのアクセルを全力で踏み込んだ世界 ■

年末に少し下落した株価ですが、日米とも年明けととものバブルへ向けてフルスロットルです。昨年は下落して始まった日本株も、東芝問題など存在しないかの様に大幅な上昇で始まっています。

今後はトランプ大統領就任式前に一度調整が入る可能性はありますが、ここまで勢いが付くち、ちょっとやそっとの悪材料は無視して相場の上昇は続きます。これがバブルというものです。


■ 債権バブルの終わり ■



bloomberg より

この先注目すべきは米10年債金利です。トランプラリーが始まって以来、金利上昇を予測して低金利の米国債の投げ売りがヘッジファンドを始めとして、各国保有の米国債でも始まっています。

一時は米10年債金利が2.5%を超えましたが、直近では少し金利が下がって落ち着きを取り戻しています。今後の注目は米10年債金利が3%を超えるかどうか。

FRBがテーパリングを実行に移した直後の2013年12月27日に米10年債金利は一度3%にタッチしますが、それ以降は中国危機などが頻発した為に米10年債金利は下がり続けてきました(リスクオフ)。

米国債のみならず、あらゆる債権の金利が下がり過ぎた状態ですしたが(債権バブル)、昨年後半より債権金利が底を打った感があります。これ以上金利が低下すると(価格が上昇)、さすがに怖くて買えない状況だったのです。

トランプの当選により、財政拡大によるインフレ効果が見込まれると、米国債が一気に売られました。これはヘッジファンドなどがロングのポジションをショートに変えた為です。


■ 注目すべきは米10年債金利が3%に到達するかどうか ■


米国債金利の上昇には中国の米国債売りも関わっています。人民元の対ドルレートは大幅に下落していますが、中国はドル売・人民元買いで対抗しているはずです。外貨準備の米国債を売却しています。

中国が元安と食い止めようとする理由は資金流出を防ぐ為です。ドル高や米国債高によって中国国内から猛烈な勢いで資金流出が始まっています。

米国債売却は中国にとっての外交カードでもありますから、対中強硬派のトランプ次期大統領に対して米国債金利を通じてプレッシャーを掛けて効果もあるのでしょう。

一方、昨年の円高で米国債を売却していた日本の金融機関などは、ドル高円安で米国に資金を移しています。当然、年金資金や生保マネーは安全資産としての米国債にも資金は振り向けられます。

一時は一気に3%に到達するかに見えた米10年債金利ですが、ヘッジファンドのポジション変更もひと段落し、ドル高も一服すれば、株式市場で利確した資金などが流入して2.5%前後でボックス相場になるかも知れません。

ここを抜けて再び米国債金利が上昇する為には、トランプ次期政権がどんな政策を打ち出して来るかによるかと。

■ ジャンク債市場と原油価格 ■


hart park より

リーマンショック以降、債権市場は明らかにバブルでしたが、ジャンク債市場はバブル崩壊が始まっていました。原油価格の下落によってシェール企業の経営が破綻し始めた為です。

しかし、トランプラリーの影響でコモディティー市場にも資金が戻って来ている様です。景気回復予測も手伝って、一時は30ドル/バレルまで下落していた原油先物も50ドルまで値を戻しています。

国債を始めとする債権金利の上昇の影響を強く受けるはずのジャンク債市場ですが、原油価格の持ち直しの好影響によって本格的な崩壊直前で踏みとどまっています。

今後はトランプの打ち出す中東政策や、シェール開発への政府の対応にジャンク債市場は敏感に反応して行くはずです。

■ 金利がジリジリ上昇するならば、どこかでバブルは終了する ■

2017年はバブルのアクセルを思い切り踏み込んだ始まりましたが、バブルの原動力は過剰流動性です。しかし、これは金利上昇に敏感です。

FRBはゆるやかな金利上昇を目標としていますが、金利上昇は低金利でバランスしていたジャンク債市場を不安定化させ、低金利によって支えられていた住宅市場や、自動車市場に確実に影響を与えます。

トランプ次期大統領は、就任直後に大型の公共事業を発表して国民の歓心を引こうとするでしょう。これに市場が過剰に反応して金利上昇のペースが速まると、以外にトランプバブルがはじけるのも早いかもしれません。

目下の注目は米10年債金利が3%を超えるかどうかかと。これで具体的に何かが変わる訳ではありませんが、過去、10年債金利3%超えが起きそうになると、それを阻むイベントが発生して来た様な・・・。その都度、株は大幅に下落して米国債市場に資金が誘導された・・・かな?