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戦争のリアルを知る為に・・・シリアの東グータってどこ?

2018-02-27 05:28:00 | 時事/金融危機
 






■ 東グータ地区って首都ダマスカスの隣じゃないか!? ■

昨日も書きましたが、私達が「現実」や「事実」と錯覚しているTV映像は、小さな受像機の箱に映し出された「誰かが意図的に作った映像」です。

例えば、現在ニュースで盛んに報道されている「シリア軍による東グータ地区の空爆」ですが、視聴者は血まみれになった子供の映像と、街を空爆するシリア軍戦闘機の映像を観て「ああ、かわいそう」とか「シリア軍ってなんて残酷なの」という感想を抱きます。

では、何故、シリア軍が国際世論を敵に回す様な大規模な市街地空爆をする必要があるのか考えた人はどのくらい居るでしょうか?

ちなみに私自身「東グータって何処よ?」って感じだったので、googleマップをフォトショで加工してみました。そしたらビックリ仰天。東グータってダマスカスに隣接しているではないですか!!

この作業をする切っ掛けは「東グータ地区から反政府勢力が迫撃砲でダマスカスを攻撃する」という記述が記事にあったから。「迫撃砲が届く距離ってすぐ近くじゃないか?」と思ったからです。

比較の為に東京近辺の地図を同じスケールで貼っておきます。

「ダマスカスを東グータ地区の反政府勢力が攻撃」とは「千代田区に墨田区から攻撃」と同じスケール感覚の出来事なのです。

■ 首都近郊にテロリストがウジャウジャ居る状況 ■

東グータ地区はシリア内戦の初期に「シリア軍が化学兵器を使用した」と報道された地域です。

内戦初期から首都ダマスカスの極々近い場所を反政府勢力に占拠されている訳ですから、シリア政府や政府軍がどれだけ窮地に立たされているかが理解出来るかと思います。

「反政府勢力」と呼べば聞こえが良いのですが、アメリカやイスラエルやカタールやトルコがお金を出して集めたテロリスト達に過ぎません。

そんな輩が街に入り込んで来て、迫撃砲を首都ダマスカスに向けてバカスカ撃つ訳ですから、こんな迷惑な事は有りません。

そして、彼らは私服でシリア国民に紛れ込んでいます。現代の戦争の規定では、軍隊は制服の着用を義務付けられています。軍人と民間人の区別を付ける為で、例え戦争状態でも相手国の民間人をむやみに殺す事は許されません。

■ シリア国内に14の軍事拠点を築いている米軍 ■

シリア内戦はアメリカ、フランス、イギリスの西側諸国と、イスラエル、サウジアラビア、カタール、トルコなどの中東諸国がシリアの正式な政府(アサド政権)を打倒する為に興した内戦です。

彼らは勝手にテロリストを送り込み、それをシリア軍が攻撃すると、「シリア政府が反体制派を攻撃している」と非難します。

そして「東グータ地区でシリア軍が化学兵器を使用した」制裁として、アメリカやフランスがシリアを空爆し軍事拠点に損害を与えます。イスラエルも何故だかシリアを堂々と空爆しています。

「シリア軍の化学兵器の使用」には疑問が持たれていて、テロリストの自作自演の可能性も否定できません。核開発の濡れ衣を着せられて殺されたフセイン同様の「偽情報」の可能性や、化学兵器を使用したのはテロリスト側という「偽旗作戦」の匂いがプンプンします。

オバマ政権はアメリカ地上軍をシリアに展開する事は無いとして来ましたが、実際にはアメリカがテロリスト支援の為に14の地上軍事施設をシリアに建設しているとロシアは主張しています。

■ シリア政府が頼ったロシアとイラン ■

テロリストやアメリカ軍などの攻撃に対して、シリア政府が頼ったのはロシアとイランです。

ロシアは開戦当初は表立った軍事行動を避けていましたが、シリア政府の劣勢が明確になると空爆を開始します。

それまでアメリカなどがどんなに空爆しても何故か「退治」できなかったテロリスト達が、ロシアの空爆開始と同時に殲滅状態に追やられます。米軍はあわててテロリストの首謀者達をヘリコプターで救出したとも伝えられています。

■ 米軍とロシア軍が直接戦闘する事態に発展? ■

内戦が長期化する中で、シリア国内での代理戦争はエスカレートしています。最近では米軍がロシア民間軍事会社が行動を共にしているシリア軍を空爆して、ロシア人に死傷者が出ています。

「アサド政権 VS 反政府勢力(テロリスト)」という対立構図を演出してきたシリア内戦ですが、米ロが直接対決してしまうケースも発生し始めています。

■ 多くの日本人がアサド大統領を「悪人」だと信じ切っている異常 ■

ネットから大量の情報が集められる時代に、多くの日本人が、いえ、世界の大多数の人が、「アサド大統領が独裁政権維持の為にシリア国民を虐殺している」と思い込んでいる状況は異常です。

いえ、実を言えば多くの人達にとって、中東で起きている内戦なんて興味など無いのでしょう。ただ、ニュース映像を観て「かわいそうに」と思う程度の「日常」なのです。

確かに新聞やTVニュースは世界の様々な地域の出来事を伝えてくれます。しかし、それは「誰かに都合の良い情報」に過ぎません。

googleマップを開くだけで、中東で起きている戦争に「少しだけリアルなスケール感」を与える事が出来るます。少なくとも、今の日本で、墨田区から霞が関に向けて迫撃砲がバカスカ撃ち込まれる事の無い平和の有難みを知る事は出来るでしょう。